少高齢化に伴い地域の重要性が増す一方、地域が弱体化している。どう対応すればよいのだろうか?と問題意識を持っているが、どうも地域のプレイヤーが変わってきているようだ。
(1) 地域密着人口の増加
===== 引用はじめ
(添付)図11-1は、人口全体に占める「子どもプラス高齢者」の割合の変化を示したものだが、1940年から2050年という100年強の長期トレンドでみた場合、それが概ね「U字カーブ」を描いていることがわかる。…人間のライフサイクルを考えた場合、子どもの時期と高齢の時期は、いずれも地域との関わりあるいは“土着性”が強いという点が特徴的である。こうした意味で、子どもと高齢者は「地域密着型人口」と呼ぼる存在である。
===== 引用おわり
広井良典、「第11章 人口減少社会と地域コミュニティ」、宮本みち子・大江守之、「人口減少社会の構想」、放送大学教材(‘17)
「地域密着型人口」が減少から増加に転換することにより、地域設計は新しいステージに代わる。弱体化してきた地域が反転するチャンスができてきている。
(2) 老々連携
「地域包括ケアシステム」の構築が求められているが、少子高齢化時代を迎えて、ケアされる人が増え、ケアする人が減ることが問題視されている。しかし、65歳以上の「高齢者層」を考えると、ケアを必要とする人も、逆にケアすることのできる人も、両者が増える。「ケアする人がケアを必要とする人をケアする」という体制が整えば、100%とは言えないが、この問題は「高齢者層」の中で、ある程度自己完結する。足りない部分を補充してもらえばすむ。
(注)「地域包括ケアシステム」:「団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を実現していきます」
一人の人を追いかけると、高齢期の前半でケアし、後半でケアされる。通しで、貸し借りなしとなる。
(3) 父と母の関わりの変化
女性の社会進出が進み、母の地域離れは続くだろう。一方、「働き方改革」などの効果があり、父の地域回帰のポテンシャルは高まるだろう。
関連:(1108)フラリーマン
http://kagayaki56.blogspot.jp/2018/01/1108.html
(4) 若い世代のローカル志向
===== 引用はじめ
… ここ数年、ゼミの学生など若い世代をみていて、「地域」や「ローカル」なものへの関心が確実に強まっているのを感じた。… 深い問題意識をもっていたり、あるいはもともとは海外やグローバルな話題に関心をもっていた若者の相当部分が、地域再生やローカルなコミュニティに関することに大きな関心を向けるようになっている。
===== 引用おわり
既出、放送大学テキスト
リクルート進学総研、文部科学省、内閣府の各々の調査でも同じような傾向がみられる。
(5) 多世代視点
後期高齢者ばかり見ていると、「地域包括ケアシステム」実現の厳しさが際立つ。しかし、「年少人口(0~14歳)」「生産年齢人口(15~64歳)」「高齢者人口(65歳以上)」の三世代、また「前期高齢者(65~74歳)」「後期高齢者(75~歳)」、また男女全体の関係性を見直すと、改善の方向が見えてくるのではないか。
「地域密着人口」の「U字カーブ」に見られるように、過去から現在の傾向がそのまま現在から未来に引き継がれるわけではない。一つの転換点にあることを意識することが大切である。
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