2021年2月28日日曜日

(K1400) (家計)介護にかかわる費用の悩みも見逃せない(1) <認知症>

 ☆☆

介護には、医療費、おむつや福祉用具の購入費、交通費などかさむ。家計を知られることに抵抗があるかもしれないが、家族で抱えても解決できない。介護や福祉の専門職は、事情に合わせて解決方法を示してくれる

☆☆

 

 認知症の人の介護を始めると、さまざまな悩みが起こってきます。費用に関することも、悩みのひとつです。

 

 出費がかさんだり、大きく収入が減ることも

 介護には、医療費のほか、おむつや福祉用具の購入費、家族が遠方にすんでいる場合の交通費などの費用もかかります。 一つひとつは低額でも、積み重なれば家計を圧迫しかねません。

 また、介護をする人が仕事をやめた場合は、収人が激減します。

 

1.   相談する  ← 今回

1.1.  行政の窓口

1.2.  地域包括支援センター

1.3.  精神保健福祉センター

2.   制度を利用する  ← 次回(K1402)

 

【展開】

 

1.   相談する

1.1.  行政の窓口

 介護サービスを受けるための、申請補助や受理をおこなう。申請後に、介護の必要性を調査され、介護度が決まる。その介護度に合わせて、サービス内容や限度額が決まる。

 

1.2.  地域包括支援センター

 保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員(主任ケアマネジヤー)が、相談にのってくれる。行政の窓口で紹介してもらえるが、直接センターに行つてもいい。

 

1.3.  精神保健福祉センター

 心の病への支援を担当する機関。認知症など高齢者の精神保健の相談にも応じている。

 

<出典>

杉山孝博、「認知症の人の不可解な行動がわかる本」



2021年2月27日土曜日

(K1399) 「新老人(60代から80歳代まで)」 / 自立期と仕上期との間にて(14) <自立期~仕上期>

☆☆

まだエネルギーがあること。定年をまぢかにひかえていようと、退職後であろうと、精神的、肉体的なエネルギーがのこっている。人生においてリタイア感がない。社会的にも活動意欲をおさえることができない

☆☆

 

===== 引用はじめ

 いま私が「新老人」として扱おうとするのは、それとは少しちがう人びとだ。年齢でいうなら60代から80歳代まで。

 いま世間を騒がせている暴走老人、迷走老人が、ほぼこの範疇にはいるだろう。90になればもう超老人である。

 この新老人世代が最近おだやかではない。なにかアナーキーな胎動をも感じさせる。しかし、それら新老人の生態は必ずしも一様ではない。一様ではないが、共通したものがある。

===== 引用おわり

 

(1)  一つは、まだエネルギーがあること。定年をまぢかにひかえていようと、退職後であろうと、精神的、肉体的なエネルギーがのこっている。人生においてリタイア感がない。社会的にも活動意欲をおさえることができない。

 これには、100%私も同意する。しかし、

 

(2)  二つ目は、百歳社会の未来に不安と絶望感を抱いていること。いま70歳の人は、あと20年を生きなければならないのだ。その最後のシーズンが、どれほど悲惨なものになるかを、すでに知ってしまっている。

 これについては、私は100%不同意だ。最後のシーズンは悲惨でないし、不安と絶望感を抱いていないだろう。そういうことも皆無ではないだろうが、言い切りが過ぎている。著者の個人的な感想にすぎないのではなかろうか。

 

===== 引用はじめ

 実際に自分が親の介護の経験をもつ人もいるだろう。そしてこれから先は、誰もが適当に、穏やかには死ねないことを知っている。認知症か、アルツハイマーか、寝たきりか、孤独死か、ガンか、いずれにせよ悲惨な将来は確実なのだ。

 死んで宇宙のゴミとなる前に、生きながら社会のゴミになる長寿の未来。

===== 引用おわり

 あまりにも悲観的だ。こうならないために、すべきことは沢山ある。嘆いている暇があるのなのなら、ややるべきことをやろう。

 

<出典>

五木寛之、「新老人の思想」、P.71 – 72

 

添付図は、

https://www.rbbtoday.com/article/2015/06/23/132574.html




2021年2月26日金曜日

(K1398)  最期まで幸せな気分で <仕上期>

 ☆☆

身体的機能が衰え、他人の世話をしていた人が、他人に世話をしてもらう立場になる。その時「あたしなんて、生きていても何の役にもたたない。はやくあの世へ行きたいわ」とつぶやく。そこから人は、どう変わるか

☆☆

 

 人は、自分の存在意義を問う。

存在意義を感じられたら、幸せな気分になり、

存在意義を感じられなければ、不幸せな気分になる。

 

 自分の存在意義を感じるには、

他者が必要である。

 人との関りは、煩わしいところがあっても、

それでも、自分に関心をもってくれる人が必要だ。

 

 自分に関心を持ってくれる人さえいれば、

後は、自分がどう生きるか、だけだ。

幸せか不幸せかを決めるのは、自分だ。

 

 では、自分の関心を持ってくれる人をどうやって得るのか。

自分がその人に関心をもつことから始まる。

他人は変えられないが、自分は変えられる。

 

<漫画>

【ひなちゃんの日常】  産経新聞(2021/02/05)



2021年2月25日木曜日

(K1397)  健康の鍵握る「腎臓」 <体の健康>

 ☆☆

誰もが100歳まで生きられるようになりつつあるなか、健康寿命を全うするには体内の各臓器の状態を健全に保つことが大切だ。特に腎臓は機能が低下すると、広範に悪影響を及ぼすので注意する必要があるという

☆☆

 

1.   腎臓の健康を保つことが重要だ

 

2.   慢性腎臓病(CKD)

 

3.   腎機能が低下すると

3.1.  日常に大きな負担がかかる

3.2.  心筋梗塞や脳梗塞

3.3.  悪循環

3.4.  高い死亡リスク

 

4.   検診と受診

4.1.  自覚症状がない

4.2.  健診

4.2.1. クレアチニン

4.2.2. eGFR

4.3.  受診の目安

 

5.   予防

 

【展開】

1.   腎臓の健康を保つことが重要だ

 誰もが100歳まで生きられるようになりつつあるなか、健康寿命を全うするには体内の各臓器、特に腎臓の状態を健全に保つことが大切だ。

 

2.   慢性腎臓病(CKD)

 慢性腎臓病(CKD)は新たな国民病。国内のCKDの患者数は約1300万人と推計されており、成人の8人に1人、80代では2人に1人が該当するという。

 

3.   腎機能が低下すると

3.1.  日常に大きな負担がかかる

 進行して末期の腎不全になると人工透析が必要となるなど、日常に大きな負担がかかる。

3.2.  心筋梗塞や脳梗塞

 動脈硬化が進行してしまい、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こすリスクが高まる。

3.3.  悪循環

 腎臓は血液中の不純物を取り除き、尿として排出する役割を担うが、機能が低下すると塩分や水分を十分に排出できず、血液量が増加して血圧が上昇。それによって動脈硬化を引き起こし、腎臓内部の細い血管が詰まりやすくなることで、腎機能をさらに低下させる-という悪循環も指摘されている。

3.4.  高い死亡リスク

 重い腎臓病の人は、新型コロナウイルスに感染して重症化した場合、他の持病に比べて死亡リスクが高くなる。腎臓が悪い人は抵抗力が落ちていることが多く、インフルエンザなど他の感染症でも重症化すれば死亡リスクが上がるので注意してほしい。

 

4.   検診と受診

4.1.  自覚症状がない

 腎機能の低下は自覚症状がないため健診データでの把握が重要となるが、他の臓器と違って、数値に変化が表れてきたときには結構悪化しているケースも多い。

4.2.  健診

 専門家は、健診で腎機能の低下を早期から把握すべきだと指摘する。

4.2.1. クレアチニン

 従来、尿検査と併せ、血液検査の「クレアチニン」という項目がその指標の一つとされてきた。筋肉内のアミノ酸が分解してできる物質で、腎機能が低下すると血中から排出されにくくなるため数値が上昇する。ただ、高齢者は筋肉の量が少ないので、若い人に比べ数値が低めに出る傾向がある。

4.2.2. eGFR

 年齢、体重、性別なども加味した『eGFR』という項目を参考にしてほしい。eGFRは数値が下がるほど悪く、90以上が正常、89~60が軽度の腎機能低下、59~30が中等度の機能低下、29~15が高度の機能低下-とされる。

4.3.  受診の目安

 軽度の腎機能低下であっても、尿タンパクの項目も『+』になっている人は必ず医療機関を受診してほしい。

 

5.   予防

 高齢者は腎機能を悪化させる脱水になりやすいので、水分摂取にも注意して生活を。


<出典>

【100歳時代プロジェクト】 産経新聞(2021/02/22)

https://www.sankei.com/life/amp/210222/lif2102220006-a.html



2021年2月24日水曜日

(K1396)  必要だが入院できない / 介護施設や高齢者施設での介護クラスター(3) <高齢期の安全・安心>

 ☆☆

固有の難しさもある。府内で感染者が急増する中、入所者の入院先はなかなか見つからない。入院できたとしても、認知症のため院内の「ゾーニング」(区域分け)を守ることができず、施設に戻ってきた人もいた

☆☆

 

 介護老人福祉施設の男性事務長は訴える。「入所者は食事や排せつに介助が必要で、ホテルなどに隔離はできない。早期に入院できる態勢が必要だ」

 国際NGO「ピースウィンズ・ジャパン」の坂田大三医師は「入所者は重症化のリスクが高いことが多い。適切に対応しなければ、重症者が一気に増え、医療崩壊につながる」と警鐘を鳴らす。

 大阪介護老人保健施設協会の本場康文事務局長は「感染者をすぐに入院させることが、施設内感染の拡大抑制につながることは明らかだ。府に対し、引き続き早期の入院措置を求めていく」と話した。

 

 口々に、入院の必要性を訴える。しかし、実態は、―― 最終的な感染者は入所者と職員を合わせ、計36人に上った。重症化するまで入院できなかった入所者もいた。このうち10人は感染発覚から回復まで施設で過ごすことを余儀なくされた。

 固有の難しさもある。府内で感染者が急増する中、入所者の入院先はなかなか見つからない。入院できたとしても、認知症のため院内の「ゾーニング」(区域分け)を守ることができず、施設に戻ってきた人もいた。

 

 大阪介護老人保健施設協会アンケートによれば、

 クラスター(感染者集団)が発生した施設のうち8割で感染者がすぐに入院できず、その間に施設内で感染が広がる傾向もみられた。

 感染者が5人以上確認されるクラスターが発生した10施設うち8施設では病床不足などのため感染者がすぐに入院できず、保健所の指示により施設内で待機を余儀なくされた。

 待機期間が2週間以上となったのが3施設あったほか、患者の中には待機中に症状が悪化し、救急搬送後に死亡したケースも複数あったという。

 

<出典>

産経新聞(2021/01/22)

https://www.sankei.com/west/news/210121/wst2101210015-n1.html

 

添付は、

「大阪高齢者施設 入院先見つからずクラスター多発」より

https://www.asahi.co.jp/webnews/pages/abc_9293.html

  動画があります。



2021年2月23日火曜日

(K1395)  終活期の「学び」 <自立期>

 ☆☆

まずは「学ぼう」とそう決意する。「学び」とは知識の量ではない。「学ぶ」とは「学ぶ」ものを探知し、拾い集める姿勢と礼儀のこと。それさえあれば、賢愚善悪のいかなる人からも私たちは何かを「学び」取るのです

☆☆

 

 ならば私如きもこの「学び」の決意を、と終活の年頃とはいえ、心に誓ったわけです。――武田鉄矢の言葉です。

 では、何を、誰からどう学べばよいのか。ちがうちがう。「学び」の具体などどうでもいい。

 

 次の一節は、私にとっては分かりやすく、納得できるものでした。

 

===== 引用はじめ

〈「学ぶ」とは何よりもまずその誓言をなすことです。そして、この誓言を口にしたとき、人は「学び方」を学んだことになります。ひとたび学び方を学んだものはそれから後、どのような経験からも、どのような出会いからも、どのような人物のどのような言動からも、豊かな知見を引き出すことができます。〉

 この後に、内田氏は仰天の「学び」の極意を告げます。それが以下で、「学び」の姿勢にある者は――

〈賢者有徳の人からはもちろん、愚者からも悪人からもそれぞれに豊かな人間的知見を汲み出すことができる。〉

 まずは「学ぼう」とそう決意すること。その決意だけで世界は一変する、と。「学び」とは知識の量ではない。「学ぶ」とは「学ぶ」ものを探知し、拾い集める姿勢と礼儀のこと。それさえあれば、賢愚善悪のいかなる人からも私たちは何かを「学び」取るのです。

===== 引用おわり

中の引用は、内田樹「日本辺境論」、P.198 - 199

 

 「学ぼう」と思って生きていたら、「学ぶべきもの」は、次々と勝手にやってきます。

 

<出典>

武田鉄矢、「老いと学びの極意」(文藝春秋)、P.251 - 252



2021年2月22日月曜日

(K1394)  難しさ / 介護施設や高齢者施設での介護クラスター(2) <高齢期の安全・安心>

 ☆☆

施設の入所者は食事や排せつが一人でできず、職員らのサポートを必要とするケースが多い。そのため、求められるソーシャルディスタンスの徹底は、そもそも困難な状況といえる。感染が一気に広がるリスクがある

☆☆

 

 新型コロナウイルス感染拡大を受け、全国の介護施設や高齢者施設でクラスター(感染者集団)の発生が相次いでいる。ただ入所者が寝食を共にしたり、職員の介助が必要だったりするケースが多く、対人距離の確保といった一般的な対策を取ることは困難だ。

 

 対策は徹底したつもりだ。感染者発生に備えてマニュアルを整え、入所者との面会も制限した。入所者、職員の体調管理や施設内の消毒にも気を配ったが、それでもウイルスは人知れず入り込んでいた。

 職員やその家族にも感染が拡大。感染していない職員の中には、帰宅せずにホテルや近隣の集合住宅で寝泊まりする人もいた。

 クラスターが起きたとして施設名が報道されると、心ない批判や抗議の声も届いた。全員の心身が疲弊する中、無言電話を受けたこともある。

 

 クラスターの経験を踏まえ、事務長は訴える。「入所者は食事や排せつに介助が必要で、ホテルなどに隔離はできない。早期に入院できる態勢が必要だ」。感染の「第3波」が広がる中、「またクラスターが起きるのではないか」という恐怖は、今も拭えていないという。

 施設の入所者は食事や排せつが一人でできず、職員らのサポートを必要とするケースが多い。そのため、一般社会で求められるソーシャルディスタンスの徹底は、そもそも困難な状況といえる。一人でも感染者が出れば、感染が一気に広がるリスクがある。

 

 医療体制が行き詰まる中、医師や感染症の専門家から助言を受けられず、対応を迫られるケースもある。消毒用のアルコールやマスクなどが、十分に手に入らない状況にも留意が必要だ。

 同団体の調査では、施設の多くが物資面での支援を求めていた。手袋など一部の資材は品薄から価格が高騰し、小規模施設では入手が困難な状況もある。

 

 添付図は、

https://kaigo-gimon.com/civid-19sisetumatome/

 

<出典>

産経新聞(2021/01/22)

https://www.sankei.com/west/news/210121/wst2101210015-n1.html



(K1393)  個人Blog 2月中旬リスト <サイト紹介>

 ● 個人Blog 2月中旬リスト

 

(2242)  フランツ・ファノン『黒い皮膚・白い仮面』(3-1) / 100de名著

http://kagayaki56.blogspot.com/2021/02/2242-3-1100de.html

 

(2243)  五輪ボランティア辞退を考える

http://kagayaki56.blogspot.com/2021/02/2243.html

 

(2244)  フランツ・ファノン『黒い皮膚・白い仮面』(3-2) / 100de名著

http://kagayaki56.blogspot.com/2021/02/2244-3-2100de.html

 

(2245)  仮想実験 / やる気について(1)

http://kagayaki56.blogspot.com/2021/02/2245-1.html

 

(2246) 「やる気がある」ということは / やる気について(2)

http://kagayaki56.blogspot.com/2021/02/2246-2.html

 

(2247)  審判のいないカーリング競技

http://kagayaki56.blogspot.com/2021/02/2247.html

 

(2248)  『おちょやん』みつえ役で話題の女優・東野絢香

http://kagayaki56.blogspot.com/2021/02/2248.html

 

(2249)  フランツ・ファノン『黒い皮膚・白い仮面』(4-1) / 100de名著

http://kagayaki56.blogspot.com/2021/02/2249-4-1100de.html

 

(2250)  ケンカ /男と女の違い(25)

http://kagayaki56.blogspot.com/2021/02/2250-25.html

 

(2251)  フランツ・ファノン『黒い皮膚・白い仮面』(4-2) / 100de名著

http://kagayaki56.blogspot.com/2021/02/2251-4-2100de.html

 

なお、前回の紹介は、

(K1383)  個人Blog 1月上旬リスト <サイト紹介>

http://kagayakiken.blogspot.com/2021/02/k1383-blog-1.html

2021年2月21日日曜日

(K1392)  起こったこと / 介護施設や高齢者施設での介護クラスター(1) <高齢期の安全・安心>

 ☆☆

3人が相次ぎ発熱した。施設での感染者は日を追うごとに増え、1週間余りで20人を超えた。職員やその家族にも感染が拡大。「全員が陽性になるまで、収束しないのではないか」。当時、そんな思いがよぎった

☆☆

 

 新型コロナウイルス感染拡大を受け、全国の介護施設や高齢者施設でクラスター(感染者集団)の発生が相次いでいる。

 昨年夏、クラスターに直面し、入所者・職員の計36人が感染した大阪府内の介護老人福祉施設の男性事務長が取材に応じ、当時を振り返った。

 

 異変は昨年8月11日夜に起きた。認知症患者が入所するフロアで、80代女性の発熱が発覚。翌日には同じフロアで他の3人が相次ぎ発熱した。

 施設での感染者は日を追うごとに増え、1週間余りで20人を超えた。職員やその家族にも感染が拡大。感染していない職員の中には、帰宅せずにホテルや近隣の集合住宅で寝泊まりする人もいた。

 「全員が陽性になるまで、収束しないのではないか」。事務長の頭には当時、そんな思いがよぎったという。

 事態が落ち着いたのは同9月末。最終的な感染者は入所者と職員を合わせ、計36人に上った。重症化するまで入院できなかった入所者もいた。

 

<出典>

産経新聞(2021/01/22)

https://www.sankei.com/west/news/210121/wst2101210015-n1.html



2021年2月20日土曜日

(K1391)  認知症患者の預金、代理権のない親族の出金可能に 全銀協 <認知症>

 ☆☆

これまでは、預金の引き出しは本人の意思確認が必要で、親族であっても、引き出しを認めていなかった。認知判断能力が低下した顧客との取引は、成年後見人など法的な代理権を持つ人との取引を基本としてきた

☆☆

 

 全国銀行協会(全銀協)は18日、認知機能が低下した顧客の預金を引き出す際、法的な代理権がない親族らの引き出しも認める「考え方」をまとめた。成年後見制度を利用できないなどの場合には「極めて限定的な対応」として認めるとした。

 これまでは親族といえども本人の意思確認が必要だった預金の引き出しに関する慣例を見直す。今回の考え方では、「医療費の支払い手続きを親族などが代わりにする行為など、本人の利益に適合することが明らかな場合に限り、預金引き出しの依頼に応じることが考えられる」とした。本人が認知判断能力を喪失していることは、本人との面談や診断書の提出などで確認するとした。

 第三者に家族の資産を預ける抵抗感や費用の問題などから、全銀協によれば、成年後見制度の利用者数は2018年12月末で約22万人にとどまる。このため、本人の医療費や施設入居費、生活費などの支払いなどで預金の引き出しが必要でも、親族が引き出せないなどの問題があった。

 

<出典>

認知症患者の預金、代理権のない親族の出金可能に 全銀協

産経新聞(2021/02/19)

https://www.sankei.com/politics/news/210218/plt2102180027-n1.html



(K1390) (リハビリ)趣味や役割を通じて症状を遅らせる(2) <認知症>

 ☆☆

リハビリは、本人が楽しめるものがいちばん。しかし、いくら趣味でも、車の運転はだめ。危険を予測し、すばやく正しい判断を下す能力が低下しているため、事故を起こす危険が高い。運転はかならずやめさせる

☆☆

 

 認知症のリハビリとして、次のようなものがある。

 

1.   回想法

 今までの体験をアウトプットする

 

2.   美術療法

 手先の運動にもつながる

 

3.   音楽療法

 ストレス解消にもよい

 

4.   そのほかの療法

4.1.  アニマルセラピー

 動物とふれあう

4.2.  アロマセラピー

 香りを楽しむ

4.3.  学習療法

 簡単な読み書き計算を行う

 

<出典>

杉山孝博、「認知症の人の不可解な行動がわかる本」



2021年2月18日木曜日

(K1389) 「逝けない人々」 / 自立期と仕上期との間にて(13) <自立期~仕上期>

☆☆

日本では、長寿、長命が祝福された時代は過ぎた。老人は、露骨な言い方をすれば、今は社会のお荷物である。ヒューマニズムの本家本元の国々では、老いて逝く人びとを素直に見送ることが常識のように見うけられる

☆☆

 

 全体(男性+女性)の年齢階級別の認知症有病率は、8589歳で41.4%9094歳で61.0%95~歳で79.5%である(添付図)。

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/ninchisho_kaigi/yusikisha_dai2/siryou1.pdf

因みに、男性高齢者の有病率が低いのが気にかかるが、認知症になった男性は、比較的早く死んでしまうからではないか。

 

 長寿、長命が世間から祝福された時代は過ぎた。老人というのは、露骨な言い方をすれば、今は社会のお荷物である。

 長生きは決してめでたいことではない。じつはおそろしい世界なのだ。しかも、生きている限り、社会に大きな負担をかけながら日々を送るのである。

 人を一日でも長く生かす。命をとことん大切にする。それが医学の義務であり、原理であった。現在もそうだ。しかし、それが経済と結びついているところから悲劇が生じる。いや、喜劇かもしれない。

…巨大な老人層は、当然、年金で生活を支えることになるだろう。年金では足りないので、貯金を取りくずしながら老化と認知症の世界へ移行していく。晩年に待っているのは介護によって生かされる生活である。胃ろう、透析、睡眠療法、人工呼吸、その他の延命治療の進歩発達とともに、「逝けない人びと」がこの列島にあふれ返ることに

 北欧をはじめ、先進諸国では延命に対する義務感はあまりないようだ。老衰者を人工的に生かすことに対する情熱は、どの国にも感じられない。ヒューマニズムの本家本元の国々では、老いて逝く人びとを素直に見送ることが常識のように見うけられる。

 人工的、経済的に「生かされる」立場の私たちの未来は、当人たちにとっても決して明かるいものではない。

 

<出典>

五木寛之、「新老人の思想」、P.68 – 70



2021年2月17日水曜日

(K1388) (リハビリ)趣味や役割を通じて症状を遅らせる(1) <認知症>

 ☆☆

認知症を根本から治療することは、現段階ではできないが、脳の使われていない部分を活性化させたり、残った機能を活かしたりすることはできる。リハビリは、その人らしさを発揮し、生活の質を高めるものでもある

☆☆

 

 リハビリでいちばん大切なのは、本人が楽しめること。無理強いは、負の感情を抱かせるだけでいいことはありません。

 リハビリにはいろいろな種類がありますが、これまでの人生経験をヒントにしながら、その人に合ったものを選びます。

 「生きがい」として楽しみながら続けることで、心の安定にもつながります。

 リハビリは、ときには家族も気づかなかった一面を引き出すことがあります。ひとりの人格として理解や尊敬を深める機会にもなります。

 

<出典>

杉山孝博、「認知症の人の不可解な行動がわかる本」



2021年2月15日月曜日

(K1387)  介護報酬改定 利用者負担はこう変わる <高齢期の経済>

☆☆

厚生労働省は、介護サービスを提供する事業所に支払う介護報酬について、令和3年度からの改定方針をまとめた。サービスごとの報酬単価を18日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の分科会に示し、了承された

☆☆

 

 介護報酬改定利用者負担こう変わる

 

 厚生労働省が試算した主なケースを紹介する。利用者の自己負担は1割。:主な地域のモデルで計算しており、サービスの単価が高い東京23区や大阪市など都市部では金額が増える。

 

【在宅サービス】【訪問介護】試算

 ヘルパーらが自宅に来る「訪問介護」は、入浴や排泄などの身体介護や掃除、調理といった生活援助の報酬を引き上げた。例えば要介護2の人が身体介護(20分以上30分未満)を月に9回で生活援助(45分以上)を月8回利用した場合、自己負担(月額)は現行よりも21円増え、5832円となる。

【在宅サービス】【通所介護】試算

 日帰りで施設に通い介護を受ける「通所介護」(デイサービス)では、要介護2の人が月11回、7時間以上8時間未満のサービスを受けた場合、自己負担(月額)1539円で66円増える。リハビリを行う職員の配置や介護福祉士の配置を手厚くした事業所には報酬を加算する。

【特別養護老人ホーム(特養)】試算

 全面的な介助が必要な要介護4の人が個室で30日間生活した場合、自己負担(月額)34円増の27173円となる。また、別に支払う食費については、施設側の負担が増えている実態を踏まえ、今年8月から41760(月額)から1590円増額し、43350円となる。

 

<出典>

産経新聞(2021/01/21)



(K1386)  人生100歳時代 働き手は増加 / 「私に定年はない」(2) <高齢期の仕事>

 ☆☆

長く、楽しく働き続けるコツについて、玉置さんは「長い人生の中、一喜一憂することも多々あると思いますが、今日頑張れば、明日も頑張れる。毎日を有意義に暮らすことで先々のエネルギーを蓄えてほしい」

☆☆

 

 家電量販店のノジマでは昨年7月、定年後の再雇用契約を65歳から80歳に延長できる制度を導入した。

  厚生労働省によると従業員31人以上の企業の60歳以上の常用労働者は年々増加している。平成25年には272万人だったのが令和2年には409万人となり右肩上がりだ。今年4月には、改正高年齢者雇用安定法も施行され、70歳までの就業機会の確保が企業の努力義務となる。

  長く、楽しく働き続けるコツについて、玉置さんは「長い人生の中、一喜一憂することも多々あると思いますが、今日頑張れば、明日も頑張れる。毎日を有意義に暮らすことで先々のエネルギーを蓄えてほしい」と話している。

 <出典>

産経新聞(2021/02/06 夕刊 )

https://news.yahoo.co.jp/articles/f9df1885db56f35ddc46c357d4f3d5062fa29b02



2021年2月14日日曜日

(K1385)  ギネス認定 90歳総務部員 / 「私に定年はない」(1) <高齢期の仕事>

 ☆☆

「今日頑張れば、明日も頑張れる」の精神で、人生を送ってきた。かつてはそろばんやタイプライターで行ってきた業務もパソコンを駆使している。私に定年はない。働けるかぎりは、いつまでも頑張ると生涯現役を誓う

☆☆

 

 大阪のねじの専門商社に勤務する90歳の玉置泰子さんが「世界最高齢総務部員」としてギネス世界記録に認定された。勤続64年。

 大阪市西区のサンコーインダストリーで総務部長付け課長を務め、経理や庶務を担当している。平日午前9時から午後5時半までのフルタイム勤務。出社するとメールやファクスをチェック。給与計算や会議の議事録を作成することなどが主な業務だ。

 約20年前、社内でIT化が急速に進んだとき、すでに70歳近かったが「わくわく気分で」パソコンの使い方を習得した。「そろばんや帳簿とのにらめっこから一変した業務に好奇心が止まらなかった」

 ねじの総合商社として成長を続けてきた同社の“語り部”として、新人研修も担当。奥山淑英(よしひで)社長は「私が生まれる前からサンコーインダストリーを見てきている。これからも元気で歴史語りをしてほしい」と願う。

 

<出典>

産経新聞(2021/02/06 夕刊 )

https://news.yahoo.co.jp/articles/f9df1885db56f35ddc46c357d4f3d5062fa29b02



(K1384)  相続人なき遺産 / 遺産漂流 相続人なく(2) <遺産>

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「残された財産をめぐって遺族同士が相争い、関係が悪化する例は少なくない。遺言書を残すなどして、元気なうちに『終活』に向き合うことが大切だ」。遺言書を偽造するなど不正に手を染めるケースもある

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 遺産を残した人の思いとは裏腹に、国による「相続」を阻もうとした身内が、遺言書を偽造するなど不正に手を染めるケースもある。

 

 故人が遺言書を残していれば、法定相続人以外の人でも遺産相続は可能だ。このため、遺言書の偽造トラブルが後を絶たない。

 関係者によると、兵庫県内で法律事務所を営んでいた40代の元男性弁護士は昨年初め、亡くなった大阪府内の女性が残した約2億円の遺産を相続できないか、との相談を女性のいとこから受けた。

 

 元弁護士は「(故人の)全財産をいとこに包括遺贈する」とした文案をいとこに示し、いとこが女性の筆跡をまねた手書きの遺言書を実際に偽造。昨年5月に大阪家裁に提出し、相続できるようにした。

 ところがその後偽造が疑われ、県弁護士会の調査に元弁護士は不正を認めた。「遺産をいとこに遺贈させた方が故人の遺志を反映できると思った」などと説明したが、元弁護士は、有印私文書偽造・同行使などの罪で在宅起訴され、同11月に懲役2年、執行猶予4年の有罪判決を受けた。

 

 故人が遺言書を残さず死亡した場合、民法の規定に基づき、遺産は「法定相続人」が分割で相続する。配偶者は常に相続人となり、ほかの血族については子、孫、親などの順で相続。兄弟姉妹が死亡していれば、その子に当たる甥(おい)や姪(めい)にも相続権があるものの、遺言書がある場合を除き、いとこを含む遠縁の親族には権利がない。

 自らの死後、誰に何をどれだけ渡したいのか。早めの相続準備が求められている。「残された財産をめぐって遺族同士が相争い、関係が悪化する例は少なくない。遺言書を残すなどして、元気なうちに『終活』に向き合うことが大切だ」

 

<出典>

相続人なく遺産漂流 国へ603億円、少子高齢化時代反映

産経新聞(2021/02/04 夕刊)

https://www.sankei.com/west/news/210204/wst2102040011-n1.html



2021年2月13日土曜日

(K1383)  個人Blog 1月上旬リスト <サイト紹介>

 ● 個人Blog 2月上旬リスト

 

(2232)  Recovering the Truth about the Comfort Women

http://kagayaki56.blogspot.com/2021/02/2232-recovering-truth-about-comfort.html

 

(2233)  ツンデレ とは? / 「塩対応」(3)

http://kagayaki56.blogspot.com/2021/02/2233-3.html

 

(2234)  コロナに促された3つの意識改革

http://kagayaki56.blogspot.com/2021/02/2234.html

 

(2235)  フランツ・ファノン『黒い皮膚・白い仮面』(2-1) / 100de名著

http://kagayaki56.blogspot.com/2021/02/2235-2-1100de.html

 

(2236)  おはなし / 「ふくはうち おにもうち」(1)

http://kagayaki56.blogspot.com/2021/02/2236-1.html

 

(2237)  フランツ・ファノン『黒い皮膚・白い仮面』(2-2) / 100de名著

http://kagayaki56.blogspot.com/2021/02/2237-2-2100de.html

 

(2238)  ここで「鬼」とは / 「ふくはうち おにもうち」(2)

http://kagayaki56.blogspot.com/2021/02/2238-2.html

 

(2239)  ほめ言葉 /男と女の違い(24)

http://kagayaki56.blogspot.com/2021/02/2239-24.html

 

(2240)  商品開発 / 不満買い取り有効活用(1)

http://kagayaki56.blogspot.com/2021/02/2240-1.html

 

(2241)  政策立案 / 不満買い取り有効活用(2)

http://kagayaki56.blogspot.com/2021/02/2241-2.html

 

なお、前回の紹介は、

(K1373)  個人Blog 1月下旬リスト <サイト紹介>

http://kagayakiken.blogspot.com/2021/02/k1373-blog.html

2021年2月11日木曜日

(K1382)  遺産漂流 / 遺産漂流 相続人なく(1) <遺産>

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相続人が存在しない遺産については、行政機関などの申し立てを受け、家庭裁判所が選任する相続財産管理人が整理。法定相続人のほか、内縁の妻や、介護を続けた「特別縁故者」がいないことを改めて確認し、国庫に

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 財産を残して死亡したものの相続人がおらず、換金の末に国が引き取った遺産の額が昨年度は603億円に達し、わずか4年の短期間で約1・4倍に急増したことが4日、最高裁への取材で分かった。少子高齢化の影響とみられる。

 

 相続人が存在しない遺産については、行政機関などの申し立てを受け、家庭裁判所が選任する相続財産管理人が整理。法定相続人のほか、内縁の妻や、介護を続けた「特別縁故者」がいないことを改めて確認し、不動産などは現金化した上で国庫に入れる。

 最高裁によると、相続人不在で国が「相続」した遺産の金額は、右肩上がりで増加。平成27年度は約420億円だったが、30年度は過去最高額の約627億円に。昨年度は約603億円と前年よりもわずかに減少したものの、対27年度比で約1・4倍に増えた。

 

 厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所がまとめた「50歳時での未婚の割合」によると、平成27年で男性は23・37%、女性は14・06%と、それぞれ過去最高を更新。このデータは生涯未婚率とも呼ばれる。

 同省の推定では、生涯未婚率は今後さらに上昇し、法定相続人がいないまま亡くなる人の数も増えるとみられる。

 

<出典>

相続人なく遺産漂流 国へ603億円、少子高齢化時代反映

産経新聞(2021/02/04 夕刊)

https://www.sankei.com/west/news/210204/wst2102040011-n1.html