2018年2月6日火曜日

(K0282)  してはいけない支援(1) いたれりつくせり <インクルーシブ社会>


 「いたれりつくせり」は、してはいけない。 三つの事例で検討する。
 

(1) 事例1 有料老人ホームの出来事

 有料老人ホームで、足の不自由な方が歩くのを他の入所者が手助けしようとしたとき、職員が走ってきて「そんなことをしてはいけません」と厳しく制止した。事故がおこることを恐れているのだろう。

 有料老人ホームで、行事の休憩時間で水を飲み終わった入所者がコップを返しに行こうとしたら、「私が持っていきます」と職員が受け取った。十分歩ける人である。それでも、行事時間中に事故が起こるのを恐れたのだろう。

 

(2) 事例2 特養(特別養護老人ホーム)の認知症入所者のつぶやき

 認知症の入所者(病識がない=自分が認知症とは思っていない)が、「一刻も早く、この特養から出たい」と言う。何故かと問うと、「ここでは、自分で何もさせてくれない。こんなところにいると、私はボケてしまう」。認知症とは思えない。正解だ。

 

(3) 事例3 評価され方

 「どうぞ座っていてください。私たちが何でもしてさしあげます」といった老人ホームが高く評価されるそうだ。逆に「できることは、自分でしてください。手助けはしません」という老人ホームは不親切だと低く評価されるそうだ。

 デンマークでは、介護者は、担当している人を見ているだけで、ほとんど手助けしないので、「こんなのでは介護していると言えないのではないか」と日本から見学に行った人が驚くそうだ。デンマークでは「歩ける人が歩かないと歩けなくなる」というコンセンサスがあるようだ。

 

 「いたれりつくせり」は、相手の自立心を奪い、自立力喪失の手助けをしてしまう。してはいけないことだ。

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