2019年1月31日木曜日

(K0641) 「中間領域」 (1) トクヴィル <地域の再構築>

 
「分厚い中間領域こそデモクラシーの核にあるものなのだ」
 

 革命政府は、反対派を次々に処刑する恐怖政治の末、結果としてナポレオンの専制政治を呼び込むことになった。つまり、民主制の混乱と熱狂が独裁者を生みだした。 ―― それがフランス革命の帰結だったのです。

 貴族出身のトクヴィルは、フランスの民主主義が崩壊状態にあることに深く心を痛めました。 … 民主制がうまくいっているようにみえたアメリカに渡り、参与観察を始めるのです。…

 当初彼は、… アメリカはリーダーが優れているから民主主義が保たれているのだ、と考えていたようです。…

 ところが、当時の大統領であるジャクソンと会見するに至って、この考えは覆されます。…

 … 発想を変えて観察を続けた末に、トクヴィルが気づいたのは「アメリカ社会は、国家と個人との間の中間領域が分厚い」ということでした。

 アメリカは移民社会なので、みなが協同して何かをしようという意識が強く、「○○協会」といった共同体があちこちに存在する。なかでも一番の中心になっているのは教会で、しかもそこは宗教的な訓話を聞くだけの場ではない。そこにしばらく顔を見せない人がいれば「その人の家を訪ねてみましょうか」とか、近くにごみだらけの公園や河原があれば「来月みんな掃除しましょう」といった、小さな公共活動がいくつも生まれ、人々はそこで日々意見を交わし合い、合意形成を重ねているわけです。

 こうした活動によって、人々の間に街に対する愛着や主体性が生まれる。そしてまた、自分と考えの違う他者を重んじ、合意を形成していくという「心の習慣(Habit of the heart)」が身に付いていく。それが健全な地方自治につながり、国全体の民主制を支えている。だから、こうした共同体、分厚い中間領域こそデモクラシーの核にあるものなのだ、というのがトクヴィルの指摘なのです。
 

<引用>
中島岳志(2019/2)、オルテガ、「大衆の反逆」、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)

2019年1月30日水曜日

(K0640)  すまコミュニティビジネス大学(2) 退職に伴う空白は喪失である <定年後>

 
 退職にともない「職場」「業務」「人間関係」「収入」が無くなります。働いている時は「職場」「業務」「人間関係」は課せられたものであり、退職がそれからの解放のように思っていたかもしれません。退職に伴いそれらは無くなり、空白が生じます。「そこに埋めるものを課すもの(仕事)がなくなる」ということは、何もしないと空白のままであることを意味します。元気な状態で空白があるのは悲劇です、
 
 
 退職後、「きょういく(教育ではなく)」「きょうよう(教養ではなく)」が大切だと、最近よく言われます。「今日行くところ」「今日する用事」を意味します。私は加えて「きょうしょく(教職ではなく)」も大切であるとい言っており、「共食(一緒に食べる)」を意味します。
 
 無くなった「職場」「業務」「(仕事上の)人間関係」を代替するものが、「今日行くところ」「今日する用事」「共食(一緒に食べる)」であり、空白を埋めるという意味で必要なのです。
 
 
 定年退職後、第二の仕事に就いたりボランティアに励んだりして充実した時間を過ごしている人も多く、結構なことだと思います。しかし、長生きすれば、やがてはそれらも終える時期を迎えるのであり、「空白を埋める」という課題から逃れることはできません。
 
 「私は生涯現役でいく」「PPK(ピン・ピン・コロリ)でいく」と宣言する人も多いですが、それは本人の意気込みにすぎません。実際にそれが実現できるかどうかを決めるのは、本人ではありません。長生きすれば、体も脳も心も「賞味期限」が過ぎます。だからといって、命の方を縮めるわけにはいきません。
 
 退職は空白を発生させます。退職は喪失です。しかし、空白をうまく埋められると、喪失ではなく獲得になります。空白を埋めるという作業は、真正面から取り組むべき大切な課題だと思います。
 
 
<出典>
藤波進、『いざ! 出かけよう! たのしもう!~ 第二の人生をイキイキと! ~』、すまコミュニティ大学 ビジネス企画発表会、神戸市須磨区役所、2019/01/29


2019年1月29日火曜日

(K0639)  すまコミュニティビジネス大学(1) ビジネス企画発表会 <定年後>

 
 昨年の8月から「いまコミュニティビジネス大学」に参加、11月に終了しました。
http://suma-shakyo.or.jp/cms/topics/%E3%80%8C%E3%81%99%E3%81%BE%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%8B%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E3%80%8D%E5%8F%97%E8%AC%9B%E7%94%9F%E5%8B%9F%E9%9B%86%EF%BC%81/
 
 その「ビジネス企画発表会」が本日(1/29)ありました。「大学」に通ったのが10人、そのうち2人が今日は欠席で、発表したのは8人でした。

 テーマ名については、添付資料を参照してください。オープンな場で発表しているので特に問題はないと思うが、了解をとりつけていないので他の発表者の名前は伏せておきます。

 私が発表したタイトルは、

「いざ!出かけよう!たのしもう」 ~ 第二の人生をイキイキと!~

です。
 
 小分けにしてご紹介していきます。

 
 

2019年1月28日月曜日

(K0638)  大坂の寺院、4月から。葬儀・供養も「福祉」 <葬式><地域の再構築>

 
 前回からの続きです。
 
 家族の力が弱まり、「家で葬式をあげる」ということをしなくなってきました。だからといって、それを「役所にやってもらおう」というのは、どんなものでしょうか。
 昔は、ご近所が葬式を助けてきた(今でも地方では?)と言われていますがも、そもそも葬儀をしようとしているのを助けていたもので、葬儀を放棄した人の葬儀を近所が代わりになってすることはないでしょう。

 お寺もまた依頼があって、お布施をいただいて葬式をあげます。そうしないと経済的になりたたないので当たり前のことだと思いますが、興味深い動きをしている寺があります。


 
===== 引用はじめ
 大阪市天王寺区の浄土宗大蓮寺(だいれんじ)と塔頭(たっちゅう)(*)の應典院(おうてんいん)が4月から、孤立した生活困窮者向けの葬儀を実費で始める。
 インターネットで資金を募るクラウドファンディングを活用し、専用のお堂と永代供養の合祀(ごうし)墓を整備。だれからも供養されない「無縁遺骨」の増加を背景に、葬儀の先にある埋葬や供養も「福祉」と位置づける。寺側は「お寺と市民が協力し合う新たな弔いの仕組みを模索したい」としている。
===== 引用おわり
(*) 少し話がそれますが、「塔頭(たっちゅう)は、禅宗寺院で、祖師や門徒高僧の死後その弟子が師の徳を慕い、大寺・名刹に寄り添って建てた塔(多くは祖師や高僧の墓塔)や庵などの小院。」(Wikipedia)。(浄土宗は禅宗ではないと思うが…)。話を戻します。


 このお寺、そもそもが「普通とは違う」動きをしているようです。


 
===== 引用はじめ
 大蓮寺は檀家(だんか)を持つ一般寺院だが、應典院は「葬式をしない寺」として、NPO法人や市民らとともに演劇などの文化事業に取り組んできた。いずれも秋田光彦さん(63)が住職を務めている。
===== 引用おわり
 
ホームページは、
https://www.outenin.com/
その「プロジェクト一覧」をのぞいてみたものを添付します。


 そこで始めようとしているのは、
 
===== 引用はじめ
 …
 これに危機感を抱いた秋田住職が、市民と協働する應典院のノウハウと大蓮寺の宗教活動を融合し、孤立する人々を対象とした葬送に取り組むことを決めた。
 構想では、大蓮寺の境内にある休憩所兼納骨室を改修し「ともいき堂」として整備。「ごえん葬」と名付ける生活困窮者向けの葬儀など、小規模な葬儀を行う専用のお堂とする。
 ごえん葬で寺側はお布施を受け取らず、必要になるのは永代供養をする合祀墓の冥加(みょうが)料5万円と火葬費用のみ。国籍や性別、宗旨は問わない。先に火葬し、遺骨が戻ってきた後に「骨(こつ)葬(そう)」という形で合同葬をあげ、合祀墓に入れる。合祀墓は堂内の納骨室を活用し、当面は遺骨を混ぜずに1柱ずつ保管する。
 一連の改修費用は2月からクラウドファンディングで募るほか、医療や介護、相続など終活に関係する専門家や事業者が連携し、共助として弔いを行う仕組みを目指すという。
 秋田住職は「死後の弔いが保証されていることで心の安定が図れ、よりよく生きることができる。制度からこぼれ落ちる人たちに向けた公益事業にしたい」と話している。
===== 引用おわり
 
 世の中には、様々な動きがあるようです。


<出典>
増える無縁遺骨 自治体は苦悩 / お布施なし、葬儀・供養も「福祉」
産経新聞(2019/01/27)
 
大阪の寺院、生活困窮者向けに葬儀 「無縁遺骨」増加を受け
https://www.sankei.com/west/news/190126/wst1901260035-n3.html

(K0637)  葬儀までも社会化するのだろうか? <葬式><家族の再形成>

 
 2000年に大きく変わった介護保険の考え方の背景には「介護の社会化」がありました。例えば、https://www.suw.ac.jp/img/link/pdf_kiyou07_02.pdf
 

 新聞記事を見ていると、葬儀まで社会化するのだろうかと思ってしまいました。

(1)  12人の1人が無縁遺骨になっている
(2)  死亡地の市町村が火葬・埋葬義務
(3)  身元が分かっている人が無援遺骨になっている(身元不明者は2.5%以下)
(4)  自治体にとって悩みの種
 

 私の感想: 背景にあるのが家族の崩壊ではないか。「引き取りを拒否する」家族や親族が増えているのだろう。
 嘆かわしいと思うのだが、他人様のすることに口出しもできません。
 

【展開】

(1)  12人の1人が無縁遺骨になっている

 大阪市環境局によると、市内では引き取り手のない遺骨が年々増えており、昨年は2366柱が市設霊園に合祀された。人口動態統計による平成29年の同市の年間死亡数(2万8411人)に照らせば、約12人に1人が無縁遺骨となっている計算だ。
 

(2)  死亡地の市町村が火葬・埋葬義務

 死者は身元不明の場合に加え、遺族と連絡がつかなかったり引き取りを拒否されたりしても、死亡地の市町村が火葬と埋葬を行うよう「墓地、埋葬等に関する法律」などで定められている。
 

(3)  身元が分かっている人が無援遺骨になっている(身元不明者は2.5%以下)

 実際に無縁遺骨となるのは、身元不明者よりも身元が分かっている人の方が多い。大阪市では平成27年以降、無縁遺骨が2千柱を超えているが、身元不明者を示す「行旅死亡人」は50人以下にとどまっている。
 

(4)  自治体にとって悩みの種

 自治体にとって悩みの種となっている。千葉県市原市では昨年10月、生活保護受給者や身元不明の遺骨57柱を市庁舎のロッカーで保管していたことが明らかになり「死者を冒涜(ぼうとく)している」などと批判された。
 
 続く。
 
 
<出典>
増える無縁遺骨 自治体は苦悩 / お布施なし、葬儀・供養も「福祉」
産経新聞(2019/01/27)
 
大阪の寺院、生活困窮者向けに葬儀 「無縁遺骨」増加を受け
https://www.sankei.com/west/news/190126/wst1901260035-n3.html

2019年1月26日土曜日

(K0636) 「開かれた寺」の可能性 <居場所>

 
===== 引用はじめ
 「終活」や「墓じまい」といった新しい言葉が広まるにつれ、寺院を支えていた檀家(だんか)の「寺離れ」が加速している。存続の危機にある全国の寺が生き残りをかけて挑むのが「開かれた寺」の取り組みだ。
===== 引用おわり
 

 お寺は、生き残りをかけています。
 
===== 引用はじめ
 世間の寺離れは深刻で、人を呼び戻すためにミラーボールを設置した本堂でダンスイベントをしたり、僧侶がバンドを組んだりと、エンターテインメント化を目指す寺もある。寺がレンタルスペースのマッチングサイトに登録する「レンタル本堂」も始まった。
===== 引用おわり
 

 だが、単にスペースを貸せばよいのでしょうか。
 
===== 引用はじめ
 興善寺のように本堂をヨガなどイベントに貸す寺は増えているが、森田康友住職(48)は「ただスペースとして提供してもだめで、仏様とのご縁を結んでもらいたい」と強調する。参加者が本堂に入る前には、手に香を塗る「塗香(ずこう)」や香炉をまたぐ「触香(そっこう)」という身を清める作法と意味を説き、実践してもらう。
===== 引用おわり
 

 「勤行」を公開しているお寺もあります。
 
===== 引用はじめ
 奈良市の南都十輪院(じゅうりんいん、真言宗)では毎朝8時半から、本堂で僧侶が行う朝の「勤行(ごんぎょう)」を公開している。申し込みは不要で、参加者の9割が一般の参拝者だ。
 先月、朝勤行を体験した。5分間の瞑想(めいそう)の後、6人の僧侶とともに経を読み上げること約30分。最初は文字を追うだけで必死だったが、呪文のような不思議な音の羅列が次第に心地よく体に響いていく。

 どの寺も朝勤行をするが、非公開が一般的。だが奈良では数年前から一部の寺が公開を始め、現在は十輪院のほか興善寺、金峯山寺(きんぷせんじ、吉野町)、長谷寺(はせでら、桜井市)など6寺が一般参拝者を受け入れている。
===== 引用おわり
 
 同寺の橋本(じゅんしん)住職(70)は「寺は神仏に願い事をしながら、自分の内面を見つめる時間になる。心を癒やす場所として存在感を高められたら」と話した。
 

 お寺が駐車場やレンタルスペースでお金儲けをしてもかまいません。広いスペースがあるので「お寺でピラティス」もよいでしょう。でも、お寺に来たと思うと、何かを期待してしまいます。
 


<出典>
奈良 お寺 開放 / 生き残りかけ挑む
産経新聞(2019/01/21 夕刊)

ピラティスや朝勤行 奈良の寺開放 生き残りかけ挑む
https://www.sankei.com/life/news/190121/lif1901210024-n1.html

 

(K0635)  サラリーマン川柳 投票受付中(a) <定年後>

 
 第一生命のサラリーマン川柳、優秀100句が決定。投票受付中(1/223/15)。
https://event.dai-ichi-life.co.jp/company/senryu/
 

 「定年後」関連のものを拾い出しました。
 

  定年は、どんどん遠ざかっていきます。

 定年が 手招きしつつ 遠ざかる  (マリちゃん)
 
 ゴール前 延びる定年 老い越せない  (チコちゃん55歳)
 

  再雇用。残られる人は困るのかもしれないが、残る人も辛いのよ。その苦労も知らず、喜んでいるのは糟糠の妻だけ?

 やっと縁 切れた上司が 再雇用  (アカエタカ)

 再雇用 昨日の部下に 指示仰ぐ  (白いカラス)

 給料も シニア割され 半額に  (再任用)

 再雇用 家にいなくて 最高よ!  (糟糠の妻)
 

  いえいえ、お喜びください。10連休どころではありません

 来春は 10連休だが 定年後  (蓼食う虫)
 

  退職後のたくさんある時間をどう有効に使うか。働いているうちから準備してください。時間がないとか金がないとか言い訳せずに。居場所は「あるもの」ではなく「探し出す」あるいは「つくる」ものです

 趣味深し 定年前の 大仕事  (光男)

 人生の 余暇はいつくる 再雇用  (年金未受給者)

 ノー残業 趣味無し金なし 居場所なし  (リトルプー)
 

 姉妹編:「個人ブログ」での「サラリーマンを終えた私にも響いたもの」
http://kagayaki56.blogspot.com/2019/01/1494-b.html


2019年1月25日金曜日

(K0634)  居住支援法人制度(1) 法改正 <地域の再構築>

 
 地域の住民として「住宅確保要配慮者」が今後増えていくと思われます。「地域力」が弱まっている現在、近隣や自治体などで支援できることは限られています。そこをカバーするよう法律が改正されました。なお「住宅確保用配慮者」とは、「低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子供を養育する者、その他住宅の確保に特に配慮を要する者)」です(正確には、下記法律の第二条を参照してください)。
 
 平成2910月に「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」(「住宅セーフティネット法」)が改正され、新たな住宅セーフティネット制度が創設されました。

 
 その第四十条で「住宅確保要配慮者居住支援法人」が規定され、その業務(「支援業務」)は第四十二条に規定されています。

   登録事業者からの要請に基づき、登録住宅入居者の家賃債務の保証をすること。
   住宅確保要配慮者の賃貸住宅への円滑な入居の促進に関する情報の提供、相談その他の援助を行うこと。
   賃貸住宅に入居する住宅確保要配慮者の生活の安定及び向上に関する情報の提供、相談その他の援助を行うこと。
   前三号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。

 
 
 ところで、指定法人の業務内容は、兵庫県県土整備部の資料(添付)に拠れば、「支援業務については、必ずしも全ての業務を行う必要はありませんが、各支援業務を行う備えがあることは必要になります」とあり、『備え』とは何かは添付資料に書いてありますが、正直に言ってよく分かりません。

 
 定款に支援業務の実施に関することを記載し、「備え」があれば、実施しない理由がありません。それなのに「必ずしも全ての業務を行う必要はありません」と書いています。実施を前提しない「備え」は、意味がありません。例えば「家賃債務保証業務」に関しては、「登録家賃債務保証業者と連携を図る旨」を記載すればよいとも書かれています。
 
続く。

 

<出典>
兵庫県県土整備部 住宅建築局 住宅政策課、「居住支援法人制度の概要」、ひょうごん福祉ネット 勉強会(研修会)、「住宅セーフティネットって何? 私たちに何ができるの?」、2019/1/10、コープ生活文化センター

(K0633)  空き家と地域(3) 物件マッチング <地域の再構築>

 
 空地を有効利用するためには、空き地を提供する側と利用する側をいかにマチングさせるかが重要。既存のシステムにおける空地の物件マッチング、特に「見える化」について整理します。
 先に紹介した寺川政司氏の記事に載っていた「東京R不動産」と「家いちばん」および、神戸の「すまいネット」を調べてみました。
 


(1)  東京R不動産

 「全国のR不動産」のなかの「神戸R不動産」を見ました。
https://www.realkobeestate.jp/?r=b_trf
 
 「通常の不動産業者とは少し異なる部分も多い私たちのサービスについて、まずこちらをお読みいただけたらと思います」とあって、具体的には、
 
基本のポイント
1. 弊社での紹介取扱い物件は、原則として全てサイト上に掲載していきます。
2. お客様のご希望条件を伺って、物件をお探しすることは現在行っておりません。
3. お問い合わせはメールでお願いしております。
 
 徹底的に「見える化」を追求することにより、効率化を図っているという印象を受けました。例えば、「神戸R不動産では、こだわりあるみなさんのご期待に最大限応えられるよう、魅力的な物件を少しでも多く探し集めることに全力を注いでいます。その代わり、お客様それぞれのご希望条件を伺って個別にお探しすることは行っておりません。」
 
 さすがに、画面は見やすく工夫しています(添付図)。興味深いのは、物件ごとに『特徴』とした「タグ」を付けていることです。「海を見おろす」「眺望 GOOD」「異国/レトロ」「下町/商店街」「館/戸建」「ビル/一棟」「屋上/庭」「緑/水辺」「山際」「農村」「改装しよう!」「高架下/倉庫」「デザイン/リノベ」。また、物件説明文は、無味乾燥なデータではなく、まさに「取材記事」になっています。
 

(2)  家いちばん
 https://www.ieichiba.com/

 掲示板サイトで、いきなり「売ります」「買います」から始まります。ただし、「買います」をクリックしてもその情報はでてきません。「売ります」からスタートするようです。
 こちらも個々の物件は、しっかり文章で表現し、無味乾燥ではありません。写真も豊富に使い「ビジュアルに見せる」を工夫しています。
 
 仕組みとしては、添付図「不動産取引をもっとシンプルに!」参照。

 「いくらくらいで売ればいいの?」…そんなこと決まっていなくても大丈夫! ――― として、
•いつでも思いついた時に、気軽に物件の掲載ができます。
•売り出し価格がまだ決まっていなくても、掲載できます。
•自分の不動産でなくても(親や親戚の所有でも)掲載できます。※本人の許可はとってください
•どんな場所でも、どんなに古くっても、大丈夫です。掲載の条件はありません。
•まだ中が片付いていない、すぐに売れる状態ではない、という状況でも掲載できます。
•まだ、売ろうと決めたわけではない、金額次第で売ってもよい、という方も歓迎です。
 

(3)  すまいるネット
 神戸市の「すまいるネット」で、「お持ちの空き家・空き地相談」の紹介があります。
https://www.smilenet.kobe-sumai-machi.or.jp/vacant/

 最近始めた「空き家・空き地地域利用バンク」については、
http://www.city.kobe.lg.jp/life/town/house/information/akiyaakichi-chiikiriyou.html
参照(最終更新日2018101日)
 
 
 空地の物件マッチングをしようとするとき、当然
   売ります(貸します)
   買います(借ります)
の両方の情報が必要なのでしょうが、ともかく①がないと始まりません。そのためには、売りたい(貸したい)人が、「ここに頼めばうまくいくのではないか」と思ってもらうことでしょう。
 事業のスタートは、おそらく、売りたい(貸したい)人が「東京(神戸)R不動産」や「家いちばん」のサイトを見て申し込み、物件情報が充実してくる。次の段階で、買いたい(借りたい)人が名乗り出て、成立案件が増える。そこから好循環が始まるのでしょう。
 インターネットに掲載されている「売ります(貸します)情報」は、基本的には買います(借ります)の人のためのものですが、実は、売ります(貸します)の人にいかにアピールするかも大切で、両者にとって「ビジュアル化」は、不可欠であるという印象を受けました。また、背景としてのビジネスモデルをどう構築するか。先行している会社は、様々な工夫を凝らしているようです。
 


 私の住んでいる地域でも、空き家が確実に増えていくと思います。それが進行するとまちはさびれ、逆に有効利用としてもらうと活気がでてきます。

 
 良い「空き地物件マッチング」が増え、空き地が宝になってくれることを期待します。


2019年1月24日木曜日

(K0632)  個人Blog 1月中旬リスト <サイト紹介>

 
● 個人Blog 1月中旬リスト
 


(1480)  現代病 (1) 「感動欠乏症」(あるいは中毒)
http://kagayaki56.blogspot.com/2019/01/1480-1.html
 

(1481)  現代病 (2) 「いいね!欠乏症」(あるいは中毒)
http://kagayaki56.blogspot.com/2019/01/1481-2.html
 

(1482)  現代病 (3) 「絆欠乏症」(あるいは中毒)
http://kagayaki56.blogspot.com/2019/01/1482-3.html
 

(1483) 「自分はこれが苦手だ、あれが苦手だ」 / 心の向き
http://kagayaki56.blogspot.com/2019/01/1483.html
 

(1484)  現代病 (4) まとめ
http://kagayaki56.blogspot.com/2019/01/1484-4.html
 

(1485)  マーガレット・ミッチェル「風と共に去りぬ」(3-1) / 100de名著
http://kagayaki56.blogspot.com/2019/01/1485-3-1100de.html
 

(1486)  お風呂を沸かしたら
http://kagayaki56.blogspot.com/2019/01/1486.html
 

(1487)  マーガレット・ミッチェル「風と共に去りぬ」(3-2) / 100de名著
http://kagayaki56.blogspot.com/2019/01/1487-3-2100de.html
 

(1488)  (40) 岡倉天心『茶の本』 / 「明治の50冊」
http://kagayaki56.blogspot.com/2019/01/1488-40-50.html
 

(1489)  創作漢字コンテスト(第9回)(問題編/前編)
http://kagayaki56.blogspot.com/2019/01/1489.html
 


なお、前回の紹介は、

(K0622)  個人Blog 1月上旬リスト <サイト紹介>
http://kagayakiken.blogspot.com/2019/01/k0622-blog.html

(K0631)  空き家と地域(2) <地域の再構築>

 
1.   空き家は問題なのか?
2.   空き家をめぐる課題:五つのフリーズ(思考停止)

 ここまでは、前回書きました。
 

3.   空き家に巻きつくフリーズをとくデザイン

3.1.  固定観念(既成概念)からの脱却 ―― 「見える化」をデザインする

 各プレイヤーの固定観念を崩す(イメージを広げる)ために、具体的な実践事例や情報、ニーズやウォンツ「見える化」することが重要である。
 物件マッチングにおいては、各地の「空き家バンク」が注目されている。「見える化」に関する不動産業界の潮流としては、「東京R不動産」をはじめとする物件価値を再構築したサイトが有名である。最近では「0円物件」で注目される「家いちばん」のような掲示サイトも生まれている。
 

3.2.  所有と共用の「間」をデザインする

 まちを住まいの一部として捉え、住まいとまちの間に所有から共用の概念を再構築し、地域資源を生かして穏やかにつながる選択可能な出会いの機会と居場所のあるまちをつくる(元来日本のまちやコミュニティがもっている自然に姿でもある)。
 このように「所有と共用の間をデザインする」、これを実現したまちのことを「コレクティブタウン」と呼ぶ。
 

3.3.  「居場所」のデザインと物語

 (空き家の)社会的活用事業が各地で展開されているが、その主たるテーマは「居場所づくり」であるといっても言い過ぎではないであろう。

 ここでいう居場所とは、
 空間・時間・関係性において現れる「社会的居場所」と「個人的居場所」という二つの要素からなる「場」であり、
   自己の存在を感じる場
   自己と他者との「相互承認」の場
   居場所の要素や役割が入れ替わりながら相互浸透的につながる場
   自己の役割や生きがいを獲得する場
   身を守るためのシェルター的な場
である。
 

4.   さいごに

 空き家が問題なのではなくフリーズに問題があり、それを溶く(解く)ことで物語を産みだす資源になりうるといえる。
 制度や立場のフリーズをとき、多様なアクターによる物語や、マネジメントする「横串化のデザイン」が重要である。
 


<出典>
 ひょうごん福祉ネット 勉強会(研修会)、「住宅セーフティネットって何? 私たちに何ができるの?」、2019/1/10、コープ生活文化センター
http://hyogon.wixsite.com/fukushi-net
終わった話ですが、案内を添付します。
 
 寺川政司、空き家は「問題なのか? ヒト・モノ・コトをつむぐ物語を生むメディア」、【特集:空き家の市民的活用 文化を守り福祉に生かす】、市民活動総合情報誌『ウォロ』2018年2月・3月号(No.517)P,9-10
http://www.osakavol.org/volo/

2019年1月23日水曜日

(K0630)  空き家と地域(1) <地域の再構築>

 
 地域において、空き家の課題が大きくクローズアップされています。講演の資料から抜粋します。
 

1.   空き家は問題なのか?

2.   空き家をめぐる課題:五つのフリーズ(思考停止)

3.   空き家に巻きつくフリーズをとくデザイン
3.1.  固定観念(既成概念)からの脱却 ―― 「見える化」をデザインする
3.2.  所有と共用の「間」をデザインする
3.3.  「居場所」のデザインと物語

4.   さいごに
 

【展開】

1.   空き家は問題なのか

 空き家を、一般的にイメージされているような、問題や課題を抱える固定化された状態を表す名詞(ハード/不動産)ではなく、社会課題を解決する仕掛けやシステム、そして多様な社会関係資本を再構築する動的媒体としてみることが重要だ。
 

2.   空き家をめぐる課題:五つのフリーズ(思考停止)

 空き家をめぐる課題は主に五つのフリーズ(思考停止)に集約されると考える。
   「権利」のフリーズ
   「建物」のフリーズ
   「お金」のフリーズ
   「利用(意識)」のフリーズ
   「制度」のフリーズ
 


以下は、あらためて書きます。

3.   空き家に巻きつくフリーズをとくデザイン
3.1.  固定観念(既成概念)からの脱却 ―― 「見える化」をデザインする
3.2.  所有と共用の「間」をデザインする
3.3.  「居場所」のデザインと物語

4.   さいごに
 


<出典>
 ひょうごん福祉ネット 勉強会(研修会)、「住宅セーフティネットって何? 私たちに何ができるの?」、2019/1/10、コープ生活文化センター
 
 寺川政司、空き家は「問題なのか? ヒト・モノ・コトをつむぐ物語を生むメディア」、【特集:空き家の市民的活用 文化を守り福祉に生かす】、市民活動総合情報誌『ウォロ』2018年2月・3月号(No.517)P,9-10
http://www.osakavol.org/volo/