2021年7月31日土曜日

(K1553) 認知機能ケア(2) 味の素 脳活セブンアミノ

 【味の素・脳活セブンアミノ】脳活セブンアミノも 機能性表示食品 だ。7種の必須アミノ酸の独自配合比を見いだし、認知機能を構成する「注意力」「認知的柔軟性」の維持に加え、明るく楽しい気分などの「前向きな気持ち」をサポートする


 団塊世代が後期高齢者入りする4年が来年に迫る中、国内の社会環境を大きな事業機会としてとらえたのが食品大手の味の素だ。長年のアミノ酸研究を基に同社初の認知機能ケアの粉末状サプリ「脳活セブンアミノ」を自社通販で5月25日に発売した。

 西井孝明社長は同月のオンライン会見で、「約40年前、バイオテクノロジーとアミノ酸の可能性にひかれ入社した。社長としてアミノ酸の働きで世の中の役に立つ仕事に挑戦できるのは喜びそのもの」と語り、認知機能に不安を持たない社会実現への挑戦を誓った。

 脳活セブンアミノも機能性表示食品だ。ロイシンやフェニルアラニンなど7種の必須アミノ酸の独自配合比を見いだし、臨床研究で認知機能を構成する「注意力」「認知的柔軟性」の維持に加え、明るく楽しい気分などの「前向きな気持ち」をサポートする結果を導いた。粉末のサプリに仕上げ、1日2本(1本4グラム)で目安量が取れる。1箱60本入りで9720円、1日当たり324円だ。

 

 こちらも、スマホアプリ「100年健脳手帳」を開発した。

 

<出典>

認知機能ケア 食品大手が開拓

産経新聞(2021/07/15)

〝認知機能ケア〟で市場創出なるか 食品大手で商品投入相次ぐ

https://www.sankei.com/article/20210707-R7LZ6YM47VPSDMIJZN2U76KFA4/?416057

 

添付図は、

https://direct.ajinomoto.co.jp/sp/cp/c2001cp/index.html



2021年7月30日金曜日

(K1552) 認知機能ケア(1) キリンビバレッジ βラクトリン

 【キリンビバレッジ・βラクトリン】 カマンベールチーズ に含まれる有用成分として 乳由来ペプチド 「βラクトリン」が加齢に伴って低下する「 記憶力 (手がかりをもとに思い出す力)の維持に貢献する」ことを発見しました。


 親会社のキリンホールディングスが平成27年、東大との共同研究でカマンベールチーズに含まれる成分が記憶力維持に役立つことを発見。これは牛乳由来のペプチド(アミノ酸化合物)βラクトリンによる機能と判明したという。記憶力の改善についても臨床試験で確かめた。

 1日のβラクトリン目安摂取量1・6ミリグラムはカマンベールチーズ4キログラム相当だが、手軽に摂取できるよう100ミリリットルの小瓶入りのヨーグルト風味の飲料に仕立てた。

 ターゲットは60代、70代で「その次に物忘れに不安を感じる50代。説明を尽くしたいので店頭説明ができるスーパーやドラッグストア、ネット販売に限っている」

 

 同時に、記憶力や集中力、素早さなど5つの要素を鍛える脳トレゲーム、食事や歩数といった健康情報も管理するスマートフォンアプリ「KIRIN毎日続ける脳力トレーニング」を無料配信している。

 

<出典>

認知機能ケア 食品大手が開拓

産経新聞(2021/07/15)

〝認知機能ケア〟で市場創出なるか 食品大手で商品投入相次ぐ

https://www.sankei.com/article/20210707-R7LZ6YM47VPSDMIJZN2U76KFA4/?416057

 

添付図は、

https://www.kirin.co.jp/softdrink/b-lactolin/



2021年7月29日木曜日

(K1551) 「これができれば人生満足!」ボランティア。 すみれ会

 【 かんだ連雀 ・ 介護保険適用外 】念願だったカフェを訪れた。女性は明るい色の服でおしゃれをしており、表情もいつもとは違う。ふだんは足元がふらつく階段もしっかりした足取りで上り、会話がはずんだ。次の日には忘れてしまうが


 カフェでコーヒーを飲みながらのおしゃべり、寄席での落語見学…。介護保険制度でカバーできないお年寄りの願いを、地域のボランティアと一緒にかなえる取り組みを、東京都千代田区の高齢者福祉施設「かんだ連雀」のボランティアグループ「すみれ会」が行っている。題して、「これができれば人生満足!」事業。

 

 介護保険で満たされる部分と、満たされない部分とがある。その「満たされない部分」とは何か、そしてどうすれば満たされるのか。その答えの一つが、「すみれ会」にある。

 

===== 

 ちょうどその頃、福本さんは、訪問介護を担当していた一人の女性のことで心を痛めていた。女性は訪れるたびに「一緒にコーヒーを飲みに行きましょう」と誘ってくれる。しかし、介護保険では一緒にコーヒーを飲むことは認められていない。福本さんがそう説明しても、認知症の女性は顔を見るたびに誘ってくれる。その誘いを断る繰り返しを心苦しく思っていたところだった。

 「人生満足」の第1号となったのがこの女性。平成30年8月、近くの大学のボランティアサークルの学生が「お茶のみ友達」をかってでてくれた。女性と、サポートにあたる福本さんと3人で、念願だったカフェを訪れた。女性は明るい色の服でおしゃれをしており、表情もいつもとは違う。ふだんは足元がふらつく階段もしっかりした足取りで上り、会話がはずんだ。福本さんは「次の日には忘れてしまいますが、友人とコーヒーを飲んで楽しくおしゃべりする日常を取り戻すお手伝いができた」と話す。

 別の高齢男性はジャズが好きで、かつてはギターやトランペットを演奏していた。男性ボランティアを交えてジャズ喫茶に行き、好きだったジャズの話で盛り上がった。日頃は指を動かすのもやっとだが、そのときばかりは、喫茶店の重い陶器のマグカップをしっかり握っていた。寄席を楽しんだお年寄りも表情が全く違っていた。

===== 

 

<出典>

「人生満足」日常の喜びを取り戻す。東京都千代田区のボランティアグループ

産経新聞(2021/07/23)

これができれば人生満足! 日常を取り戻す

https://youyoulife.jp/human/4889/



(K1550) 大志 を抱かず 骨董 を抱く 青年 / 「 老人力 」(14)

 【 読書 ・ 老人力 】青年が大志を抱かずに骨董を抱きはじめたのである。何とじじむさいことであろうか。といういい方は古い。何という老人力の横溢であろうか。というふうにいう。ただ、知識とネンキがないので、近過去の物を集める


 前回は、老人の領域であった温泉に青年が入ってきたという話でしたが、今回は、老人の領域であった骨董にも青年が入ってきたという話です。これを著者は、若者に老人力が備わってきたのだと解釈します。

 骨董には財力が必要だが、昔と違って金がある若者だからできる。だが、骨董に必要な知識とネンキはないので、近過去の物品をムリヤリ骨董にしはじめた。Gパン、スニーカー、テレホンカードなどです。

 骨董品集めを楽しめるというのが老人力だとすれば、若者にも老人力がついてきたということになります。

 

===== 引用はじめ

 骨董ブームもありますね。これは何年前からか。温泉よりはちょっと後だと思うが。青年が大志を抱かずに骨董を抱きはじめたのである。

 何とじじむさいことであろうか。といういい方は古い。

 何という老人力の横溢であろうか。というふうにいう。

 骨董なんてそれこそ爺さんのものであったのが、まだ中年にも至らぬ、青年にも至らぬ少年法の中にヌクヌクといるようなものさえが、骨董骨董といいだした。

 しかし骨董というのはどうしても、知識とネンキあってのもので、若年にはムリ。

 ということで、若年としては近過去の物品をムリヤリ骨董にするという挙に出た。Gパン、スニーカー、テレホンカードといった、下手をすると現行品をまだ売っているような物品類に骨董を見立てて高額購入をはじめたのである。

 高額になれば、近過去の物でもとりあえず骨董気分を味わえる。

 金で買った老人力。

 昔と違って金のある若者だからできることだが、苦しまぎれとはいえ、そこには老人力への暗黙の接近を見ることができる。

===== 引用おわり

 

 前回は、

(K1544) 元気いっぱいの若者も温泉へ行く / 「 老人力 」(13)

http://kagayakiken.blogspot.com/2021/07/K1544.html

 

<出典>

赤瀬川原平、「老人力」、筑摩書房、P.96




2021年7月28日水曜日

(K1549) 利用限度額 を超えている、と ケアマネジャー から連絡

 【 介護保険 ・利用限度額】利用限度額を超えている、と ケアマネジャー から連絡がありました。 訪問リハビリ に「短期間集中リハビリ 加算 」が付いたためでした。難しい名称ばかりでの明細ですが、一度しっかリチェックしてみましょう


 毎月、ケアマネジャーと打ち合わせて、利用限度額以内のプランを作ってもらって、(著者のご主人が)介護保険を使っていたのだが、利用限度額を超えているという連絡がありました。

 ===== 引用はじめ

 ところが先日、利用限度額を超えている、とケアマネジャーから連絡がありました。夫が軽い梗塞を起こして1週間ほど入院したのですが、退院後3カ月以内の訪問リハビリに「短期間集中リハビリ加算」が付いたためでした。

 この加算は退院後の身体機能低下を防止するために、必要とあれば集中的なリハビリを個別に実施することが前提です。しかし、今回私たちにはその加算が付くという説明はなく、いつもと同じリハビリでした。そこで介護事業所に、この加算は取り消してほしいと申し入れたところ、結果的には、訂正されて限度額内に収まりました。

===== 引用おわり

  難しい名称ばかりで決して利用者目線ではない明細ですが、一度しっかリチェックしてみましょう。

 ===== 引用はじめ

 ただ私自身も大いに反省しました。毎月事業所から渡される給付金額の明細は合計金額だけを見て、詳細のチェックをしていませんでした。見ると、実に多くの「〇〇加算」が並んでいます。事業所がしっかりと人員配置をしたり、手厚いサービスを提供したりと、いろいろな条件を満たすことで加算できるものですから、事業所の努力によるものです。事業所との契約時にそれぞれの加算について説明は受けているはずですが、頭に残っていませんでした。

===== 引用おわり

 

<出典>

介護保険 明細チェックを

【終の棲家をさがして】産経新聞(2021/07/26)



2021年7月27日火曜日

(K1548) 日本最高齢のフィットネスインストラクター がエール

 【 瀧島未香 ・ フィットネス 】昭和6年生まれで今年90歳を迎えた「 タキミカ 」こと、瀧島未香さん。年齢は姿勢に出るものだが、座った姿はほれぼれするほど。背筋がピンと伸び、左右の膝、くるぶしはぴったりくっついている


 〝日本最高齢のフィットネスインストラクター〟がエールを送る。

 

 「もう年だから」と、尻込みする人の背中を押す、フィットネスインストラクターがいる。昭和6年生まれで今年90歳を迎えた「タキミカ」こと、瀧島未香さんだ。専業主婦だった瀧島さんが運動を始めたのは、一般的に年金受給が始まるとされる65歳から。

 誰に言われなくても自分で考え、コツコツとトレーニングする。ヨガのポーズでバランスを崩さないように体幹を鍛えたり、猫背を防ぐため、朝の日課に1キロの後ろ歩きを組み込んだり。「自分の体が変化していくのが楽しいから」

 

 自身の経験から、運動初心者には、転倒防止に役立つ足首の体操から始めることをすすめる。「テレビを見ながら、最初は1、2回でもいいんです。続ければ、足首がスムーズに動くようになりますよ」

 運動をするのに年齢は関係ない-。瀧島さんの全身についた筋肉が物語っている。「何歳からでもできます。少しずつでいいから、諦めないで続けることが一番大切です」

 

<出典>

90歳のフィットネスインストラクター 瀧島未香さん「何歳からでも運動を」

産経新聞(2021/07/27)

https://www.sankei.com/article/20210726-4XT5CE6GRNOWBFKFONHUOQHMOY/



2021年7月25日日曜日

(K1547)「 認知症の語り 」(013)

 【 認知症 ・ 語り 】 妻は家事ができなくなり、僕は料理の経験があまりなかったので料理に大変困リ、ヘルバーさんを依頼した。分類: 【介護者・家族04】【介護の実際と社会資源の活用】【介護サービスの利用】【介護サービスの利用】


 (認知症の)女房は家事ができないので、… ヘルパーさんを使い出しました。料理介助がメインなんですけども、料理以外にも洗濯、掃除など、家事援助をお願いしています。お風呂の介助とか歯磨きは、私が全部やっています。女房は(ヘルパーさんと)一緒に料理しながら、お昼と私の夕食分を一度につくってる感じじゃないかな。料理に関しては、週4日は私で、ヘルパーさんが週3日やっています。 …

 あと、ガイドヘルパー〔移動介護従事者〕さんていうのがおりまして、障害者向けのヘルパーさんなんですけど、その人が毎週、週1回、女房をスポーツクラブに連れていってくれます。そこでプールに入るんですけども、プール以外にも、映画を観にいくとか、そういう援助もしてもらっています。 …

 

https://www.dipex-j.org/dementia/topic/resource/service/2088.html

動画があります。

 

前回は、

(K1540)「 認知症の語り 」(012)

http://kagayakiken.blogspot.com/2021/07/K1540.html

 

<出典>

「認知症の語り(183)」、NPO法人健康と病の語りディベックス・ジャパン

https://www.dipex-j.org/dementia/



(K1546) 認知機能 楽しみながら改善 フィットネスクラブに導入

 【 iトレ ・ 認知機能 】画面を見るだけの手軽な 認知機能評価 と、 ゲーム を取り入れた運動を通じて 認知機能の改善を目指す。「 高齢者 にとって 医療機関 での認知症診断は敷居が高い。 ジム のような場所なら参加しやすい」


 大阪ガス子会社でフィットネスクラブ運営などを手掛けるオージースポーツは8日、認知機能の維持、向上を目的に大阪大大学院医学系研究科と共同で運動教室プログラム「iトレ」を開発したと発表した。

 画面を見るだけの手軽な認知機能評価と、ゲームを取り入れた運動を通じて認知機能の改善を目指す。8月中旬以降に直営のフィットネスクラブなどで導入する。

 測定ではタブレットに図形や計算のクイズが表示され、選択肢に視線を合わせることで回答する。認知機能の評価は正答率だけでなく、視線の動きや速さなども加味される。

 プログラム開発に携わった同研究科の森下竜一寄付講座教授は「高齢者にとって医療機関での認知症診断は敷居が高い。ジムのような場所なら参加しやすく、人と話したり、一緒に体を動かしたりすることも認知機能の改善効果が期待できる」と話している。

 

<出典>

認知機能 楽しみながら改善 大ガス系、フィットネスクラブに導入

産経新聞(2021/07/09)

タブレット見るだけで認知機能測定 大阪ガスと大阪大共同開発

https://www.sankei.com/article/20210708-3LXD2TTUPJOTHD7LH3AZDDFGNA/



2021年7月24日土曜日

(K1545) 早期退職 指南「FIRE」。新たな生き方、30代でリタイア

 FIRE ・早期退職】 「FIRE」とは、 Financial Independence Retire Early の頭文字からとった造語だ。支出を抑えた生活をしながら 投資 などで 資産 を作り、 退職後 の収入は 資産運用 で確保。好きなことをして過ごす生き方だ


 30代で会社を辞めて資産収入で暮らす-。そんなことは莫大な遺産を相続した人やエリートだけの話と思う人も多いのではないか。今、若者に支持されているのが、経済的に自立し、早期退職を目指す「FIRE」という生き方だ。指南本や体験記も相次ぎ出版されている。サラリーマンでFIREを達成した人もおり、「自分でもできそう」と思えるのも人気の理由のようだ。

 「FIRE」とは、Financial Independence Retire Earlyの頭文字からとった造語だ。支出を抑えた生活をしながら投資などで資産を作り、退職後の収入は資産運用で確保。好きなことをして過ごす生き方だ。2000年以降に成人を迎えたミレニアル世代を中心に欧米でブームとなった。

 国内での火付け役となったのが、『FIRE 最強の早期リタイア術』(ダイヤモンド社)だ。第一人者であるクリスティー・シェンさんとブライス・リャンさんの著書を翻訳したもので、昨年3月に発売され、累計発行部数は9万部に及ぶ。

 特に男性の関心が高いが、「男性は、働き続けるか55歳くらいで早期退職するしか道がなかった。今は副業や兼業もできるようになり、退職や学び直しなど選択肢が増えた。会社に時間を取られるのではなく、自分のやりたいことや経験に時間を使う、これまでとは別の豊かさが求められているのではないでしょうか」と話している。

 

<出典>

早期退職指南「FIRE」関連本続々

産経新聞(2021/07/19)

エリートじゃなくても30代でリタイア 新たな生き方「FIRE」関連本続々

https://www.sankei.com/article/20210711-CDIKFFHDVNN6HOZNVKBAXQ35BA/



2021年7月23日金曜日

(K1544) 元気いっぱいの若者も温泉へ行く / 「 老人力 」(13)

 【 読書 ・ 老人力 】温泉といえば昔から老人のもので、もしくは病人が湯治に行ったりするもので、元気一杯の若者が堂々と行くものではない。と昔は思われていたけど、若年層にもじわじわとブームになってきたのである


 昔は、温泉に行く元気な若者は変わり者と見られていたが、最近では、温泉女子旅がブームになり、若者も温泉めぐりをするようになってきました。温泉に行く若者が増えたのは、若者にも老人力がついてきたからだと筆者は言っています。

 元気な若者はひたすら働け、そして引退したら家督を譲り、温泉にでも行って息子のすることに口出しするなという知恵だったのではないかと私は思います。

 オンとオフ。仕事をしているときと仕事から離れているとき。オフの時間の使い方、別の言葉で言うと、何を趣味とするか。忙しい日常から離れ、自由な時間を贅沢に使って楽しむ力を筆者は老人力とよんでいるのではないでしょうか。欧米人のように長期休暇を取ってバカンスを楽しむことをしてこなかった日本の若者には、若者力しかなかったのかもしれません。老人力を欠いた日本人青年が変わってきたのだとみると、良いことのように思えます。「青年よ老人力を抱け。」

 

===== 引用はじめ

 一つぼくが思ったのは温泉ブームだ。もう六、七年も前になるだろうか。温泉にひたる趣味がじわじわとブームになってきた。

 温泉といえば昔から老人のもので、もしくは病人が湯治に行ったりするもので、元気一杯の若者が堂々と行くものではない。

 と昔は思われていたけど、それが老人はおろか、中年はおろか、若年層にもじわじわとブームになってきたのである。

 青年よ大志を抱け。

 といっても、温泉につかっているんでは、もはやいうだけ野暮というもの。もうそのときすでに、

 青年よ老人力を抱け。

という暗黙のメッセージが広がりはじめていたのではないか。

===== 引用おわり

 

 前回は、

(K1536) 理屈の正しさ よりも、 自分の感覚 / 「 老人力 」(12)

http://kagayakiken.blogspot.com/2021/07/K1536.html

 

<出典>

赤瀬川原平、「老人力」、筑摩書房、P.95



2021年7月21日水曜日

(K1543) 令和3(2021)年 7月中旬 個人Blog リスト

 【 個人Blog ・ 旬報 】 令和3(2021)年7月11~20日 個人Blogリスト (10件)


(2392) 令和3(2021)年 7月上旬 の 組織Blog リスト

http://kagayaki56.blogspot.com/2021/07/2392.html

 

(2393) 「三振恐れぬフルスイング 振るから何かは起こる」(2)

http://kagayaki56.blogspot.com/2021/07/2393.html

 

(2394) 育児・介護での離職に歯止め/テレワークが変える働き方(1)

http://kagayaki56.blogspot.com/2021/07/2394.html

 

(2395) リモハラも / テレワークが変える働き方(2)

http://kagayaki56.blogspot.com/2021/07/2395.html

 

(2396) ボーヴォワール『老い』(4-1) / 100de名著

http://kagayaki56.blogspot.com/2021/07/2396.html

 

(2397) 注目!!「半農半X」 / テレワークが変える働き方(3)

http://kagayaki56.blogspot.com/2021/07/2397.html

 

(2398) ボーヴォワール『老い』(4-2) / 100de名著

http://kagayaki56.blogspot.com/2021/07/2398.html

 

(2399) ご注意ください。詐欺です。前澤氏を語った「お金配り」

http://kagayaki56.blogspot.com/2021/07/2399.html

 

(2400) 違い。わからない男。どうでもいい女 / 男と女の違い(35)

http://kagayaki56.blogspot.com/2021/07/2400.html

 

(2401) 仲間想い の 大谷翔平 、7回に 全力疾走 した理由

http://kagayaki56.blogspot.com/2021/07/2401.html

 

なお、前回の紹介は、

(K1533) 令和3(2021)年 7月上旬 個人Blog リスト

http://kagayakiken.blogspot.com/2021/07/K1533.html



2021年7月20日火曜日

(K1542) 高齢者 自身 は「高齢者」を 何歳から だと思っている?

 【 高齢者 ・ 自認 】 高齢者 、 シニア 、 お年寄り 、 シルバー …年を取った人達の総称は色々とあるが、年齢の明確な 定義 は定められていない。高齢者に該当するであろう人達自身は、何歳を「高齢者」の 境目 と考えているのだろうか


===== 引用はじめ

 「高齢者」の明確な、法的設定は無いため、今件はあくまでも当事者に近い年齢にある人たち自身の意見となる。若年層にも同じ質問をし、違いを確認できれば、さらに興味深い結果が出ることだろう。

 余談だが、具体的な年齢区分を選択した人についてのみ集計をし直し、加重平均の形で平均値を算出したのが次のグラフ。

 男性よりは女性の方が少し上、そして回答者が年を取るに連れて「高齢者」の境界線も上昇していく。おおよそ75歳が平均的な「自分も高齢者だな」と自認できるようになる年齢だ、と見ればよいのだろう。

===== 引用おわり

 

 平均的にみると、7374歳以上が高齢者と見られています。当の本人たち(7074歳)は、73.8歳以上が高齢者と自認しています。

 おそらく、このあたりから、体にいろいろ差しさわりが出てくるのではないでしょうか。この調査を正とするなら、私は高齢者でない!

 

<出典>

高齢者自身は「高齢者」を何歳からだと思っているのだろうか(2019年公開版)

https://news.yahoo.co.jp/byline/fuwaraizo/20190829-00138799

 

<添付漫画>

ひなちゃんの日常

産経新聞(2021/07/20)




(K1541) 「 ラジオ体操 」で 保険料割引 かんぽ生命が事業強化

 【 健康増進型保険 ・ かんぽ生命保険 】健康増進型保険は運動習慣目標の達成などで保険料が安くなる。加入者が健康になり生保が支払う保険金が減るほか社会保障費の削減も期待できる。「ラジオ体操」をすると保険料が割り引かれる


 「健康増進型保険」の考え方は、良いと思います。健康に良いことをすると死亡リスクが減るので、保険料を安くできるのは、理屈として成立します。かんぽ生命保険はラジオ体操と縁が深いので、「ラジオ体操」で保険料割引~という発想もわかります。

 でも、契約者が、ラジオ体操を本当にしたかどうかは、どうやって確認するのでしょうか。毎日ビデオを送るのでしょうか。

 

===== 引用はじめ

 かんぽ生命保険の千田哲也社長は14日、産経新聞のインタビューに応じ、「ラジオ体操」をすると保険料が割り引かれる「健康増進型保険」の開発を明らかにした。千田氏は新型コロナウイルスの影響で運動不足の人が増える中、自宅など室内でもできる運動としてラジオ体操が見直されていると指摘。

 令和7年度までの中期経営計画中の販売を目指す。ラジオ体操のほか、歩数など健康習慣のビッグデータも保険料に反映させる。

 健康増進型保険は運動習慣目標の達成などで保険料が安くなるタイプの保険。加入者が健康になり生保が支払う保険金が減るほか社会保障費の削減も期待できる。感染拡大による健康意識の高まりも追い風だ。

===== 引用おわり

 

<出典>

「ラジオ体操」で保険料割引 かんぽ生命が事業強化

産経新聞(2021/07/15)

https://www.sankei.com/article/20210714-34HMEENESJKWBKR7BGOGIHAPIA/

 

 ラジオ体操は、米国の生命保険会社が行っていたラジオ放送による健康体操を参考に、かんぽ生命の前身である逓信省簡易保険局が昭和3年、日本放送協会(NHK)などの協力を得て始めた経緯がある。

<添付図>

https://radi-con.jp/



2021年7月18日日曜日

(K1540)「 認知症の語り 」(012)

 【 認知症 ・ 語り 】 今までは考えなくても自然にできたのに、今は何かをやっていると一瞬立ち止まってしまう。すごくさびしい。【本人10】【認知症になるということ】【認知症と向き合う本人の思い】【認知機能の変化に伴う不安】


―― 今まで普通にできていたことが、だんだん、段取りが悪くなったりとか、忘れることが多くなったって、ご自分で気づかれたとき、どんな気持ちになりますか?

 いやあ、すごいさびしいですね。今までできていたのにね、どうしてって。別に考えてなくても、手が勝手に動いてくれたりとかね、ありますでしょう。あと、(何かを)やっていて、 一瞬、「あっ」って、こう、何ていうの……立ち止まっちゃうこともありますからね。だから、やっぱり、「これが、ぼけが進んできたってことなんだろうな」とか思うんですけどね。

https://www.dipex-j.org/dementia/topic/to-be-patient/live/2627.html

音声のみ。

 

前回は、

(K1532)「 認知症の語り 」(011)

http://kagayakiken.blogspot.com/2021/07/K1532.html

 

<出典>

「認知症の語り(103)」、NPO法人健康と病の語りディベックス・ジャパン

https://www.dipex-j.org/dementia/





2021年7月17日土曜日

(K1539) 欲を克服し、大物になれる。事実、大物になっている

 【 大物 ・ 食欲 】 肉の量などを瞬間的に判断して、うまそうな皿をさっと取っていた。でも、最近はうまそうな皿はヒヤマさんの方へ置いている。度量が大きくなったのだろうか。ねんてんはいよいよ大物に近づいたのだろうか


 三大欲は、一般的には、生存にかかる根源的な欲求とされている食欲、睡眠欲、性欲を総称した言い方。年を取ると、食欲を克服できるようです。

 

===== 引用はじめ

 このところ、大きい方、よい方、うまそうな方を取ろうという意識が減少している。好物のあんパンの場合、半分こするときは、大きい方をいつでも取っていた。ところが、大きい方をヒヤマさん()に渡している。やはり好物の酢豚が皿に取り分けてあるとき、肉の量などを瞬間的に判断して、うまそうな皿をさっと取っていた。でも、最近はうまそうな皿はヒヤマさんの方へ置いている。

 度量が大きくなったのだろうか。ねんてんはいよいよ大物に近づいたのだろうか。

===== 引用おわり

 

 めでたい話なのですが、…奥さんに自慢したところ、…

 

===== 引用はじめ

 そう思って悦に入り、朝食の際にヒヤマさんに話した。すると、「バカね、フレイルに近づいているのよ。」と一蹴された。

 たしかに、食欲は以前のように旺盛ではない。食べる量もかなり減っている。老化にともなう現象であることは間違いがないし、フレイルに近づいているのも事実だろう。

 だが、自分が大物化している、と思う方がなんだかよさそう。「現実を直視しなきゃ」とヒヤマさんには言われるだろうが。

===== 引用おわり

 

 小物は自分を大物だとは言いません。フレイルであろうがなかろうが、自分が大物だと言えば、本当に大物になっています。もはや、欲に左右されていません。

 

<出典>

坪内捻典、大物なのか

【モーロク満開】 産経新聞(2021/06/27)



2021年7月16日金曜日

(K1538) 認知症SF第二モデル(質の理論)(2)

 BPSD ・ 穏やかに暮らす 】 介護者 が対応に 苦慮する 症状 の多くは、 中核症状 よりも BPSD と言えるでしょう。感情の質を改善できればBPSDも改善される。循環している。 悪循環 を転じて 好循環 にしたい


 以下に書くのは、オリジナルで、タイトルにある「SF」は、Susumu Fujinamiの略です。

 

認知症SF第二モデル(質の理論)(2)

1.1.  認知症の症状

1.1.1.  認知症の主な症状は、中核症状と周辺症状に大別される

 中核症状は、脳の神経細胞の障害によって起こる認知機能障害です。「新しいことが覚えられない」「日付や場所がわからない」「物事の段取りができない」などがあり、初期からほぼすべての人に認められます。

 周辺症状は、中核症状と環境要因・身体要因・心理要因などの相互作用の結果として生じる様々な精神症状や行動障害を意味します。

 BPSDは(Behavioral and psychological symptoms of dementia)の略で、日本語訳では「認知症の行動・心理症状」と言います。以前は「周辺症状」と言われることが多かったのですが、BPSDは中核症状にも増して、本人・家族の負担が大きく、まさに中核的な症状のため、現在では「周辺症状」とは使わず「行動・心理症状(BPSD)」と表します。

http://midori-satohp.or.jp/article/47.html

1.1.2.  BPSDに注目する

 暴言や暴力、興奮、抑うつ、不眠、昼夜逆転、幻覚、妄想、せん妄、徘徊、もの取られ妄想、弄便、失禁などはいずれもBPSDで、その人の置かれている環境や、人間関係、性格などが絡み合って起きてくるため、人それぞれ表れ方が違います。

 BPSDがほとんど現れない人もいる一方で、かなり激しくBPSDが出てしまうこともあり、介護者が対応に苦慮する症状の多くは、中核症状よりもBPSDと言えるでしょう。

 BPSDの背景には、必ず本人なりの理由があります。行動の背景にある「なぜ」を考え、本人の気持ちに寄り添った対応をすることで、症状を改善できる場合も少なくありません。

https://www.ninchisho-forum.com/knowledge/kaigo/007.html

1.2.  認知症になっても穏やかに暮らすために

1.2.1.  BPSDと感情の質との関係に注目する

(1)感情の質を改善できればBPSDも改善される。感情の質が悪化するとBPSDも悪化する。すなわち、循環している。悪循環を転じて好循環にしたい

(2)避けたい感情と、目指したい感情

 避けたいのは、不幸感、否定感、怨嗟感(ルサンチマン)、自卑感、不安感などのNegativeな感情、目指したいのは、幸福感、肯定感、感謝感、自尊感、安心感などのPositiveな感情である。

 Negative感情を弱め、Positive感情を強めることにより、BPSD(認知症の行動・心理症状/周辺症状)の悪循環から、好循環の転換を目指す。5軸は互いに影響するので、改善を見込める軸から着手する。

1.2.2.  如何に、Negativeを抑制し、Positiveを喚起させるか

 各々の軸において、どこに位置しているのか。現状はどの軸が支配的になっているのか。抽象的ではなく、具体的に言うとどうなのか(一般論ではなく、目の前の人はどうなのか)、他のアプローチはないのか。五つの軸は連動しており、どの軸に重点的に働きかけるかが、大切な選択になる。

 

 このシリーズ終わり。

図は、前回と同じです。



2021年7月15日木曜日

(K1537) 認知症SF第二モデル(質の理論)(1)

 【 感情の質 ・ 質の理論 】 感情の質を、5軸( 主観軸 、 存在軸 、 外向軸 、 内向軸 、 安寧軸 )をもとに。Positive Negative かで整理する。感情の質は、認知症の人の QOL ( 生活の質 )に強い影響を与える


 以下に書くのは、オリジナルで、タイトルにある「SF」は、Susumu Fujinamiの略です。

2.   認知症SF第二モデル(質の理論)

2.1.  感情の質

2.1.1.  感情の質は、認知症の人のQOL(Quality of Life:生活の質)に強い影響を与える

2.1.2.  感情の質を、5軸をもとに、  Positive Negativeかで整理する

(1)幸福感か不幸感か(主観軸)

 主観的に、Positiveなら幸福感、Negativeなら不幸感がある。

(2)肯定感か否定観か(存在軸)

 私は今の私のままでよい、私はここに居てよい、なら肯定感。今の私ではだめで変わらなければならない、ここに居てはいけない、なら否定感。自分自身の存在を問うている。

(3)感謝感か怨嗟感か(外向軸など)

 怨嗟(エンサ)とは、うらみなげくこと。うらみは相手に向かい、なげきは自分の中で起こる。感謝も、相手に向かう感謝と、自分の中で起こる感謝がある。怨嗟は、ルサンチマンに通じる。

 ルサンチマンとは、主に弱者が強者に対して、「憤り・怨恨・憎悪・非難」の感情を持つことをいう。認知症の人は、偏見あるいは無理解にさらされ、弱者の立場に置かれることが多いので、ルサンチマンが起こりやすい。この感情は、外に向かっている。

(4)自尊感か自卑感か(内向軸)

 自尊心と似たような意味合いの表現として「自己肯定感」あるいは「プライド」などの語が挙げられる。自己肯定感もプライドも、おおむね自尊心と同義といえる。「自尊心」の語には「尊大である」という否定的ニュアンスが伴いがちであり、その否定的ニュアンスを避ける意味で「自己肯定感」や「プライド」などの表現が用いられる場合は少なくない。

 自尊心の対義語にあたる言葉は、「自尊心」の対極に位置づけられるという意味では、「卑下」「卑屈」「劣等感」「自己否定」などが挙げられる。

 直接的な「自尊心の対義語」と位置づけられる表現は見出しにくい。字の構成からいえば「自卑心」とか「自貶心」あるいは「自虐心」のような言い回しが考えられ得るが、そういった言い方があるわけではない、少なくとも一般的な国語表現とは認識されていない。

https://www.weblio.jp/content/%E8%87%AA%E5%B0%8A%E5%BF%83

(5)安心感か不安感か(安寧軸)

 安寧(アンネイ)とは、穏やかにおさまり、異変、不安などがないこと。また、そのさま。安泰。平穏。認知症の人の「困った言行」の背後に不安感があると言われている。その一方、認知症になりながらも穏やかに暮らしている人も、少なくないようだ。彼らの背景に、安心感があるのではないか。

 続く。



2021年7月14日水曜日

(K1536) 理屈の正しさ よりも、 自分の感覚 / 「 老人力 」(12)

 【 読書 ・ 老人力 】 老人力 がついてくると、まあいっか、というのが基本だから、 論理 で怒られたって別にいいという アバウト感覚 で、 芸術 より 趣味 、 思想 より 好き嫌い 、 平等 よリ エコ贔員 の路線で行けるようになる


 「論理的に正しければ、結果も正しい」とは言えない、のが老人力ならば、確かに私(=藤波)にも、老人力がついているのかもしれません。

 自分の中で論理的に詰めていって、どうも正しい方向に向いていないという感覚があったら「まあいっか」と思考を止めてしまいます。誰かと論理で負けそうになっても、それでも自説の方が妥当だと感じたら、「確かにあなたの言う通りだ」と口では降参するが、私の心の中では負けておらず、自説を固持したままになります。

 

===== 引用はじめ

 論理的には正しいはずの方に向かいながら、しかしどうも嫌だなという感じがあるとき、どうする?

 老人力のまだない若年時代は、やはりどうしても論理に従う。論理を前に立てる。そうしないと怒られるんじゃないかとか、馬鹿にされるんじゃないかとか考えるんです。

 でも老人力がついてくると、まあいっか、というのが基本だから、論理で怒られたって別にいいというアバウト感覚で、芸術より趣味、思想より好き嫌い、平等よリエコ贔員の路線で行けるようになる。

 つまり理屈の正しさよりも、自分の感覚がいちばんということ。

 最近は論理的思考の落し穴というのをつい考えてしまう。たとえば例の少年の人殺し事件。いろいろな識者がその事件の中に論理的に分け入り、細かく分析していく。AだからBになって、BだからCになったということが、端から理由がつけられていく。いろんな説があるけど、ぼくなどはどの説も正しいと思ってしまう。でもそういう論理をたどっていると、何だかその事件を肯定するような位置にいるのに気がつく。

 嫌だなあと思う。

 殺人はもちろん嫌だけど、それを嫌というふうにいえないような論理の力そのものが嫌になるのだ。何か「好き嫌い」の後ろにじりじりついてきて、隙を見てすぐ前に出ようとする。

===== 引用おわり

 

 前回は、

(K1529) 「老人は家の守り神」という立看板 / 「 老人力 」(11)

http://kagayakiken.blogspot.com/2021/07/K1529.html

 

<出典>

赤瀬川原平、「老人力」、筑摩書房、P.86 P.87




(K1535) 認知症SF第一モデル ( 量の理論 )(2)

 【 認知症にならない ・ 認知力低下 】 残存認知力 をできるかぎり使っていく。そうすれば、認知力の低下がゆったりし、希望が生まれる。もしも死ぬまでに 残存認知力 が 閾値 を下回らなければ、認知症にならなかったことになる


 以下に書くのは、オリジナルで、タイトルにある「SF」は、Susumu Fujinamiの略です。

 

 認知症SF第一モデル(量の理論)(2)

1.4.  認知症にならない方法

1.4.1.  喪失認知力

 認知症は、認知力を失っていく症状としてあらわれる。喪失認知力の領域が時間とともに増えていく。通常は、この失われていく認知症に気を取られがちである。

1.4.2.  残存認知力

 認知症の進行に伴い残された認知力は減ってくが、それでも、すべての段階で認知力が残存している。それを最大限に使うことに注力すべきである。「…ができなくなった」ではなく、「そうはいっても、…は、今でもできる」ことを大切にし、その残された認知力を使う。

1.4.3.  鈍化された認知力低下

 筋肉は、使わないとどんどん衰え、使うと増えていく。筋肉が衰えてきても、できる範囲で残された筋力を使えば、筋肉の減少は鈍化し回復することもある。認知力も使わなければ減っていく。使って回復するのは難しいが、減少を鈍化させることはできる。

1.4.4.  認知症にならないために

 軽度認知症になったことが分かった段階からでも、落胆したり、あきらめたりするのではなく、残存認知力をできるかぎり使っていく。そうすれば、認知力の低下がゆったりすし、希望が生まれる。もしも死ぬまでに残存認知力がdementia閾値を下回らなければ、その人は、一生、認知症にならなかったことになる。

 好ましくは、軽度認知症が始まってからではなく、下降期が始まってからできるだけ早く、認知力の低下を抑制する働きかけを始める(認知症予防体操など)。

1.5.  感受力(感情と知覚)

 理性力の減少に伴い、認知力が減少する。それを感受力が増大して補完することが考えられる。感受力は、感情感受力と知覚感受力に分けられる。

1.5.1.  感情(感情感受力は、感情で世界を把握する力)

1.5.1.1.   感情の高ぶりは、感情感受力を減少させる

1.5.1.2.   量としての感情感受力

(1) 感情感受力は、認知症と関係なく大きくなったり小さくなったりする。この増減は無視し、認知症に関係する部分のみを検討対象とする

(2)感情感受力は、健常期、軽度認知症期ではほぼ一定、認知症期に一時上昇したのちに、認知症末期に減少すると思われる。ただし、感情認知力を測る手段がない

(3)認知症期においては、認知症に伴い理性力が減少する結果、認知力(世界を把握する力)が減少する。それを補完するために、感情感受力が増大すると考えられる

1.5.2.  知覚(知覚感受力は、知覚で世界を把握する力)

 認知力の低下を補完するために知覚感受力が強化されることも考えられるが、知覚をもたらす視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚などの器官が加齢に伴い弱体化するので、期待できない。

 

 認知症SF第二モデル(質の理論) に続く。

添付図は、前回と同じ。