2019年7月31日水曜日

(K0822)  長寿食(1) 健康十か条 <体の健康>

 
家森幸男氏(*)が、その著書『食でつくる長寿力』の序文で、次の様に言っています。

===== 引用はじめ
 高齢化社会と医療費削減が叫ばれる中、これからの医療は必然的に予防医学にシフトせざるをえない。そして、その予防医療の中核は食生活の改善にある。
 長寿力の条件ははっきりしている。 この健康10カ条は、長寿地域の食生活から導き出された結論である。
 
その1 食塩を控えめに
その2 脂肪、とくに動物性脂肪をとりすぎない
その3 野菜と果物をたっぷり
その4 乳製品をとる
その5 魚や大豆で良質なたんぱく質を

その6 食事は大勢でにぎやかに
その7 食材をバランスよくその8 一日一膳(一日のうち一食は体にやさしい食事を)
その9 長生きは勝ち取るもの


その10 前向きに明るく生きる
===== 引用おわり
(*) 武庫川女子大学 国際健康開発研究所 所長


その1~5は、食成分のあり方、
その6~10は、食生活のあり方。
ここまでは、似たようなことが色々なところで言われています。
 

これを知っているだけでは意味がなく、
これを実生活で実践してこそ健康を保てます。
それが、難しいのです。
 
定性的にしか言われていません。
気にしながら食生活をしていて
それで十分なのか十分でないのかが分かりません。
 
食べる時、何を何グラム以上とか以下とかと定量的に教えてもらっても、
病院食のようにプロが作るならいざ知らず、
普通の生活では、毎日、毎日測るわけにもいきません。
 

そこで現れたのが、「ユリカップ」です。
 
 続く
 

<出典>
【時習26回3-7の会 0224】~「家森幸男『食でつくる長寿力』」「ほんとうの時代2月号~松下幸之助『人生は終生勉強』(人生後半を生きる言葉6)」
http://jishu2637.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/26-02242-f9b3.html

2019年7月30日火曜日

(K0821)  高齢期の引きこもりを考える(5) 居場所の落とし穴 <社会的健康>

 
 引きこもりを防ごうと、最近、居場所が随分できてきました。うまくいくことと、なかなかうまくいかないこととがあります。どういうケースでうまくいかないか、一つのパターンを検討してみます。
 

===== 引用はじめ
 知的に高等な生き物が自らの心の安定を保つすべは、大きく2通りに分かれることが分かっている。仲間と集まって暮らすのが、その一つ。もう一つが、特定の空間を自分の居場所として周囲に結界を張り占有するという方法である。縄張りを形成し、専らそのなかで生活するのだ。
 どちらを選ぶかは個体次第。淡水魚のアユは友釣りで有名なように縄張りを作って侵入者を攻撃すると思われがちだが、川の淵に行くと、大勢が群れて仲良くしている。こういうライフスタイルの多様性はヒトも例外ではなく、どちらが良いとか悪いとかの話でもない。
===== 引用おわり
 
 二つのパターンがあります。居場所型と縄張り型とです。多くの居場所は、居場所型の人が設営し、その居場所を運営します。しかし、引きこもりには、縄張り型が多いようです。縄張り型人間にとって実は、居場所は居心地が悪いのです。
 

 中には、工夫している居場所もあります。例えば、「男の人には役割を与える事が大切」と考え、「あなたは、こういうことをしてくださいませんか。そうしていただけると、みんな助かります」とお願いをします。これは、縄張りを提供している、すなわち、居場所の中に縄張りをつくってあげています。縄張り型は張り切って、立派な縄張りをつくって行きます。
 
 多様な人が来やすい居場所にするために、縄張り型の人の意見を聞いてみてはいかがでしょうか。
 
 
<出典>
 
引きこもり「8050問題」逆転の発想も 京大霊長類研教授・正高信男
【新聞に喝!】 産経新聞(2019/07/07)
https://www.sankei.com/column/news/190707/clm1907070003-n1.html
 
添付図は、

http://www.tsurisoku.com/news/2017/05/28/946/

2019年7月29日月曜日

(K0820)  思うように動けない(再春館製薬所) <体の健康>


 インパクトのある広告です。すべて、思い当たる節があります。
 
 当面は、私は薬に頼らず、しっかり食べ、しっかり体を動かしたいと思っています。薬の効き目は、のんでいないので分かりません。


===== 引用はじめ
 でも、大丈夫。筋肉の生まれ変わるスピードが速く、48日で約半分が生まれ変わるため、何歳からでも増やすことが可能です。
===== 引用おわり
 
 時間をかけて筋肉をつけても、少しさぼると、あっという間に筋肉が衰える、というのが実感です。
 


<出典>
おもうように動けない、歩くこともままならない
【全面広告:再春館製薬所】 産経新聞(2019/07/17)


2019年7月28日日曜日

(K0819)  高齢期の引きこもりを考える(5) 高齢期からの引きこもり <社会的健康>

 
 高齢期の引きこもりには、3種類あると思います。

(1)  若い頃から引きこもって、引き続き引きこもり
(2)  引退して、仕事が無くなって、引きこもり
(3)  引退して出かけていたけれど、しんどくなって引きこもり
 

 今回は、(2)を検討します。
 
 長年の会社勤めが終わって、退職した。前からやりたいこととし、本を読んだり、映画を観たり、旅行に行ったりしていたが、だんだん飽きてきて、出かける意欲も失せ、家でゴロゴロするようになった。
 
 なかには一念発起し、「○○の会」に出てみたが、どうも馴染みにくい。おばさまたちが仕切って、どうも変なことをしている。それではだめだと、やり方を教えてあげたら、嫌われたみたいで居心地がわるかなった。行く気がなくなった。
 
 (既婚の男性の場合)家にいると、三度の飯は奥さんが作ってくれるが、なんだか最近不機嫌だ。
 

 先に書いた「(K0817)  高齢期の引きこもりを考える(4) 引きこもりたくて引きこもっているのではない <社会的健康>」とは、少し様子が違うようです。
 
 定期的に出かける先ができればよいのですが――。

2019年7月27日土曜日

(K0818)  認知症の方にとって「心地いい」認知症カフェにするには <脳の健康>

 
 認知症カフェは、必要であるが、運営は難しそうです。
 
===== 引用はじめ
 28年に実施された実態調査(1477カ所が回答)では、活動内容として、テーマを決めて意見交換する認知症の本人や介護者の「ミーティング」の実施は9%にとどまった。「運営上の課題」には、77%が「認知症の人が集まらない」と回答した。
===== 引用おわり
 

 認知症の方にとって「心地いい」認知症カフェにする条件を考えてみました。
 
1.   認知症者介護経験者が貴重な人材だ

2.   認知症カフェに認知症者を集めるのではなく、認知症者のいるところで認知症カフェをつくれないか

3.   認知症になっても通い続けられる居場所があるといいな
 

【展開】

1.   認知症者介護経験者が貴重な人材だ

(1)  プロより経験者
===== 引用はじめ
 竹内弘道さん(75)=東京都目黒区=の自宅には月3回、年齢がさまざまな男女が集まってくる。代表理事を務めるNPO法人「Dカフェネット」が「認知症カフェ」として運営。竹内さんやスタッフは身内の介護経験者だが、介護・福祉のプロではない。
===== 引用おわり
 
(2)  経験者として応援
===== 引用はじめ
 母の死から1年余りたったが、土方さん夫妻は竹内さん宅に顔を出し、別の参加者に体験談を語る。「認知症の人も家族もどんな人でも受け入れてくれるのはありがたい。母だけでなく私たちも救われていた。その恩返しをしている」
===== 引用おわり
 
(3)  経験者として設置
===== 引用はじめ
 認知症カフェは思い出が詰まった母親の自宅で開く。地域の認知症の高齢者を温かく出迎え、好きな話題でおしゃべりを楽しむ。柔らかな表情を向けてくれる瞬間がうれしい。認知症の人への理解につながればと、専門家を招いた勉強会も定期的に行っている。
===== 引用おわり
 

2.   認知症カフェに認知症者を集めるのではなく、認知症者のいるところで認知症カフェをつくれないか

===== 引用はじめ
 Dカフェが特徴的なのは、竹内さんの自宅だけでなく、認知症専門病院や訪問看護センター、居酒屋など計10カ所で定期的に開催されていることだ。
===== 引用おわり
 

3.   認知症になっても通い続けられる居場所があるといいな
 私(=藤波)の意見だが、認知症カフェでは行きにくい。「居場所の認知症カフェ化」をできないだろうか。居場所に通っていた方が、認知症になってもそのまま通えると、ありがたい。
 


<出典>
地域社会との「共生」模索 「心地いい」居場所作りを
産経新聞(2019/07/27)
https://www.sankei.com/life/news/190705/lif1907050011-n1.html

2019年7月26日金曜日

(K0817)  高齢期の引きこもりを考える(4) 引きこもりたくて引きこもっているのではない <社会的健康>

 
 「引きこもりたくて引きこもっているのではない」と、引きこもり当事者からよく聞きます。不思議な言葉です。周りを見ても、引きこもりを強制しているような人は見当たりません。「たとえ、いたとしても、自分の意思で出かけて行けばよいではないか。引きこもると決めているのは自分自身ではないか。引き込んでいるのが嫌なら、自分で出てくればよい。引きこもりたくて引き込んでいるにちがいない」などと思ってしまいます。
 
 「誰かのせいだと言っているのではない。自分は引きこもりたくはない。でも、引きこもってしまう。だから、引きこもりたくて引きこもっているのではない」ということかもしれません。
 
 不安がある。恐怖心がある。だから出かけられない。「心配しなくていいよ、怖がることはないよ」と言ってくれるのだけれど、そして頭ではわかるのだけれど、不安の心や恐怖心がどうしても湧きあがってしまうこともあるでしょう。
 
 過去に、とても悲しい思いをした、怖い思いをした、嫌な思いをした。出かけようとすると、そのようなシーンがまざまざと蘇る。それは、ぬぐおうとしても、ぬぐえるものではありません。自分を守ろうとする本能に直結しています。本能はとても強固です。我々の意志では、なかなか動いてくれません。
 
 「引きこもっていてはだめだ。出かけよう」という強い意志はある。でも、それではなんとも出来ないような、強烈な不安感や恐怖心がある。だから「意志を強くもちなさい」と説教されても、変えられません。
 
 これは、時間をかけて、少しずつ変えていくしかないのではないでしょうか。でも、一人では難しいです。でも、引きこもっているので、誰とも話ができないのです。でも、そこから変わり始めるのではないのでしょうか。少しだけでも話ができた。そこから、時間をかけて、変わっていく――。特効薬はないようです。
 
 続く。

(K0816)  認知症の人が輝ける場に <脳の健康>

 
 天王寺で、認知症の人が集う拠点がオープンする。

===== 引用はじめ
 認知症初期の人が社会にかかわりながら地域で暮らす拠点にしようと、大阪市は28日、天王寺区のマンションに事業所「ゆっくりの部屋」をオープンさせる。
===== 引用おわり
 

 「認知症の人と家族の会」府支部代表で、事業所の責任者を務める西川勝さん(62): 「認知症になっても居場所はある。『認知症になったら不自由だ』という世間の考えを変えたい」
 
 約5年前に夫(74)が認知症になった大阪市内の女性(66): 「診断された直後、夫と一緒に行ける場所がなかった。いつでも集まれるこんな場所があったら家族も助かると思います」
 

<案内>

 誰でも来所可。予約不要、無料。31日以降の開所は午前11時~午後5時(日曜は午後1時~7時)、定休日は月、火曜、第1・3日曜と祝日。問い合わせは同事業所(080・9800・6880)。
 

<体制・行事>

  認知症の人や家族が自由に集える場所にする。認知症の人たちにも非常勤スタッフとして働いてもらい、当事者による「ピアサポーター」として認知症と診断された人からの相談に応じる予定だ。

  来所した人が持ち寄った本でつくる「いきいき認知症まちライブラリー」も開設。

  認知症の人と一緒に地域の親子が利用できる「子ども食堂」を開いたり、

  地域のフリーマーケットに出店したりする計画もある。
 


<出典>
認知症の人が集う拠点 28日、大阪に拠点オープン
産経新聞(2019/07/23)
認知症の人が輝ける場に 28日、大阪に拠点オープン
https://www.sankei.com/life/news/190723/lif1907230014-n1.html


2019年7月24日水曜日

(K0815)  高齢期の引きこもりを考える(3) 引きこもりの善悪 <社会的健康>

 
 働くことを求められない『老年引きこもり』は、必ずしも「悪」ではない。と同時に必ずしも「善」ではない。では、善と悪の境目は、どこにあるのだろうか。エネルギーの有無によって違ってくると思う。
 
1.   エネルギーがある

1.1.  善い引きこもり:エンジョイしている

1.2.  悪い引きこもり:不具合がある
1.2.1. 自分が辛い
1.2.2. 家族が困る
 
2.   エネルギーがない

2.1.  善い引きこもり:自然なエネルギー減

2.2.  悪い引きこもり:鬱などによるエネルギー減
 


【展開】
 
1.   エネルギーがある
 
1.1.  善い引きこもり:エンジョイしている
 引きこもって一人でいることを(エネルギー使って)エンジョイしている。エンジョイするには、エネルギーが必要だ
 
1.2.  悪い引きこもり:不具合がある

1.2.1. 自分が辛い
 エネルギーがあるのに引きこもって、自発的な行動がなく、辛く感じている。エネルギーを使おうとしない時、陥る

1.2.2. 家族が困る
 本人の引きこもりにより家族が困る。夫の言動が原因で妻がストレスを感じ、溜まったストレスにより妻の心身に生じる様々な不定愁訴を主訴とする疾病概念を「夫源病(ふげんびょう)」という
 
 
2.   エネルギーがない
 
2.1.  善い引きこもり:自然なエネルギー減
 老齢化によりエネルギーが減退し、心穏やかに家に留まっている。同居人(家族)が相手をするか、誰かが時々訪問し、人的な接触は維持できている。外出しないので引きこもりのように見えるが、引きこもりといってよいか?
 
2.2.  悪い引きこもり:鬱などによるエネルギー減
 鬱で出かけられず家に留まっている。鬱であるなら、無理やり外出はできない。引きこもり自体が悪いのではなく、鬱の治療が必要。引きこもることを無理に辞めさせてはいけない
 


 結局、「引きこもりは止めましょう」と働きかけるのは、エネルギーがあって引きこもり、不具合がある場合だけのようです。


<出典>
引きこもり「8050問題」逆転の発想も 京大霊長類研教授・正高信男
【新聞に喝!】 産経新聞(2019/07/07)
https://www.sankei.com/column/news/190707/clm1907070003-n1.html

2019年7月23日火曜日

(K0814)  認知症新大綱 「予防」に対する抵抗 <脳の健康>

 
(K0814)  認知症新大綱 / 「予防」に対する抵抗 <脳の健康>
 
===== 引用はじめ
 認知症対策を進める政府の新たな大綱が決まった。令和7(2025)年に認知症の高齢者が約700万人に達すると推計される中、患者が暮らしやすい社会を作る「共生」に加えて、発症や進行を遅らせる「予防」に初めて重点が置かれた。
===== 引用おわり
 
 “患者が暮らしやすい社会を作る「共生」に加えて、発症や進行を遅らせる「予防」に初めて重点が置かれた”という部分に紆余曲折があったようです。
 
===== 引用はじめ
 ただ、認知症の患者や家族には「予防が強調されれば、『認知症になったらおしまい』といった偏見が広がる」「認知症の人たちへの理解が薄らぐことにつながらないか」との懸念が渦巻く。
 政府はこうしたことを踏まえ、大綱の2本の柱を素案段階と入れ替えて「共生」「予防」の順とした。厚労省の担当者は「予防のためには共生の社会づくりが大前提。大綱が予防だけをことさら強調して取り組むものではないことを明確にした」と強調している。
===== 引用おわり
 
 私は、よく理解できません。「認知症」を「インフルエンザ」に置き換えてみます。
 「予防が強調されれば、『インフルエンザになったらおしまい』といった偏見が広がる」「インフルエンザの人たちへの理解が薄らぐことにつながらないか」との懸念が渦巻く。
 「インフルエンザを予防しましょう」と言っても、こんな議論にはならないでしょう。

 インフルエンザは予防の方法が確立されているが、認知症は確立されていません(こうすれば認知症には絶対にならないという方法はない)。しかし、「どのような状態なら認知症になりやすい」「どのようにすれば認知症になりにくい」という知見は多くあるので、予防は有効だし、必要です。「認知症の予防を強調すると偏見が広がる・理解が薄らぐ」ということこそ、偏見と無理解だと思います。


 

===== 引用はじめ
 治療法が明確でないにもかかわらず、政府が大綱の柱に予防を据えた背景には、膨らみ続ける社会保障費への危機感がある。
===== 引用おわり
 
 当然な危機感で、この危機感が無いとすると、それこそ危機的な状況だと思います。
 


===== 引用はじめ
 「予防」とは、「認知症にならない」という意味ではなく、「認知症になるのを遅らせる」「認知症になっても進行を緩やかにする」という意味である。運動不足の改善、糖尿病や高血圧症等の生活習慣病の予防、社会参加による社会的孤立の解消や役割の保持等が、認知症の発症を遅らせることができる可能性が示唆されていることを踏まえ、予防に関するエビデンスの収集・普及とともに、通いの場における活動の推進など、正しい知識と理解に基づいた予防を含めた認知症への「備え」としての取組に重点を置く。結果として、70 歳代での発症を 10 年間で1歳遅らせることを目指す。また、認知症の発症や進行の仕組みの解明、予防法・診断法・治療法 等の研究開発を進める。
===== 引用おわり
 
 画期的な内容とはいかないが、別におかしいとろはないと、私は思います。
 
 先ず「予防」があって、それでもだめになったら「共生」。元々のこの順番が妥当です。「予防のためには共生の社会づくりが大前提」というのは役所らしい苦心の言い回しです。言い回しの順番はどちらであっても、両方必要なことには変わりはありません。
 


<出典>
「認知症」新大綱、現場では 高まる「予防」の意識 社会保障費抑制にジレンマ
産経新聞 (2019/07/05)
https://www.sankei.com/life/news/190705/lif1907050009-n1.html
 
認知症施策推進大綱について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000076236_00002.html


 
 


2019年7月22日月曜日

(K0813)  高齢期の引きこもりを考える(2) 老年引きこもり <社会的健康>

 
 引きこもりを『年少引きこもり』『生産年齢引きこもり』『老年引きこもり』に分けてみました(K811)。この中で特に重いのが『生産年齢引きこもり』です。「働くことが求められる」のに引きこもってしまいます。『生産年齢引きこもり』という言葉自体が自己矛盾を起こしてしまっています。引きこもったまま生産するのは、とても難しいからです。
 
 ここで「働く」には、二つあります。子どもの頃は親に養ってもらいますが、いつまでもというわけにはいきません。自分の生活費は自分で稼がねばならないし、家族をもてば家族を養わねばなりません。「働く」の一つ目は「稼ぐ」。もう一つは「傍楽(ハタラク)=傍を楽にさせる」。専業主婦として家庭を守るのも「はたらく」です。いずれにせよ、必要なところには出向き、必要な人とは話さねばなりません。引きこもっていては働きません。だから『生産年齢引きこもり』はあってはいけないのです。
 

 それにひきかえ、『老年引きこもり』は、なんとも気楽です。「働くことが求められない」のだから、そのためにどこかに行くこともないし、誰かと話す必要もありません。「引きこもって何が悪い!」と声を大きくしていいたてところです。
 
 
===== 引用はじめ
 他人と付き合うのが苦痛だから、一人離れて暮らすことを選択した人間など、古今東西珍しくなかったし、その人の心が病んでいるわけでもない。かのダーウィンや南方熊楠(みなかた・くまぐす)だって引きこもりやニートのはしりの部類かもしれない。
===== 引用おわり
 
 そう言ってもらうと明るい気分になれるが、はたして「ダーウィンや南方熊楠だって引きこもりやニートのはしりの部類」だったのだろうか。研究に没頭するために一定期間人とのつきあいを制限するのは、引きこもりで悩んでいる人たちの引きこもりとは異質ではないか。
 

===== 引用はじめ
 同じく引きこもりが社会問題化している香港での調査結果を読むと、引きこもっている人の生活の質は二極化し、一人でいることをエンジョイする層とつらく感じる層に分かれているという。
===== 引用おわり
 
 働くことを求められない『老年引きこもり』は、必ずしも「悪」ではない。と同時に必ずしも「善」ではない。肯定的な引きこもりと、否定的な引きこもりとがあるみたいです。
 
 続く。
 
<出典>
引きこもり「8050問題」逆転の発想も 京大霊長類研教授・正高信男
【新聞に喝!】 産経新聞(2019/07/07)
https://www.sankei.com/column/news/190707/clm1907070003-n1.html

2019年7月21日日曜日

(K0812)  個人Blog 7月中旬リスト <サイト紹介>

 
● 個人Blog 7月中旬リスト
 

(1661)  小松左京『小松左京スペシャル』(3-1) / 100de名著
http://kagayaki56.blogspot.com/2019/07/1661-3-1100de.html
 
(1662)  アブドーラ・ザ・ブッチャー(プロレス)
http://kagayaki56.blogspot.com/2019/07/1662.html
 
(1663)  小松左京『小松左京スペシャル』(3-2) / 100de名著
http://kagayaki56.blogspot.com/2019/07/1663-3-2100de.html
 
(1664)  光の意識
http://kagayaki56.blogspot.com/2019/07/1664.html
 
(1665) 「対存在」という概念
http://kagayaki56.blogspot.com/2019/07/1665.html
 
(1666) 「プロ・ライフ」
http://kagayaki56.blogspot.com/2019/07/1666.html
 
(1667)  視覚障害者へ貸与 レンタカー店断る
http://kagayaki56.blogspot.com/2019/07/1667.html
 
(1668)  小松左京『小松左京スペシャル』(4-1) / 100de名著
http://kagayaki56.blogspot.com/2019/07/1668-4-1100de.html
 
(1669)  うるさい選挙カーには訳がある / 平等志向の結果
http://kagayaki56.blogspot.com/2019/07/1669.html
 
(1670)  各党予測議席獲得数(参院選 2019/07/21) / 予測
http://kagayaki56.blogspot.com/2019/07/1670-20190721.html
 


なお、前回の紹介は、

(K0802)  個人Blog 7月上旬リスト <サイト紹介>
http://kagayakiken.blogspot.com/2019/07/k0802-blog.html

2019年7月20日土曜日

(K0811)  高齢期の引きこもりを考える(1) 社会的な側面 <社会的健康>

 
 引きこもりの話題が増えてきて、このBlogでも取り上げてきました。以前は、若者の引きこもりが中心でしたが、最近では5080問題(*)が取りざたされています。それに伴い「引きこもり」とは何か、が少しずつずれているように感じます。整理してみます。


 人口区分に、次のような概念があります。「生産年齢人口」とは、年齢別人口のうち、生産活動の中核をなす年齢の人口層を指し、日本では15歳以上65歳未満の人口がこれに該当します。「生産年齢人口」の前に「年少人口」があり、後ろに「老年人口」があります。すなわち、「年少人口」→「生産年齢人口」→「老年人口」と進んでいきます。
 
 人は生まれ、「働くことが求められない」時期から始まり、「働くことが求められる」時期を過ごし、再び「働くことが求められない」時期を通過して、死に至るのが一般的だと思います。
 
 
 8050問題は、本質的には、「働くことが求められる」時期の引きこもりです。この引きこもりと、「働く事が求められない」時期の引きこもりとは、ずいぶん違うのではないでしょうか。対処の仕方が違うのではないでしょうか。

 人口区分にちなんで、『年少引きこもり』、『生産年齢引きこもり』、『老年引きこもと名づけます。その境界線は、15歳とか65歳とかの年齢ではなく、働くことが求められるどうかで決まります。


 
 8050問題は、一人の人間において、『年少引きこもり』から『生産年齢引きこもり』へ、更には『老年引きこもり』へと引きこもり状態が継続されてしまう状況でもあります。
 
 続く。
 
 
(*)8050問題」
===== 引用はじめ
 名付け親は大阪府豊中市社会福祉協議会所属のコミュニティ・ソーシャルワーカー勝部麗子である。
 引きこもりの若者が存在していたがこれが長期化すれば親も高齢となり、収入に関してや介護に関してなどの問題が発生するようになる。これは80代の親と50代の子の親子関係での問題であることから「8050問題」と呼ばれるようになった。該当している親子の親には収入がなくなっている状態であり、様々な理由から外部への相談も難しく、親子で社会から孤立した状態に陥っている。
===== 引用おわり
Wikipedia、「8050問題」


2019年7月19日金曜日

(K0810)  どうする? 増える空き家 <地域の再構築>

 
 地域にとって空き家は大きな問題です。しかし、自治会としてできることはほとんどありません。出来ることと言えば、行政に相談することぐらいでしょうか。
 

 以下、新聞記事から抜粋
=====  (箇条書き形式にした)
(1) 空き家対策特別措置法
 国土交通省は空き家対策特別措置法に基づく対策計画について、1051市区町村が3月末までに策定を終えたと公表した。全体の60%に当たり、前回調査(昨年10月時点)から11ポイント増。市区町村に策定の義務はないが、今年度中に70%を超える見通し。計画には空き家の撤去や活用の方針などを盛り込む。

(2) 特定空き家
 一方、特措法が施行された平成27年度以降、倒壊などの恐れがあるとして、市区町村が所有者に改善を助言・指導した「特定空き家」は541市区町村の1万5586件に上った。このうち41件は行政代執行により、強制的な取り壊しなどが実施された。
=====
 
 因みに神戸市の対策については、
http://www.city.kobe.lg.jp/business/regulation/urban/building/work/akiya.html
 


<出典>
どうする?増える空き家 地震に備え解体、移住者誘致へ起業推進
産経新聞(2019/07/17)
https://www.sankei.com/life/news/190717/lif1907170026-n1.html


2019年7月18日木曜日

(K0809)  一括相談窓口 / 何か、変だ <介護>

 
 引きこもりや貧困、介護といった家庭の問題について、一括相談窓口を作ろうという動きがある。
 
===== 引用はじめ
 厚生労働省の有識者会議は16日、引きこもりや貧困、介護といった家庭の問題について、市区町村の縦割りの対応を見直し、断ることなく一括して相談に応じる体制の整備に向けた中間報告をまとめた。年内にも具体的な内容を盛り込んだ最終報告書を作成。厚労省は来年の通常国会に社会福祉法改正案を提出したい考えだ。
===== 引用おわり
 

 良いことだと思うが、ありきたりだ。実施したくても出来ない事情がある。そこをどうするかまで踏み込まないと、結局、厚生労働省は、役所に負担をかけるだけの組織になってしまう。
 
 一つ目の添付図は、おそらく新聞社が描いたものだろうが、変だ。

(1)  相談者は困っているのだ。介護や貧困や引きこもりにカテゴライズするのは受けての勝手だ。まずは丸ごと全部を受けとめることから始めなければならない。「介護」や「貧困」や「引きこもり」が来るのではなく、困った人が来るのだ

(2)  解決を与えるのではない。本人が解決するのを支援するのだ
 

 私のイメージを二つ目の図に示す

A)   現状
 相談者が困りごとをもってきたら、
   「介護」や「貧困」や「引きこもり」に分割し
   それぞれの担当部門が個々に対応する
 
B)   改善

 相談者が困りごとをもってきたら、
   「介護」や「貧困」や「引きこもり」に切り分け
   それぞれの担当部門を呼び込み「場」(カンファレンス)つくる
   「場」で関係者が検討する。必要に応じて相談者も加わってもらう。相談者が納得できる対策が見つかれば、その後は、相談者の実行をサポートする
   原則は窓口が相談者の立場に立って統括するが、関連部門の一つが仕切ってもよい
 

 現実問題として、カンフェレンスは、マン・パワーを必要とする。全ての相談者には適用できない。重大かつ複雑な案件に絞り込み、他は「簡易型カンフェレンス」とか従来方式にしないと、現場はもたないと思う。現場がもたないと、結局は相談者へのサービスの質が低下する。
 
===== 引用はじめ
 中間報告は「属性や課題に基づいた既存の制度の縦割りを再整理する新たな制度枠組みの創設を検討すべきだ」と強調。どんな相談も丸ごと断らずに受け付ける窓口を市区町村に整備し、関係機関が連携して解決を図るよう求めている。
===== 引用おわり
 
 言っていることは立派だが、大丈夫だろうか。「新たな制度枠組みの創設」も大切だが、運用をどうするかが大切だろう。「新たな制度枠組みの創設」をしなくても、運用で改善できる余地が、ずいぶんあると思う。
 
 厚生労働省の有識者会議の報告は、方向としては間違いないと思うが、杓子定規に押し付けると、現場を混乱させ、結果として、サービスを低下させると思う。
 

<出典>
引きこもり・貧困・介護  自治体に一括相談窓口
産経新聞(2019/07/17)
https://www.sankei.com/life/news/190716/lif1907160016-n1.html
自治体の家庭相談窓口、一本化 引きこもりや貧困・介護