2017年8月31日木曜日

(K0123) 居住地で異なるがんの死亡率 <体の健康>


===== 引用はじめ

 わが国のがん年齢調整死亡率(以下、がん死亡率)(2015年値)は人口10万人あたり男性167.6人、女性89.8人です。

 都道府県ごとにがん死亡率は異なります。ワースト1はベスト1に比べ、男性で1.5倍、女性で1.3倍も高くなっています。

 47都道府県中ワースト5に男女ともランクインしたのは北海道、青森県、秋田県、大阪府です。

 大阪府のがん死亡率は1985年以来一貫して男女ともワースト1でしたが、2005年以降はワースト1から脱却しました。しかしながら、2015年値では男女ともにワースト5と未だ最悪レベルです。

 市町村ごとでも、がん死亡率は異なります。

 例えば、大阪府(43市町村)の場合、男性のワースト1(田尻町262.4人、20092013年)はベスト1(河南町160.0人)の1.6倍、女性のワースト1(岬町125.9人)は、ベスト1(千早赤阪村50.6人)の2.5倍です。

===== 引用おわり

 
こういう書き方をすると、叱られそうだが、「がんで死にたくなければ、大阪府に住むな。それでも大阪府に住みたければ、男性は河南町に、女性は千早赤坂村に住みなさい」ということになる。これは、正しくない。


正確に言うと、がん死亡率が高くなった理由が分かり、それを避ければ、日本中どこにいっても、がん死亡率を低く抑えられるだろう。「がん死亡率が高くなった理由」を理解し、その理由を取り除けばよいことになる。

 

===== 引用はじめ

 居住地域によって、かかるがんに一定の傾向がみられます。塩分の多い食事をとる地方では胃がん、出生率が低い都市部では乳がんなど各地域の生活習慣が影響していると考えられます。従って、それらの傾向を踏まえた対策に取り組むことも有効です。

===== 引用おわり

 

新聞には書いていなかったが、思い出した。大阪府は、がん検査受診率が全国で最も低かった(例を添付する)。


 

これも関係するだろうと思った。

 


出典
産経新聞(2017/08/30 夕刊)

(K0122) 75歳以上のがん「治療せず」増加 <体の健康>


手術困難な場合は、痛み緩和を優先する傾向にあるのではないかと、私は思った。
 

X=「手術療法」「化学(薬物)療法」「放射線療法」(後述)あるいはその他の治療法
とすると、患者としては、次の三つの選択がある。

(1) Xの中から一つだけ選ぶ

(2) Xの中から2つ以上の治療を組み合わせる(集学的治療)

(3) Xのどれも選ばない

 
このうち(3)、すなわち治療を受けないことを選択したケースに注目すると、早期の状態であるステージⅠの大腸がんと診断された人の中で治療が行われなかった人の割合は、

(1) 4064歳では、1.6%

(2) 75歳以上では、4.6%

(3) 85歳以上では、18.1%

だった(27年度データ)。

「質の高いがん治療を提供する「がん診療連携拠点病院」から、がんと診断された患者」を対象とした、国立がん研究センターの調査による。

 

「高齢の患者は、糖尿病や高血圧などの持病があったり全身の状態が悪かったりして若い患者と同じ治療を受けるのが難しいとされている。」

 

がんの三大療法
===== 引用はじめ
 がんの告知を受けた方に示される治療方法は、基本的に「手術療法」「化学(薬物)療法」「放射線療法」の3種類があり、これを三大療法と呼んでいます。日本では、これまで手術ががん治療の中心にありましたが、近年は化学療法や放射線療法が進歩し、がんの種類やステージ(病期)によっては手術と変わらない効果が認められています。
===== 引用おわり
http://ganclass.jp/treatment/foundation/basic02.php

 
各々に問題点がある。
 

A.手術療法

A-1 創部(キズ)の治癒と全身の回復に時間がかかる
A-2 臓器を切除することによって、臓器や体の機能が失われることがある
A-3ごく小さな転移(微小転移)は治療できない
A-4手術不能な場所にできたがんには適応しない
 

B.化学(薬物)療法

B-1 がん細胞以外の健康な細胞にも悪影響を与えるため、さまざまな副作用があらわれる可能性がある
B-2 がんの種類によっては抗がん剤の効果があらわれにくい
B-3高額な薬を長期にわたって使用する場合もある
 

C.放射線療法

C-1 放射線の影響により、照射部分の炎症症状などの放射線障害があらわれる
C-2 めまいなどの全身症状があらわれることもある
C-3 密封小線源治療、放射性同位元素内用療法では、一部、行動の制限が必要

 

出展
産経新聞(2017/08/09) … 添付図はここから
http://www.sankei.com/life/news/170809/lif1708090004-n1.html

2017年8月30日水曜日

(K0121) 「小銭入れパンパン」現象 <脳の健康>


スーパーのレジで並んでいるとき私は、小銭入れから10円玉、5円玉、1円玉をより分けて、握っている。金額が確定すると、一円の桁、十円の桁、百円の桁の順にトレイに置き、最後に千円札(万円札)を出す。もちろん小銭が足りないときは、一桁上の硬貨・紙幣でカバーする。

もたもたすると、店員や次に並んで待っている人が気になり、落ち着かない。札だけで済ませれば早いが、それでは小銭がどんどん溜まってしまう。ケチだから、小銭の釣銭を募金箱に入れることはない。
 

===== 引用はじめ

 私たちが海外旅行して、買い物をしたときのことを思い返してみれば分かります。大きめの金額のお札を出しませんか。外国の硬貨は分かりにくいですから、お札を出してお釣りをもらうようにしますよね。そうすると自然に小銭がたまっていきます。

 認知症の人は計算ができません。だから千円札を出すのです。そうすれば店員がお釣りを渡してくれますから、自分は計算をしなくてすみます。

 これを繰り返していくうちに、いつの間にか小銭入れはパンパン…というわけです。私たちの海外旅行は、認知症の人の状態ともいえるのです。認知症の人が「変な人」ではないことがお分かりいただけるでしょう。

===== 引用おわり
 

【高見国生の認知症だより(11)】、産経新聞
http://www.sankei.com/west/news/170818/wst1708180004-n1.html
添付図も、このサイトより

2017年8月29日火曜日

(K0120) 指先一つで老化度測定 <健康>


最近医者に行くと、「加齢によります」といつも言われる。「加齢によります」で医者がやれるなら、私でも医者になれる。

「老化」という言葉が、なんとも気になる。
 

それが数値化されるのは、嬉しくもあり、怖くもある。

 
「老化」していますと言われて、それを改善できないなら、地獄である。
いっそ、聞きたくなかった、ということになる。

「生活習慣病や食生活改善」か。何度も言われた。
言われてよくなるなら、とっくによくなっているはずだ。

 
でも、努力してそれが数値で出るのは、励みになる。

それにしても、高価だ。


===== 引用はじめ

 シャープは4日、指先を30~60秒間差し込むだけで自らの体内に老化物質がどれだけ蓄積されているかが測定できるセンサー「AGEs(エージーイー)センサ」を発売した。医療、ヘルスケア関連施設などに設置し、生活習慣病や食生活改善への活用を提案する。

 シャープが持つセンシングや光学設計、信号解析技術を使い開発した。採血の必要はなく、採血による従来の方法で1週間かかる測定時間を大幅に短縮した。測定する老化物質の一つである最終糖化産物(AGEs)は、偏った食生活や運動不足により、タンパク質と過剰に摂取した糖が結合して発生する。一部のAGEsに光を当てると発光する特性を使い、体内で発する光の量を測定・解析して蓄積レベルを算出する。

 蓄積レベルは5段階評価され、同世代での100人中の順位を表示する。想定価格は86万4千円で、主に医療施設や店舗向けなどに販売し、家庭向けの製品も今後検討する。

===== 引用おわり

産経新聞(2017/08/05)
http://www.sankei.com/west/news/170804/wst1708040094-n1.html

シャープホームページ
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/170804-a.html

(K0119) 「“老衰死”10年で3倍」(死因より最期重視へ変化) <臨死期>


 厚生労働省の死亡診断書記入マニュアルでは、老衰は「高齢者で他に記載すべき死亡の原因がない、いわゆる自然死」。

 実にいいかげんな定義だと思う。高齢になれば、病のいくつかを抱えるのはごく自然。死亡の原因に、それらの病がどれほど関係しているのか、決める客観的な基準はないだろう。明らかに関係する、あるいは、明らかに関係していないと判断できないケースの方がむしろ少なく、多くはグレーゾーンにあり、その場合は医者の「判断」で決めるしかなかろう。
 

 「“老衰死”10年で3倍」「人口動態調査によると、老衰死は診断技術の進歩に伴い減っていたが、その後増加に転じ、17年の2万6千人から27年には8万5千人近くに増え、死因の7位から5位になった」という(添付図参照)。「全国老人福祉施設協議会の24年度の調査によると、特別養護老人ホームでみとりをした人のうち、老衰で死亡した人は6割を超える。」

 私は、「老衰死」が増えたのではなく、「医者が老衰死と認定した」ケースが増えたのだと思う。つまり同じように死んでいっても、以前は「病死」と判断する医者が多かったが、最近では「老衰」と判断する医者が多くなったのだと、私は思う。
 

 三つの要因を私は想定している。

(1) 「病院あるいは医者にとって、患者の死は敗北を意味する」という意識が問題視されている。QOL(Quality of Life:生活の死)を無視して、不必要な延命治療をしていないかという反省に基づく。医学的に患者の命を救える、あるいは長らえさせられるのは医者しかいないのだから、医者がこだわるのは、当然だと思う。その延長線上で、医者が「病死」よりも「老衰死」と書きたくなるのも、自然だと思う

(2) 「在宅で世話をしてきた家族にとって、きちんとみとった証し、勲章のような意味を持つ場合がある」

(3) 「在宅医療の普及で、人々の意識は、死の原因ではなく、最期に至るまでの生きた過程を重視する方向に変わってきたという。」

 

「老衰死」は、医者にも、家族にとっても、本人にとっても、悪いと決めつけられない。

 

「一線を越さなければ」、「老衰死」の増加を気にしなくても良いのではないか。

(1)  救える命を医師が『人生の最終段階』と判断し、医療を放棄する

(2)  明らかに病気が強く死亡に関係しているのに、「老衰死」と書く

(3)  医療ミスを「老衰死」として隠ぺいする

 

出典

産経新聞(2017/08/25
http://www.sankei.com/life/news/170825/lif1708250012-n1.html

添付写真は、以下より
http://www.sankei.com/life/photos/170825/lif1708250012-p1.html
http://www.sankei.com/life/photos/170825/lif1708250012-p3.html



2017年8月28日月曜日

(K0118) 催し物情報(8) <催し物紹介>


まず「新配信」(New)を前に集め、日付順に並べ、
その後ろに「既配信(K0109)()を、日付順に並べています。


【新配信】(日付順)


(New)
 96()18:3021:00、会場:大阪産業創造館 6F 会議室C(大阪市中央区)(大阪市営地下鉄堺筋本町駅)

 第72回「こころの定年/研究会(IN大阪)」、楠木新から『定年後』の近況紹介、「定年後」を乗り切る7つの行動のポイント、<休憩・名刺交換>、上記、を受けた質疑応答

 参加費:1000円、主催:楠木新、申込み:kusunoki224@nifty.com


 備考:参加希望者【自由参加】があれば喫茶店でのダベリ(21:00~)

 

(New)
 101()14:0016:00、会場:神戸市立婦人会館5階さくら(神戸市中央区)(高速神戸駅、JR神戸駅、神戸市営地下鉄大倉山駅)

 みんなで支えあって生きるまちへ、藤井博志教授(関西学院大学人間福祉学部・人間福祉研究所)

 参加費:500円、主催:神戸の地域福祉を考える会(ひょうごん福祉ネット・神戸市立婦人会館)、申込み:藤波まで

 チラシ等URL
https://drive.google.com/file/d/0BxGLloQ9eVggcXNNcURFYlJuX1U/view?usp=sharing

 

(New)
 104()18:00~、会場:大阪大学 中之島センター (大阪市北区)(JR新福島駅、阪神電鉄福島駅、JR福島駅)

 テーマ:調整中、話題提供者:ピーター・マーチン氏(アイオワ州立大学)

 参加費:0円、主催:臨床死生学・老年行動学研究会、申込み:予約不要


 

(New)
 107()13:3016:3013:00開場)、会場:西宮市民会館アミィティホール(兵庫県西宮市)

 穏やかな最期を迎えるために、講師:関本雅子(関本クリニック院長)、司会:長尾和宏(日本尊厳死協会 副理事長、関西支部長)

 参加費:0円、主催:一般財団法人 日本尊厳死協会 関西支部、問合せ:06-4866-6365 , kansai@songenshi-kyokai.com、申込み:

 チラシ等URL
https://drive.google.com/file/d/0BxGLloQ9eVggU3FCVkVpa3VKdjQ/view?usp=sharing
https://drive.google.com/file/d/0BxGLloQ9eVggR0RBTUhNMFlRcGM/view?usp=sharing

 
 

<K0109>既配信】(日付順)

 830()18:30~(18:00開場)、会場:大阪産業創造館 6階会議室(大阪市中央区)

 30年トップを走り続ける""商品力""とは、講師:川面克行(元アサヒグループホールディングス株式会社副社長)、神田博至(元花王株式会社専務取締役)

 参加費:500円、主催:NPO法人新現役ネット、申込み(事前申込制・8/25締切):お問合せ先:Tel 03-5730-0161 担当:田辺/info@shingeneki.com


 

 92()13:0016:0013:00開場)、会場:兵庫県私学会館 1階 101号室(神戸市中央区)

 生活を支える緩和ケア~よりよく生きるために~、講師:池垣淳一(兵庫県立がんセンター 緩和ケア内科部長)

 参加費(学生 無料):500円、主催:ひょうごがん患者連絡会 会長 去来川節子、問合せ:Tel: 078-335-8668Fax:078-335-8669、申込み:申込不要

 チラシ等URL
https://drive.google.com/file/d/0BxGLloQ9eVggYVdxdlZPYVBZbE0/view?usp=sharing

 

 93()13:0017:00、会場:大阪府立大学I-siteなんば 3階 部屋番号R6(大阪市浪速区)(地下鉄御堂筋線・四つ橋線「大国町駅(1番出口)」)

 フランクル研究会、【テキスト】池田香代子訳『夜と霧』みすず書房、【範囲】33頁から

 参加費0円、主催:フランクル研究会、申込み:tottene-ujohn10@yahoo.co.jp <tottene-ujohn10@yahoo.co.jp>;(お手数ですが、tottene-の部分を削除してください。迷惑メール対策です。)


 備考:参加条件は、テキストを事前に読んでくることです

 

 94()13:3017:1513:00開場予定)、会場:神戸文化ホール 大ホール(神戸市中央区)

 いきいきシルバーのつどい(講演&映画)、講演「夢があるから強くなる」川淵三郎、映画「家族はつらいよ」山田洋二監督

 参加費:0円、主催:神戸いきいき勤労財団、問合せ:「参照情報」、申込み(~8/10):往復はがきによる(「参照情報」)


 備考:対象は60歳以上

 

 95()13:0015:00、会場:創建御堂筋ビル(大阪市中央区)

 「読書サロン」第29回、藤波が進行役

 参加費:500円、主催:NPO法人新現役ネット、申込み:06-6203-1225


 

 914()13:3015:00、会場:須磨いるサロン(神戸市須磨区)

 遺産相続にまつわること、講師;西口竜司(弁護士)

 参加費(お茶と手作りケーキ付):1000円、主催:NPO法人福祉ネットワーク西須摩だんらん、申込み:藤波まで

 チラシ等URL
https://drive.google.com/file/d/0BxGLloQ9eVggMTJZUEZIbjducUU/view?usp=sharing

 

 930()13:3016:0013:00開場)、会場:サンシビック尼崎(尼崎中央地区会館・大ホール)(兵庫県尼崎市)

 本人も家族も幸せになる認知症介護・医療、講師:長尾和宏(長尾クリニック院長)、放談:丸尾多重子(NPO法人つどい場さくらちゃん代表)、中矢暁美(愛媛県・宅老所あんき代表)、長尾和宏

 参加費(資料代込み。当日支払い):1000円、主催:在宅ケアネット尼崎、つどい場さくらちゃん、北の丸プロダクション、申込み(事前申込制):Eメール:koho@nagaoclinic.or.jp , FAX: 06-6412-9396

 チラシ等URL
https://drive.google.com/file/d/0BxGLloQ9eVggMWg0UzBWMjhXZmc/view?usp=sharing
https://drive.google.com/file/d/0BxGLloQ9eVggUXdFSGUwUTJHd2c/view?usp=sharing

 

 1021()13:30~(13:00開場)、会場:兵庫県民会館(9階)県民ホール(神戸市中央区)

 相撲甚句/第13回西部地区神戸大会、特別講演講座:旭道 南左衛門

 参加費:0円、主催:日本相撲甚句会 認証団体 神戸相撲甚句会、申込み:予約不要

 チラシ等URL
https://drive.google.com/file/d/0BxGLloQ9eVggMEZ6eVY5THZFTWc/view?usp=sharing

2017年8月26日土曜日

(K0117) 学生僧侶(悼みとは…大震災と向き合う) / 「寄り添う」(4) <臨死期>


 龍谷大大学院(京都市下京区)は、日本版チャプレン「臨床宗教師」の養成研修を行っている。チャプレンは、患者のケアに当たる病院付き牧師のことで、臨床宗教師は、キリスト教や仏教を含むさまざまな宗教者の参加を想定している。苦悩や悲嘆を抱える人に寄り添い、相手の話をありのままに受け止める。布教や入信の勧誘はいっさい行わない。

 

 東日本大震災では発生直後から、遺体安置所に運ばれた身元不明者の弔いや、大切な人を亡くした被災者からの相談を、宗教者が受けた。その代表的存在で、仮設住宅を回る傾聴移動喫茶「カフェ・デ・モンク」を今も続ける宮城県栗原市の通大寺住職、金田諦應師(61)は「震災は私が学んできたあらゆる宗教言語を拒絶した」と言う。


 
 1万8千人以上の死者・行方不明者を出した大災害で、救いを求める人たちに説く教義など、だれも持ち合わせていなかった。過酷な現場経験を積み、宗派を超えて協力し合った宗教者たちが練り上げたのが臨床宗教師という構想だった。

 
 阪神大震災から東日本大震災、そして死にゆく患者のみとり。現代社会にとって、臨床宗教師の果たす役割は決して小さくない。そうした人を育てる取り組みは各地で進んでいる(添付図参照)。

例えば、








 

 「みなさんが考える悼みとは、何ですか」

 学生僧侶の原大信さん(23)は「これから臨床宗教師となる自分の核になる問いかけだった。いまも答えを繰り返し考え続けている」と言った。

 

 「第1章 寄り添う」は、ここまで。次は「第2章 引き寄せる」らしい。
 

出典
「関西の力」/「第6部 祈り」/「第1章 寄り添う」/「第4項 学生僧侶」
産経新聞(2017/08/21 夕刊)
添付写真は、ここから。


2017年8月25日金曜日

(K0116) みとり(日本初のホスピス大阪から) / 「寄り添う」(3) <臨死期>


===== 引用はじめ

 同僚からは「どう対処していいか分からない患者がいる」といった声が相次いだ。例えば、ある患者は「こんな体で天国に行けるのだろうか」と悩み、別の人は「苦しいのは罰が当たったからだ」と自分を責めていた。主治医では手に負えないスピリチュアルペイン(魂の苦痛)を抱えていたのだ。

===== 引用おわり
 

===== 引用はじめ

 (柏木医師は)73年の夏、外科医から、ある患者について相談を受けた。62歳の末期の直腸がんの男性で、がんの痛みと死への恐怖感から、うつ状態になっていた。複雑な家庭事情も抱え、主治医も対応に苦慮していた。

 そこで提案したのがチームアプローチだった。主治医と柏木さん、さらにソーシャルワーカーと看護師、牧師が週に一度話し合いながら、痛みの緩和や死に対する恐怖を取り除くカウンセリングを始めた。やがて男性の痛みも精神状態も、家族関係も改善していった。

 手応えを感じ、同年「OCDP」と名付けた院内勉強会を発足した。「Organized Care Of Dying Patient(死にゆく人々のへの系統的な配慮)の略です。病棟は持たないけれど、我が国初のホスピスプログラムでした」

===== 引用おわり
http://fucoxanthin-extra.com/?p=2000

 
===== 引用はじめ
 
 末期がん患者など死期の近い病人の苦痛を和らげながら、精神的援助を通じて生を全うできるよう看護するホスピスケア。ホスピス病棟設立は1981年の聖隷三方原病院(浜松市)が日本第1号だが、ホスピスケアの取り組みは73年、淀川キリスト教病院(大阪市東淀川区)で始まった。中心となったのが、同病院の柏木哲夫・名誉ホスピス長(金城学院大学長)だ。

===== 引用おわり
同上
 

===== 引用はじめ

 当初は延命治療をメインとする一般病棟でケアを行ったが、死にゆく患者にとって、治る見込みのある人と同じ病室で過ごすのは負担だ。
 柏木医師は専門施設を造ることに決め、寄付を募ると、目標の2億円が1年9カ月で集まった。「開拓者精神」への支援という関西人ならではの心意気も活動を後押しした。

===== 引用おわり

 

出典
「関西の力」/「第6部 祈り」/「第1章 寄り添う」/「第3項 みとり」
産経新聞(2017/08/17 夕刊)
添付写真は、ここから。

2017年8月24日木曜日

(K0115) 魂の苦痛(仏教を支えに最期まで生き抜く) / 「寄り添う」(2) <臨死期>


大嶋健三郎 あそかビハーラ病院 院長:

「緩和ケア病棟は死を待つ場所ではなく、自分らしい人生を最期まで生き抜く場所だ」
「日本人の死生観に根ざした緩和ケアをするには、仏教と医療の融合を欠かせない」

 

「ビハーラ」は、仏教を背景にしたホスピスである。ビハーラは、サンスクリット語で僧院や休息の場所などを指す。
 

世界保健機関(WHO)は、緩和ケアが対処すべき苦痛のひとつに「スピリチュアルペイン」(魂の苦痛)を挙げる。

なぜ自分ががんになったのか。生きていて何の意味があるのか――。だれも避けて通れないのに、だれも答えを出せない問題だが、あそかビハーラ病院にビハーラ僧が常駐する意義は、こうした苦痛を和らげる点にある。

その人の人生や価値観に基づく物語を傾聴し、否定せずに受け止める。日常生活の援助や話し相手になることが、結果としてケアになるのだという。
 

関西では仏教が暮らしに溶け込んでいる。寺院数が多く、伝統仏教教団の本山や仏教系の大学も多い。


出典
「関西の力」/「第6部 祈り」/「第1章 寄り添う」/「第2項 魂の苦痛」
産経新聞(2017/08/16 夕刊)
添付写真は、ここから。

2017年8月23日水曜日

(K0114) 人災と天災(悲嘆の歴史受け止める風土) / 「寄り添う」(1) <臨死期>


 グリーフケアは、親しい人との死別などの喪失体験によって生じる深い悲しみから立ち直る支援を指す。災害や医療の現場で、被災者や患者のケアを宗教者が担うケースが増えている。

 平成17425日、兵庫県尼崎市で乗客106人が死亡したJR福知山線脱線事故。人災は天災と異なって明確な加害者がいるだけに、被害者は怒りが次々とわいて、苦しむ。それは今年6月、検察審査会の議決を経て強制起訴されたJR西の歴代3社長の無罪が確定しても、変わることはない。

 JR西日本の幹部から相談を受けた、グリーフケアの第一人者で知られるカトリック修道女(シスター)の高木慶子さんは、「悲嘆について学ぶ講座を始めてはいかがですか」と企画・提案し、平成1910月、現場近くの聖トマス大(当時)で公開講座が始まった。

 講座を始めた当時、高木さんは「JR西の片棒を担ぐのか」という遺族からの批判を覚悟した。しかし定員300人に2倍以上の申し込みがあった。

 

 関西では、7年の阪神大震災に続いて9年に神戸連続児童殺傷事件、13年には大阪教育大学付属池田小事件が起きた。これらは社会を震撼させただけでなく、「なぜこんなに苦しまねばならないのか」問わずにはいられない人々を増やした。

 「関西には、悲嘆の大切さを受け止める文化がある」。これが高木さんの導き出した持論だ。

 

 「悲嘆は死別が原因とは限らない」「思い通りにはならないことで生じる喪失感は、日常生活に山ほどある」「悲嘆について学ぶのは、人を支えるため。知らないことほど、恐ろしいことはありませんから」と高木さんは指摘する。

 

出典
「関西の力」/「第6部 祈り」/「第1章 寄り添う」/「第1項 人災と天災」
産経新聞(2017/08/14 夕刊)
添付写真は、ここから。

 


2017年8月22日火曜日

(K0113)  個人Blog 8月中旬リスト <サイト紹介>


● 個人Blog 8月中旬リスト
 

(962) 兵士たちの戦場経済 / 大岡昇平『野火』(2)

(963) 神道、「神」とは / 仏教と儒教(15-2)

(964) 習合思想の解体 -世俗化と近代化- / 仏教と儒教(15-3。最終回)

(965) 日本競歩。壁なきチームの連携でを高めてきた / 世界陸上

(966) 攻めのバトン 4 x 100m 男子リレー / 世界陸上

(967) 早川 一光医師による「住民による住民のための地域医療」…【同じ】
 
(968) 「わが街」魅力 世界に発信

(969) 子ども・若者文化と教育・支援 / 子供・若者の文化と教育(15。最終回)

(970) 人間を最後に支えるもの / 大岡昇平『野火』(3-1)
 
(971) 人が人を「殺す本能」「殺さない本能」 / 大岡昇平『野火』(3-2)