以前、私は特養に傾聴のボランティアをできないかと申し出たが、「ほとんどの人が認知症だから意味がない」とやんわり断られたことがある。「違う」と思ったが、無理矢理入ってもうまく行かないだろう。
その後NPO法人を経由して、有料老人ホームにアクティビティ補助として月1回のペースで3年弱通ったが、最近辞めた。「どう役に立っているか」を説明するのは難しいが、私は役に立っていたのではないかと思っている。ただ、ボランティアを受け入れるには施設側に負荷がかかる。その負荷を背負えない施設にボランティアが無理に入っても、双方がしんどくなってしまう。
以前神戸市には、施設にボランティアを入れる制度があったが、今は廃止されたという経緯があるらしい。本には「第三者として約20年間の老人ホーム訪問経験から私の思いを述べて見ます」と書いてある。おそらく上記制度によるものだろう。現実をしっかり見て、地に足の着いた、貴重な内容が書けていると思う。
老人ホームボランティアは、入所者にとっても、施設にとっても、ボランティアにとっても意義あるものになりえると、今でも思っている。
【本の構成】 第2章 高齢者施設を訪問して
(1) 高齢者施設を心安らぐ場所にするために
(2) 心の通ったリハビリをするために
(3) 認知症の人の「神様との会話」
(4) 介護と延命を考える①
(5) 介護と延命を考える②
(6) 介護保険の利用とそのタイミング
(7) 高齢者施設で働くスタッフに思うこと
(8) 高齢者施設での五つの「しない」
(9) 認知症と拘束
(10) 介護とチームプレー
(11) 開かれた介護と閉ざされた介護
(12) 生活・医療・介護の合体
(13) コミュニケーションに気をつけたい言葉
<私のメモ>
(7) 高齢者施設で働くスタッフに思うこと
①
認知症に関連して
赤ちゃんは、認(人を認識する)空(場所環境を認識する)時(日時等を知る)の順番に覚えていく。認知症の人は、その反対に忘れてゆく。その三つ全部を忘れても自分を守る本能は残る
② 人気のスタッフ
身体の不自由な利用者、判断力が定かでない利用者にとっては、優しく声をかけてくれる少しのろまと取られるくらいのゆっくり派の方が、人気があるようである
(8) 高齢者施設での五つの「しない」
施設や職員やボランティアの方にお願い。①職員や看護士は意味なく走らない。②必要以上に大きな声を出さない。③意味なく身体や頭に触らない。④落ち込まない。⑤後ろから声をかけない。
(13)コミュニケーションに気をつけたい言葉
① 「介護する人・される人」「支援する人・される人」…「する側」という無意識はないか
② 禁止・命令 … 当人にとっての意味がわかれば、言い方は変わる
③ 注意・脅迫 … 誰だって、諭すような言葉・脅すような言葉は素直に受け入れられない
④ 理由を正す … その人にとっての意味をくみ取る努力をしてからの質問か
⑤ 激励 … 嬉しい顔になったか、嫌な顔になったかを観察してフォローしているか
⑥ 忠告と解決策の先回り … 自身で答を出す邪魔をしていないか
引用:
岡島貞雄・岡島みさ子、『老いには夢を ~安心して老いをむかえるために~』、神2016戸新聞総合出版センター(2016)
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