(K0084) 心の病について / 「生きづらさの中を生きる」(7) <心の健康>
私のメモより
(1) 心の病における『妄想』は、「訂正不能な確信」である。健康な人も「妄想」することがあるが、それは事実を確認して訂正することができる
(2) 『妄想』には、『被害妄想』『迫害妄想』『関係妄想』などがある。『関係妄想』では、周りに起こっていることが、自分に関係していると思ってしまう
(3) 『幻聴』には二種類ある。外界に対象を感じる『真性幻聴』と、内界に感じる『偽幻覚』とは、違う。表現のし方によって病気に見えてしまうことがある。発達障害の方がときどき「自分の頭の中で誰かがいけないと言う」と表現するが、これは頭の中で浮かんだ考えを声と認識しているだけで、『幻聴』ではない
(4) 『滅裂思考』では、「考えがまとまらない」。彼らは言葉で説明してくれるが、周囲の人は意味をくみ取れない
(5) 『混迷』は意識障害であり、感じなくなり、反応しなくなる。彼らの心の中で色々沸き起こって、周囲とは関係なくなる。回復してから聞くと、何を言われたかを思い出せる。語りかけた言葉は届いているが、反応しない
(6) 『自我境界』を失うと、「自分は自分だ」と思えなくなる。自分の考えが皆に知られていると感じる(『思考伝播』)。たえず「誰かに考えを吹き込まれた」「誰かに考えを奪われた」と感じる。自分の経験したことは、全部話してしまう。『自我境界』が弱まってくると、あたかも「丸裸で人中にいる」という感覚に襲われる
(7) 『うつ病』に「三大妄想」がある。『心気妄想』『罪業妄想』『貧困妄想』である
(8) 『病前性格』というものがある。一つのことにこだわり続ける『執着性格』。これは、几帳面、熱中性、仕事熱心、凝り性、正義感の顔をもつ。『メランコリー親和型性格』というものもある。これは、几帳面、他者配慮、秩序志向などの顔をもつ
(9) 『不安』は自己存在に関わる。「こういう自分が生きていてよいのか?」「自分はこれでいいんだろうか?」などと「不安」に感じることがあっても、それは誰にでも常日頃あることであり、必ずしも「病的」ではない。そういうときは、「自己肯定感をどれだけもてるか」が大切である
(10)
「社会全体が、心の病を『あってはいけないもの』と思っていないか」。そのような環境は、「心に傷をもった人が、自らを肯定的にとらえる」ことを妨害してしまう。「病気だから自分はダメだと」思わせてしまう。『障害受容』を困難にしてしまう。社会の理解が必要だ。
講師:井出浩(関西学院大学 精神科医)
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