2019年10月31日木曜日

(K0914)  健康寿命のカギを握る「歯」「目」「関節」/山科章(1) <体の健康>

 
☆☆
体の真ん中というより、端にある部位だ。生き抜くために大切なのは、心臓、内臓、脳だと思う。それが頑張って長生きしても、自由にやりたいことが出来なければ、虚しくなる。「歯」「目」「関節」にも目を向けよう
☆☆
 

===== 引用はじめ
   若い頃からパソコンやスマートフォンなどで眼を酷使し、
   歯は虫歯にならないと歯科へは行かず、
   仕事が忙しくて長年運動不足。
そういった方々の健康寿命は縮まるリスクが高い。危機をいかに回避するか、予備能力を高めるかが重要です
===== 引用おわり

 思い当たる節のある人が、多いのではないでしょうか。
 
 「歯、目、関節の3つがキーワードです。この3つを早い段階でいかに守るか。それが健康寿命を左右すると考えます」
 
 
1.   「歯」
 長らく歯科を受診していないと、無自覚の状態で歯周病が進行してしまう。厚労省の2016年「歯科疾患実態調査」によれば、歯周病の目安となる4ミリ以上の歯周ポケットの保有者は、55歳以上で5割を超える。歯周病を放置すると抜歯の原因になることに加え、歯周病菌が肺炎などの感染症や、糖尿病や認知症などとの関わりが深い
 
2.   「目」
 失明原因第1位の「緑内障」は、40歳以上の20人に1人が発症するという。緑内障は目のスクリーンともいうべき網膜の神経が変性・死滅するが、早期段階では自覚症状が乏しい。
 
3.   「関節」
 関節にしても、運動不足や肥満などで「変形性膝関節症」と診断されると、膝の治療はもとより、ダイエットや周辺の筋力アップを勧められるだろう。トータル的な機能改善が予備能力を高めることにつながる。しかし、これまで放置してきたことを一気に改善するのは難しい。
 
 指摘したのは、東京医科大学病院トータルヘルスケアセンターの山科章センター長。
 
<出典>
健康寿命のカギを握る「歯」「目」「関節」 専門家が教える「健康資産アップ術」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191017-00000009-ykf-soci
 
添付資料は、
https://www.nhk.or.jp/kenko/doctor/dct_2288.html
 



2019年10月30日水曜日

(K0913)  終末期の確かな予想 / 平穏死(A-7)<臨死期>

 
☆☆
ピンピンコロリで死ななかった人(95%の確率)は、終末期医療を避けて通れない。嫌でも本人や家族が選択を迫られる日がくる。病院で死ぬのか家で死ぬのか、延命治療をどこまで受けるのか、平穏死を目指すのか
☆☆
 
 
 終末期について、統計的に確かな予想が三つあります。

(1)  ピンピンコロリができるのはわずか5%の人だけ
(2)  2人に1人ががんになる
(3)  2人に1人が認知症になる
 

 今でも5%のピンピンコロリに希望を託し、「がんや認知症は考えるだけでも恐ろしい」と逃げる人が多くいます。95%の人はピンピンコロリでは死なず、そのうち75%の人は、死ぬ前にがん and/or 認知症になります。
 
 ピンピンコロリとは、脳出血や心筋梗塞だけでなく、自殺や不慮の事故で突然死のことだと言うと、みんな引いてしまいます。ピンピンコロリを希望したが、“残念ながら脳出血や心筋梗塞で死ねなかった”方は、どうぞ自殺や不慮の事故での突然死のコースへお進みください、ということになります。「脳出血や心筋梗塞」になろうと不摂生に暮らしていると、いざという時は救急車が飛んできて、「半身不随・寝たきり長寿コース」へ導いてくださるそうです。
 
 ピンピンコロリで死ななかった人(95%の確率)は、終末期医療を避けて通れません。ならば、延命治療をどうするのか? 病院で死ぬのか? 家で死ぬのか? 平穏死を選ぶのか? 最大限の延命治療をしてもらうのか? 嫌でも本人や家族がそうした選択を迫られる日がくるのです。
 
 因みに、会津には「ピンピンコロリ」祈願のお寺が3つあり、「会津ころり三観音」と呼ばれて高齢者に大変な人気だそうです。
 以前にテレビを見ていた時の記憶です。四国に「ぼっくり信仰」というのがあり、そこに熱心に通う人は、ちっとも死なないそうです。険しい山を登らねばならず、そこに通う人は皆、健康になるそうです。
 
<出典>
長尾和宏、「平穏死 できる人、できない人」、PHP研究所(2014)P.34-37
 
会津ころり三観音のご紹介
https://www.marumine.co.jp/blog/?p=4942

2019年10月29日火曜日

(K0912)  台風19号犠牲 半数70歳以上 <高齢期の安全・安心>

 
☆☆
災害弱者をどう助けるかを突き詰めれば、そうでない人の役にも立つはず。すべきことは、そう複雑ではなく、やれば出来ることも多い。それにも関わらず、亡くなる方が多い。個人、地域、自治体、各々の役割を果たせ
☆☆
 

 台風19号では、身元不明者らを除く犠牲者78人のうち39人が70代以上。うち80代以上は20人にのぼる。障害者も含めた「災害弱者」の命をどう守るかという課題が、改めて突きつけられた。今後、どうすればよいのか。
 
 死亡時の状況の例として4点が紹介されている。

   自宅が浸水
   自宅が土砂崩れで倒壊
   水没した車両から発見
   風にあおられ転倒
 
 
 自宅と屋外とに分けて考えると分かりやすくなりそうです。
 
 専門家の指摘

(1)  危機管理アドバイザーの国崎信江さん
 「自治体によっては災害避難時に要支援者の情報を表記した地図を作成しているところもあるが、取り組みには差がある」と指摘。「日ごろの取り組みを通じて、住民の防災意識を高めることが大切だ」

(2)  兵庫県立大学 院の室崎益輝教授(防災計画)
 「明るいうちに行政がバスで町を回って、半ば強制的に避難させることや、近所同士で1カ所に集まってもらい、一緒に移動させるような対策が求められる」と述べた。
 

<出典>
【台風19号】犠牲者の半数が70代以上、災害弱者の命どう守る
産経新聞(2019/10/29)
https://www.sankei.com/affairs/news/191028/afr1910280033-n1.html


2019年10月28日月曜日

(K0911)  平穏死するために超えなければならない3つの課題 / 平穏死(A-6)<臨死期>

 
☆☆
「平穏死できる人」になるためには、3つの要件(本人の意思、家族の理解、主治医の支持)全てがそろうことが必要。本人の意志は自分で決めればよく、主治医も選べる。家族の理解が得られない時、一番難しくなる
☆☆
 

A)   3つの課題
 元気なときから準備さえしておけば、「平穏死できる人」になることができます。平穏死するために超えなければならない課題を、3つに分けて考えてみましょう。

 3つの課題とは、本人の課題、家族の課題、主治医の課題です。

   本人の課題
 本人の課題とは、自分自身の死についての考え方や希望、終末期医療の現状についてどれだけ知っているかの知識量です。

   家族の課題
 「平穏死できる人」になるには、家族の協力と同意も不可欠です。

   主治医の課題
 平穏死に一番興味がないのが医療関係者です。いまだに「平穏死」という言葉を知らない医者が大半です。
 

B)   3つの要件
 「平穏死できる人」になるためには、3つの要件がそろうことが必要です。なんとなくなりゆきにまかせていたのでは、この3つをそろえるのはなかなか難しいと思います。

 3つの要件とは、本人の意思、家族の理解、主治医の支持です。

   本人の意思

   家族の理解
 たとえば本人が平穏死を望んでいても、家族が延命治療を強く望む場合がよくあります。
 末期がんで死期が近いとわかっているのに、人工呼吸器をつけられて、麻酔で眠らされている人もいます。仮に何日かは長く生きられても、かわいそうだと思います。

   主治医の支持
 病院からすれば何もせずに死んでしまってももうからない。なるべくいろいろな処置をして、医療費をたくさんつかったほうがもうかる。
 

<出典>
長尾和宏、「平穏死 できる人、できない人」、PHP研究所(2014)P.26-32

2019年10月27日日曜日

(K0910)  家族と人口 / 「家族の解体」(2) <家族の再構築><少子高齢化>

 
☆☆
日本では少子化と高齢化が同時に進み、共同体の基盤が危うい。生命体を再生産する機能をもつものは家族だ。家族維持への指向性がこの社会から消滅しつつある。個人の尊厳の呪縛から自らを解き放つのが課題だ
☆☆
 


1.   家族解体、地域共同体・日本という国家自体が衰滅へ【再掲】
 日本の家族は着実に「解体」に向かって進んでおり、これが推移していけば地域共同体はもとより日本という国家自体がいずれ衰滅するのではないかという不吉な予感さえ漂う。
 
 
2.   日本の人口

2.1.  年間出生数(図参照)
 日本の年間出生数は、1949年に270万人、2016年に98万人。67年間で36%にまで減少している。
 
2.2.  生産年齢人口
 「生産年齢人口」(15歳~64歳人口)は1996年に減少に転じている。人手不足は実はもう20年以上前から始まっていたのである。
 
2.3.  合計特殊出生率
 「合計特殊出生率」(一人の女性が生涯を通じて生む子供の数)の昨年の値は1・42であった。2%以上でないと、人口を維持できない。
 
2.4.  生涯未婚率
 「生涯未婚率」(50歳までに一度も結婚したことのない人の比率)急増して昨年は男性23%、女性14%ほどになったという。
 
2.5.  平均寿命
 平均寿命の方は今なお高まりつつある。昨年は男性81・3歳、女性87・3歳、いずれも日本の人口史上で最高齢、世界でもトップクラスである。


3.   令和新時代に「呪縛」解け

3.1.  少子化と高齢化の同時進行
 少子化とは、人間という生命体の再生産の機能が日本の家族から失われつつあることを意味する。少子化が高齢化と同時に進めば、高齢者の老いを支える共同体の基盤はほどなく危うい。
 
3.2.  生命体を再生産する機能をもつ家族
 生命体を再生産する機能をもつのは家族である。この機能を代替するものは家族の外にはない。少子化とは、家族維持への指向性がこの社会から消失しつつあることを示唆する。少子化の主因が未婚と離婚率の増加にあるからだ。
 
3.3.  家族の解体の進行
 日本における家族の解体は、音もなく、そして気がつけば社会の崩壊を招きかねないマグニチュードで進んでいる。
 
3.4.  課題:個人の尊厳の呪縛からの解放
 西教授は、家族が「社会の基礎的単位であること」「国および社会の保護を受けること」、この2つを柱とする家族条項を憲法に導入すべしと提唱している。個人の尊厳の呪縛からいかにして自らを解き放つか、令和新時代日本の深淵なる課題である。
 

<出典>
「家族の解体」ここまできている 拓殖大学学事顧問・渡辺利夫
産経新聞(2019/10/21)
https://special.sankei.com/f/seiron/article/20191021/0001.html
 
「出生数・出生率の推移」(内閣府)
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/data/shusshou.html

2019年10月26日土曜日

(K0909)  穏やかに死ねない理由(患者側・医師側) / 平穏死(A-5)<臨死期>

 
☆☆
たった1割しか自宅死等で穏やかに死ねない。患者は終末期医療について知ろうとせず、その時慌てふためき自己決定することを放棄する。医者は医療の敗北を認めたがらず、考えようともしない。教えてもらっていない
☆☆
 

 9割の人がそれを望んでも、たった1割しか自宅死等で穏やかに死ねない。それがいまの私たちが置かれている現実です。なぜこんなことになってしまったのでしょうか。
 
1.   患者の側の問題

1.1.  患者が終末期医療について、あまりに知らなさすぎる
1.1.1. 逃げ回る ~ 死について考えるのは怖い、タブー、愛する人の死を想像したくない
1.1.2. 他人事として聴いている ~ 自分の死は考えたくない、今を精一杯、楽しみたい
 

1.2.  厳しい現実に対応できない
1.2.1. お手上げ状態になる ~ 厳しい現実に直面したとき、あわてふためき、狼狽する
1.2.2. 病院や医者の言うなりになる ~ 赤の他人に、人生の終焉をゆだねてしまう
 
 
2.   医師の側の問題

2.1.  命を長引かせる処置をしようとする
2.1.1. 医療の敗北を認めたくない ~ 命を1分でも1秒でも永らえさせるのが医療の使命
2.1.2. 家族に訴えられたくない ~ 生き延びて何倍も苦しむなら意味がないと思っても…
 
2.2.  医者は、延命した後を予想できず、また、対応できない
2.2.1. 考えようとしない ~ 最期のあり方は医者が考えることではないというスタンス
2.2.2. 医学部で教えない ~ 2014年から東京医科大学で、終末期医療の講義が始まった
 

<出典>
長尾和宏、「平穏死 できる人、できない人」、PHP研究所(2014)P.22-26
 
添付図は、
http://www.tokyo-med.ac.jp/miraiganpuro/course3.html

2019年10月25日金曜日

(K0908)  憲法と家族 / 「家族の解体」(1) <家族の再構築>

 
☆☆
日本では家族の解体が進んでいる。ワイマール憲法と正反対の日本国憲法第24条。それは個人の尊厳と両性の本質的平等をうたうのみ。家族が国家・社会とどのような関わりをもつか、もつべきかは何も語ってはいない
☆☆
 

1.   憲法第24条
1.1.   憲法第24条は婚姻に関わる条文
1.2.  「個人の尊厳」を家族秩序内にまで及ぼそうとする点で、きわ立っている
 
2.   ワイマール憲法
2.1.  ワイマール憲法は20世紀で最も民主的なものとされている
2.2.  ワイマール憲法は家族保護、憲法24条は家族解体
 
3.   他国の憲法との比較
3.1.  103か国の憲法条項を調査
3.2.  日本国憲法24条で欠如している家族保護
 
4.   日本で何が起こっているか
4.1.  家族と国家・社会とが乖離
4.2.  家族の解体、地域共同体・日本という国家自体の衰滅へ


【展開】

1.   憲法第24条

1.1.  憲法第24条は婚姻に関わる条文
 憲法第24条は婚姻に関わる条文である。その第1項を改めて記すならば、「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」である。
 
1.2.  「個人の尊厳」を家族秩序内にまで及ぼそうとする点で、きわ立っている
 日本国憲法24条は、前近代性を色濃く帯びていた日本型家族国家観の基層としての「家」を否定し、「両性の本質的平等」と「個人の尊厳」という憲法価値を、公序として私法上の家族関係に課すものだった。(中略)「個人の尊厳」を家族秩序内にまで及ぼそうとする点で、日本国憲法24条はきわ立っている。
 
2.   ワイマール憲法

2.1.  ワイマール憲法は20世紀で最も民主的なものとされている
 ワイマール憲法は20世紀で最も民主的なものとされ、日本国憲法第24条の原案作成に影響を与えたといわれるが、戦後リベラリストの影響を受けているようである。
 
2.2.  ワイマール憲法は家族保護、憲法24条は家族解体
 家族の問題について「個人の尊厳」をつきつめてゆくと、憲法24条は、家長個人主義のうえに成立していた近代家族にとって、-ワイマール憲法の家族保護条項とは正反対に-家族解体の論理を含意したものとして意味づけられるだろう。
 
3.   他国の憲法との比較

3.1.  103か国の憲法条項を調査
 西教授は、1990年以降に制定された103カ国の憲法条項を精細に比較し、87カ国の憲法において家族は「社会の自然的かつ基礎的単位であること」「国家・社会の保護を受けること」がほぼ共通に書き込まれていることを証している(『世界の憲法を知ろう-憲法改正への道しるべ』)。
 
3.2.  日本国憲法24条で欠如している家族保護
 憲法24条に、家族は「社会の自然的かつ基礎的単位であること」「国家・社会の保護を受けること」は含まれておらず、あるのは「両性の本質」「個人の尊重」だけである。
 
4.   日本で何が起こっているか

4.1.  家族と国家・社会とが乖離
 第24条は個人の尊厳と両性の本質的平等をうたうのみ、家族が国家・社会とどのような関わりをもつか、もつべきかは何も語ってはいない。

4.2.  家族解体、地域共同体・日本という国家自体が衰滅へ
 日本の家族は着実に「解体」に向かって進んでおり、これが推移していけば地域共同体はもとより日本という国家自体がいずれ衰滅するのではないかという不吉な予感さえ漂う。
 
 続く
 
<出典>
「家族の解体」ここまできている 拓殖大学学事顧問・渡辺利夫
産経新聞(2019/10/21)
https://special.sankei.com/f/seiron/article/20191021/0001.html

ワイマール憲法とは。社会権の保障を明記した民主的な憲法
https://honcierge.jp/articles/shelf_story/6528




2019年10月24日木曜日

(K0907)  病院での最期だから、苦しむのです / 平穏死(A-4)<臨死期>

 
☆☆
多死の時代、病院では死ねなくなる。病院で死ななくてもすむチャンスが増えるということで、ありがたいことだ。「9割の人が自宅死を望んでいるのに1割しか自宅で死ねない現状」が変わっていく希望が見えた
☆☆
 
 これからは多死の時代を迎え、病院数が足りなくなり、自宅死を「余儀なく」されるのです。しかし、それは、幸いなことなのです。
 
===== 引用はじめ
 平穏死とは、決して新しい概念でも、新しい死に方でもありません。ただ昔の主流に戻るだけ。なのに、管1本ない自然で平穏な最期は、在宅と一部の病院・施設にしかないのが現状です。在宅での平穏な最期は、人類の歴史から見ればあたりまえのことです。
===== 引用おわり
 
===== 引用はじめ
 団塊の世代前後か、それより少し上の年齢の人たちなら、自宅で看取った経験や記憶がある人がたくさんいるはずです。
 当時は医療がまだ発達しておらず、それゆえに、老人は終末期に過剰な延命治療をされることもなく、もし平均寿命を超えていればほとんどが「老衰」とみなされ、自宅で穏やかに亡くなっていきました。
 住み慣れた家のいつもの場所で、子どもや孫、親戚たちに囲まれて、静かに死ぬのが、]昔の老人には、あたり前だったのです。
===== 引用おわり
 
===== 引用はじめ
 よく病院の先生は「家に帰ると、もっと苦しみますよ」と言って家族を脅かします。でも本当にそうでしょうか。もしそれが真実なら、私たちのご先祖さまは、… 苦しみ悶えながら死んでいったことになります。
 そんなことはありません。むしろ逆でしょう。 … 病院での最期だから、苦しむことになるのです。すなわち人生の最期に苦しむのは病気のせいではありません。過剰な延命治療のためです。つまり“犯人は医者である私”だったのです。
===== 引用おわり

 病院での最期だから、苦しむのです。自宅で安らかに死にましょう。
 
<出典>
長尾和宏、「平穏死 できる人、できない人」、PHP研究所(2014)P.18-21

2019年10月23日水曜日

(K0906)  未経験 段階踏んで介護職に <介護>

 
☆☆
「いきなり『介護職の募集』だったら、応募していなかったかもしれません」。介護施設には、身体介護だけではなく、清掃や調理などさまざまな仕事がある。こうした“周辺”の仕事を経験してから介護職になった女性
☆☆
 

(1)   長女を出産する際、メーカーを退職して専業主婦になった
(2)   教育資金の足しにと仕事を探した
(3)   1日4時間だけの「クリーンスタッフ」。月20日
(4)   働くのは十数年ぶりだったが、初めて知った介護の現場は思いの外、楽しかった
(5)   洗濯の仕事に変えた。1日7時間、週3日の勤務
(6)  「介護の仕事をしてみたい」と上司に打ち明けた
(7)  「初任者研修」を取得し「身体介護」にも携わるようになった


【展開】

(1)  長女を出産する際、メーカーを退職して専業主婦になった

(2)  教育資金の足しにと仕事を探した
 「中学生だった長女と小学生だった長男の教育資金の足しにしたいと、家から近い場所で仕事を探したのがきっかけです」

(3)  1日4時間だけの「クリーンスタッフ」。月20日
 この施設(介護付き有料老人ホーム)が、歩いて5分の場所にできたとき、1日4時間だけの求人があった。部屋を掃除したり、シーツを交換したりする「クリーンスタッフ」だ。子供が下校する午後には家にいたい。それがかなう月20日ほどの勤務は求めていた条件にぴったりだった。

(4)  働くのは十数年ぶりだったが、初めて知った介護の現場は思いの外、楽しかった
 「入居者さんはちょっとしたことでも、『ありがとう』と言ってくれる。仲間は優しく、気持ちのいい人たちばかり。恵まれました」

(5)  洗濯の仕事に変えた。1日7時間、週3日の勤務
 下の子供が中学生になるのを機に、クリーンスタッフの仕事を洗濯の仕事に変えた。こちらは1日7時間、週3日の勤務。時間は延びたが、きついとは思わなかった。逆に週4日の休みが退屈になるほどだった。

(6)  「介護の仕事をしてみたい」と上司に打ち明けた
 仕事のブランクが長く、当初は「介護の仕事は私には無理」だと思っていた。見知らぬ人を相手に、したことのない介護をするのが不安だった。だが、あるとき、上司に「してみたい」と打ち明けた。

(7)  「初任者研修」を取得し「身体介護」にも携わるようになった
 介護の基礎的な資格である「初任者研修」を取得し、入居者の体に触れる「身体介護」にも携わるようになった。当初は食事介助で入居者がむせると不安になり、ベッド上での排泄(はいせつ)ケアにも時間がかかった。それでも、入居者から「ありがとう」と言われると、この仕事をしてよかったと思う。


<出典>
未経験、段階踏んで介護職に 杞憂だった長いブランク
https://www.sankei.com/life/news/191017/lif1910170007-n1.html

2019年10月22日火曜日

(K0905) 9割が望んでも穏やかに死ねるのは1割しかいない / 平穏死(A-3)<臨死期>

 
☆☆
9割の人が自宅での死を望んでも、自宅で亡くなるのは1割。自宅での死亡が増え続けてきたが、近年、医療機関以外の場所における死亡が微増傾向にある。死亡数か増え続けるのに、病院・診療所などはそうは増えない
☆☆
 

A)   死亡の場所の推移(添付図参照)

 病院・診療所などの施設がない時代  ほとんどが自宅 : 施設はゼロ
 <病院・診療所などの施設ができ、施設での死亡が増加>
   1951年  自宅は82.5% : 施設は11.7%
 <自宅が減り、施設が増え続ける>
   1976年  病院で死ぬ人と自宅で死ぬ人の割合が逆転
 <自宅が減り、施設が増え続ける>
   2010年  自宅は12.6% : 施設は85.1%
   2014年  近年、医療機関以外の場所における死亡が微増傾向にある
 <年間の死亡数は今後も増加傾向を示す>
   2040年  最も年間死亡数の多くなると予想されている
 

B)   死亡数(年間)の見通しと影響

   2015年: 1,290,444人、2040年: 1,679,246人(39万人増加。率にして30%増加)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000573853.pdf
   病院・診療所などの施設及び火葬場はあまり増えず、不足する
 

C)   9割が望んでも穏やかに死ねるのは1割しかいない

===== 引用はじめ
 自宅で穏やかに死にたいか? それとも病院で延命治療を受けながら死にたいか? どちらがいいかと聞かれたら、おそらく9割の人は自宅で穏やかに最期を迎えたいと答えるはずです。
 にもかかわらず、現実に自宅で死ねる人はわずか1割にすぎません。残りの9割は病院や介護施設など、自宅以外の場所で、おそらくさまざまな延命治療を施されながら亡くなっているのが現状です。
===== 引用おわり
 

<出典>
長尾和宏、「平穏死 できる人、できない人」、PHP研究所(2014)P.19,22
https://www.masahiro-ishida.com/wp-content/uploads/2017/04/死亡者数の将来推計.pdf