===== 引用はじめ
ようやく車椅子で入れるレストランを見つけて席に着くと同時に、「もう無理」と初めて奈美の前で泣き崩れました。
「こんな状態で生きていくなんって無理だし、母親としてあなたにしてあげられることは何もない。もう死にたい。お願いだから、私が死んでも許して」
感情のままぶつけてしまってから、しまったと思いました。
…
きっと泣いているだろうなと思いました。
「ママ、お願いだから死なないで」と縋られるだろうと思いました。
返事がないので恐る恐る視線を上げると、なんと奈美は泣きもせず、普通にパスタを食べていました。
驚いて言葉を失くしている私に向かって奈美は言いました。
「ママ、死にたいなら死んでもいいよ」
私は耳を疑いました。
===== 引用おわり
以上は、母の語り。
以下は、娘の語り。
===== 引用はじめ
そんなママが隠していた涙を見た時、責められるべきは私だと気づきました。
私が手術を望んだせいで、ママは死ぬよりつらい思いをしているのだと。
だからママから「死にたい」と言われた時、私は拒否なんてできませんでした。
思わず口をついた言葉は「死んでもいいよ」でした。それが私にできる最後の償いだと思いました。本当に死んでしまったらどうしようと、内心は焦りでいっぱいでした。
===== 引用おわり
「ママ、死にたいなら死んでもいいよ」
この言葉を契機に、絶望からの回帰が始まった。
奇跡の始まりだった。
(前出)
引用:岸田ひろ実、「ママ、死にたいなら 死んでいいよ」~娘のひと言から私の新しい人生が始まった~、致知出版(2017)
案内:2017/6/8 <岸田ひろ実さんを囲む会>19:00開演、隆祥館書店(大阪中央区)
http://atta2.weblogs.jp/ryushokan/2017/05/201768-%E5%B2%B8%E7%94%B0%E3%81%B2%E3%82%8D%E5%AE%9F%E3%81%95%E3%82%93%E3%82%92%E5%9B%B2%E3%82%80%E4%BC%9A-%E4%BC%81%E7%94%BB160.html
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