2017年11月19日日曜日

(K0202) 住む環境・地域により健康は左右される / 「地域元気力アップ講演会」(1) <地域の再構築>


1110日の「地域元気力アップ講演会」(主催:神戸市保健福祉局高齢福祉部介護保険課)で、千葉大学予防医学センター 近藤克則 教授の話を聞いた。氏は、日本老年学的評価研究(JAGESプロジェクト)の代表でもある。
 

内容の一部は既に(K0199)(K0201)で紹介した。
 

今回の内容は、「教育ではなく、住む環境・地域により健康は左右される」


(1) 生物・心理・社会モデル(添付図参照)

 不健康の原因として例えば生活習慣病に注目する(生活習慣病モデル)。高血圧は脳卒中の危険因子であり、生活習慣を変えることにより改善を見込める。そこで高血圧のハイリスク者に対して、食事・喫煙・アルコール・運動などの生活習慣についてのカウンセリング・教育を行うことにより、人々が健康になるはずである。


 
(2) 生物・心理・社会モデルの有用性の限界

 日本では、生物・心理・社会モデルに基づき健康を促進するための施策を10年間進めてきたが、ほとんど効果がなかった。世界中で55件の似たケースを見つけたが、どれも効果が無かった。実際には、教育しても行動変容が起こらない(ハイリスク者が生活習慣を変えない)からである。


 
(3) 住む環境に注目(添付図参照)

 例えば、「公園の近くに住む人は1.2倍頻繁に運動する」というデータがある。行動は、教育によってというよりも、住む環境によって変容する。それならば住む環境を変えることにより行動は変容し、健康を促進できるはずである。


 
(4) 地域差がある(添付図参照)

 前期高齢者のIADL低下者割合は、市区町村間で7.9%23.2%と約3倍の差があった(IADL低下者とは、外出や買い物、食事の用意、請求書の支払いや貯金の出し入れのいずれかができない者)。住む市区町村により、IADL低下が依存する。




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