今回は、前回からの続きであり、同じ図を添付する。
三つの話題、(1)仕事、(2)趣味、(3)社会活動について述べるが、(3)は(2)と考え方は同じなので、実質は二つの話題である。
(1) 仕事
定年後、少なからない人が、いままでより安い給料で、少ない負荷で、関連する仕事をしている(「現役時代の仕事の延長」)。今まで仕事に没頭してきて、定年後の準備をしてこなかった人にとっては、ソフトランディングのチャンスである。すなわち、大きなウエイトを占めていた仕事や関連する人間関係が急になくなって激変する環境に適応するために、この期間中に準備するとスムーズに移行しやすい
制度化された、役職定年や雇用延長は、その機能を持つ。違いは、役職定年は定年の前にあり、雇用延長は定年後にある。役職定年については、例えば、以下を参照。
https://seniorguide.jp/article/1001510.html
この期間を、これまでと同じ感覚で漫然と過ごしていると、言い換えると、定年後の準備をおろそかにしていると、その期間が終わった時点で、路頭に迷いかねない。役職定年も雇用延長も、一般には給料が下がるので、否定的に見がちである。しかし、視点を変えると、本格的な定年後が始まる前に、お小遣いをもらいながら、慣れた仕事環境も提供してもらいながら、定年後の準備をするチャンスを与えてくれる、ありがたい制度だともいえる。否定的に見ようと肯定的に見ようと、それに拘わらず制度は厳として存在し内容が変わるものでもない。不平を言っても何もよくならない。ならば、肯定的にとらえ、感謝の気持ちで、有効活用すればよいと、私は思う。
(2) 趣味
時系列でみると、三つに分類できる。(a)現役時代の趣味、(b)継続している趣味、(c)定年(境)後の趣味である。
(a) 現役時代の趣味
現役時代にゴルフが趣味だった人で、定年後にはゴルフ三昧で楽しむぞと思っていたが、実際には定年後のゴルフは楽しくなくなり、止めてしまう人がいる。理由は三つ考えられる。
① ストレス解消という意味でゴルフが楽しかったのではないか。その場合、仕事のストレスがなくなったらストレス解消の意味もなくなりゴルフの意味もなくなる
② 仕事仲間との交流が楽しみで、その場としてゴルフがあったのではないか。その場合、仕事仲間と一緒にいかなくなるとゴルフの意味がなくなる③ 社内融和や出世のため、あるいは仕事を有利にするためにゴルフをしており、どうせやるなら楽しくやろうと割り切っていたり、ゴルフで物事がうまく展開できたりしていたから楽しめたのではないか。その場合、目的達成の手段としてのゴルフの意味がなくなる
一方、根っからのゴルフ好きは、定年後も、相変わらずゴルフを楽しむ。
本物の趣味だけが定年後も継続され、そうでないものは、「現役時代の趣味」として、定年(境)後には消滅する。
(b) 継続している趣味
定年(境)後を充実して生活している人は、「継続している」趣味を楽しんでいる。しかも、それだけではなく、「定年(境)後の趣味」も追加して楽しんでいる。では「定年(境)後の趣味」は、どこから現れるのか。二種類あるようである。①「継続している趣味」から拡大、②「継続している趣味」から派生。
① 「継続している趣味」から拡大
現役時代から趣味を楽しんでいたが、時間の制限があったので、十分できなかった。定年になって時間ができたので、「いままでやりたかったができなかったこと」をし始める
② 「継続している趣味」から派生
インタビューから言えることは、趣味仲間から誘われて新しい趣味を始めるケースが多かった。そもそも趣味仲間は、性向や価値観の近い人が多い。その仲間が楽しんでいる趣味は、馴染みやすいものが多い。(c) 「定年(境)後の趣味」
さて、現役時代に仕事一筋で趣味を楽しんでいなかった人は、何もないところから「定年(境)後の趣味」を作らねばならない。それは三つの理由でなかなか難しい
① 「継続している趣味」をもっている人も「定年境(後)の趣味」を楽しんでいるが、それらの多くは「継続している趣味」から拡大したり派生したりしている。その大元になる「継続している趣味」がないのだから、拡大も派生もしない
② 深い趣味を楽しめるようになるには、「年季が入る」(長い間修練を積んで確かな腕をしている)。現役時代に趣味を始めた人は、自由になる時間の制限があるので、長い時間かけて趣味を育てている。「細く長い」。定年後に趣味を始める人は、先が見えている(別の意味で時間に制約がある)ので「細く長く」ではなく「太く短く」にならざるを得ないが、「深い趣味」は、なかなかそれでは到達できない
③ 年を取ると、反射神経が鈍くなるし、記憶力が衰えるし、気力も散漫になり、柔軟性が減り、適応力が鈍る傾向にある
定年後に趣味を始めて、楽しんでいる人もいるので、絶望ではないが、できるものなら「継続している趣味」をもっておきたい
(3) 社会活動
趣味と同じ
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