2018年12月8日土曜日

(K0585)  認知症の人の生活行為の障害への対処 / 小川敬之教授(2)

 
(前回からの続き)
 

 生活行為の障害がどのようなものかを映したビデオが興味深かった。認知症の理解に役立った。①セーターの着衣、②エプロンの意味
 

  セーターの着衣

【ビデオ】(認知症の方が)セーターの着衣を促されるが、一向に進まない。しかし、あることをすると、着衣行為が始まった。眼鏡をはずしてもらい、頭からセーターをかぶせた。すると、今までの戸惑っていたのが嘘のように、スムーズに着ることができた。

【解釈】外発的行動を促すのをやめて、内発的行動を促すような働きかけをしたので、うまくいった(添付図)。

 言葉で説明して、その通り行動させようとしても難しい(外発的行動)。着衣動作は過去に何回もしているおり、そのパターンがスタートできるよう整えてあげると、過去の動作を繰り返す形で着衣動作ができた(内発的行動)。

【学んだこと】言葉で説明してもうまく行動できない(外発的行動ができない)場合は、仕切り直し、「合い(あい)の手」を入れて、体で覚えている動作に導くようにする(内発的行動)
 

  エプロンの意味

【ビデオ】(認知症の方が)皿洗いをしようとエプロンを着せてもらったところまでは良かったが、皿洗いは忘れて、テーブルの上にエプロンの下の方をかけようとした

【解釈】皿洗いしようとしていたことは忘れ、着ているエプロンがテーブルクロスだと思ったので、テーブルに敷こうとした。

【学んだこと】本来の目的とは異なる行動をし始めた時、はた目からは無意味で変な動作に映るが、本人にとっては意味がある。それを否定することなく、先ずは受け入れ、仕切り直す。合目的的な行動は期待せず、本人にとって意味のある行動ができるよう「合い(あい)の手」を入れる
 

(次回に続く)
 

<出典>
  講演を聴講したのは、
小川敬之教、「ひとつ ー少子高齢化・認知症・働くこと・生きる事ー」、第61回臨床死生学・老年行動学研究会(第61回臨床死生学・老年行動学研究会)、大阪大学 中之島センター、2018/12/05
研究会については、http://rinro.hus.osaka-u.ac.jp/info.html

  参考になる文献としては、
「認知症の支援 - 和包括的視点での多職種のかかわり方 - Dementia Friendly community
http://www.seiai-riha.com/pdf/170321_innaibenkyou01.pdf
(注)所属が「九州福祉保健大学」となっているが、現在は「京都橘大学」教授

 
 

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