2017年6月30日金曜日

(K0061) 今、ジェンダー(性)の抱える問題とは / 「生きづらさの中を生きる」(3) <インクルーシブ社会>


講師:(川喜多好恵 ドーンセンター カウンセラー)

1.   ジェンダーとは  ~ジェンダーの何が問題なのか?~

1)  「性」にまつわるさまざまな側面

 ジェンダーとは、女性・男性に関する性の区別の中で、社会的・文化的に決められて来た区分とそこから来るさまざまな男女格差のこと。

  SEX(生物学的側面) 遺伝子・ホルモンレベル、生殖器のタイプなど
  SEXUARITY(性愛関係的側面) 性愛の対象(性的指向)、性愛の方法(性的嗜好)など
  GENDER(社会・文化的側面) 性役割・性役割期待、男女の社会的格差

2)  ジェンダーが男女の不平等につながる仕組み

3)  ジェンダー にまつわる いろいろな問題

4)  ジェンダーと セクシュアリティー ~「L・G・B・T」って?

LGBT(エル・ジー・ビー・ティー)とは、女性同性愛者(レズビアン、Lesbian)、男性同性愛者(ゲイ、Gay)、両性愛者(バイセクシュアル、Bisexual)、トランスジェンダー(Transgender)の各語の頭文字をとった表現である。LGBTという言葉は性の多様性と性のアイデンティティからなる文化を強調するものであり、性的少数者と同一視されることも多いが、LGBTの方がより限定的かつ肯定的な概念である。(ウィキペディアより転載)

 

2.   ジェンダーと DV・性暴力・ハラスメント

1)  ドメイテックバイオレンス

2)  セクシュアル・ハラスメント

3)  性暴力と被害

2017年6月29日木曜日

(K0060) 家庭内の暴力 児童虐待 / 「生きづらさの中を生きる」(2) <家族の再形成>


講師:稲垣由子(甲南女子大学 小児科医)
 

(1) (疾病概念ではない)「健康概念」というものがあり、”Body function”(心身機能・構造)、”Activity”(活動)、”Participation”(参加)の3つの要素からなる。この「健康概念」によれば、障害があっても健康で幸福になりえる

(2) 「子どもの虐待」とは、「親または親に代わる養育者によって、子どもの人権を侵害する行為」で、「長期・慢性に継続し、子どもの心身に外傷をあたえる行為」であって、「親または親に代わる養育者の意図とは関係ない」

(3) 被虐待児の長期予後として、「死亡」「発達の問題」「(社会に向かった時の)社会的ハンディキャップ」「(自分に向かった時の)心理的ハンディキャップ」がある。「発達の問題」としては、「身体的後遺症(肢体不自由児)」「精神的発達遅滞」がある。「社会的ハンディキャップ」として、「非行」「行為障害」「犯罪」がある。「心理的ハンディキャップ」として「抑うつ」「人格障害」「多重人格」がある

(4) 「ミュンヒハウゼン症候群」の症例として周囲の関心や同情を引くために病気を装ったり、自らの体を傷付けたりするといった行動が見られる。そのうち、近親者(母親の子供に対するケースが多い)を病気に仕立て上げるのが「代理ミュンヒハウゼン症候群」であり、これによって虐待が行われることがある
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%B3%E3%83%92%E3%83%8F%E3%82%A6%E3%82%BC%E3%83%B3%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4

(5) 虐待は、不自然さに気づくことから発見されることが多い。常に頭の片隅に虐待を考えておくこと

(6) 親子関係障害としては、「子どもに対する感情の混乱」「怒りの要素」「緊張と苛立ちの感情」「憎しみと拒絶の感情」がある

(7) 「親の愛情を受けたことのないまま親になった人」へのアプローチとして、「内発的感情の自己認知機能への働きかけ」がある

(8) 愛着とは、「子どもが養育者に対して向ける特別な感情の絆」であり、「愛着を感じる」とは、「(養育者・愛着対象に)安全と安定感をもつこと」である

(9) 愛着が障害されると、「自我機能に全般的な障害」「ゆがんだ対象関係しか確立できない →  他者との親密な関係をとりにくい」「根深い対人不信と限りない愛情希求の間で揺れ動く」「攻撃者への同一視」「衝動統制ができない」「自己評価が低い」

(10) 回復のためには、3Tが必要。”Time”(時間)、”Tear”(涙する 感情)、”Talk”(語る 感情の表出)

2017年6月27日火曜日

(K0059)  対人援助という活動 -アマチュアリズムと専門家、どう違うか- / 「生きづらさの中を生きる」(1) <共助>


講師:羽下大信(住吉心理オフィス 臨床心理士)

(1) アマチュアと専門家との区別は、決定的ではない。訓練を受けていないアマチュアでも、優れた「精神分析者」がいる。その逆もある

(2) 「状況に反応する力」というものがあって、電話相談では意識してそれを使う

(3) 「人に関わることができるだろうか」と思っている人はセンスが良い

(4) 人に関わるには、「人に関わる能力」「一人でいる能力」の両方が必要である

(5) 電話相談を通じて、力をあげるのではない。その人のもっている力を引き出すのである

(6) 聴くときには「正論・一般論は言わない」「評価・批判しない」「自分の経験を熱く語らない」

(7) 応答するときには「他人のことはわからない」「人は人を変えられない」「言ってみないとわからない」

(8) 「ドボン(互いににっちもさっちもいかなくなる)」しない、「沈没(言い合って相手か自分のどちらかが沈む)」しない、「喧嘩別れ(よりややこしくなる)」しないため、訓練する

(9) 自慢話は聞き流して早く終わってもらう。その下にトーンの違うものがあるかもしれない

(10) 「ありがとうございました」で終わる電話の真意は、「これ以上続けたくない」ということもある

2017年6月26日月曜日

(K0058) 8つのテーマ / 「生きづらさの中を生きる」(0) <共助>


41日から63日にかけて、「生きづらさの中を生きる」を受講した。
 

「現代を生きる私たちの身近な問題である心の病、ジェンダー、看取り、虐待、ひきこもりなどライステージにおいての多方面の問題を取り上げました。あなたのまわりの戸惑いや疑問をご一緒に考えていきましょう。身近な方との関わりにきっとお役に立つことと思います。 … 」
2017年度 社会福祉法人 神戸いのちの電話 連続公開講座

 

全8回のテーマを以下に示す。

   対人援助という活動 -アマチュアリズムと専門家、どう違うか-

   家庭内の暴力 児童虐待

   今、ジェンダー(性)の抱える問題とは

   ストレスとPTSDのケア

   ひきこもり・依存症など 現代の心の病について

   ターミナルケア「看取る」とは

   心の病について

   人生における危機とその対応

(K0057)  催し物情報(3) <催し物紹介>


(New)が、今回追記催し物

 
628()10:0012:00(3級のみの場合)、会場:ドーンセンター(大阪市中央区)、

 ユニバーサルマナー検定、講師:原口淳、

 参加費:5000円、主催:日本ユニバーサルマナー協会、申込み:http://www.universal-manners.jp/outline/

 情報:http://universal-manners.or.jp/

 備考:藤波は3級・2級を同日受講

 

71()13:0016:00、会場:豊中市立伝統芸能館(大阪府豊中市)、

 素浄瑠璃を楽しむ、錦糸たまごの会、女流義太夫、

 参加費:1800円、主催:錦糸たまごの会、問合せ:090-1480-8596(大塚)

 情報:https://drive.google.com/file/d/0BxGLloQ9eVggUWlIMm9jdUFJRnM/view?usp=sharing

 備考:藤波も参加予定(妻が出演)

 

72()14:00~、会場:神戸市立婦人会館(神戸市中央区)、

 「神様たちの街」放映・監督トーク、トーク:田中幸夫(映画監督)、

 参加費:500円、主催:神戸の地域福祉を考える会、申込み:藤波まで、

 情報:https://drive.google.com/file/d/0BxGLloQ9eVggX0lFUzhFbEl4R2M/view?usp=sharing

 備考:藤波も参加予定

 

73()13:0015:00、会場:創建御堂筋ビル(大阪市中央区)、

 「読書サロン」第28回、藤波が進行役、

 参加費:500円、主催:NPO法人新現役ネット、申込み:06-6203-1225

 情報:https://www.shingeneki.com/common/details/area/2431

 備考:藤波が進行役

 

75()18:00~、会場:大阪大学 中之島センター (大阪市北区)、

 テーマ:少子高齢・人口減少社会と老人の反逆(第51回臨床死生学・老年行動学研究会)、話題提供者:小田利勝(神戸大学名誉教授)、

 参加費:0円、主催:臨床死生学・老年行動学研究会、申込み:予約不要、

 情報:http://rinro.hus.osaka-u.ac.jp/info.html#list02

 備考:藤波も参加予定

 

77()13:3016:30、会場:ラッセルホール(神戸市中央区)、

 少子・高齢化社会におけるライフスタイルと社会保障のあり方シンポジウム、報告者:阿部茂行、

 参加費:0円、主催:公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構、申込み:078-262-5570

 情報:http://www.hemri21.jp/events/index.html

 備考:藤波も参加予定

 

(New)712()17:3019:00、会場:六甲勤労市民センター 4階料理教室 (神戸市灘区)、

 まちかど食堂、

 参加費(小人は300円):500円、主催:生きがい活動ステーション、申込み:078-857-3022

 情報:https://drive.google.com/file/d/0BxGLloQ9eVggUXI2TFZ1VWZ0dTA/view?usp=sharing (申し込み部分を切ってしまいました)、

 備考:藤波も参加予定

 

713()13:3015:30、会場:あすてっぷKOBE(神戸市中央区)、

 人を集めるチラシづくりのコツ、講師:山阪佳彦、

 参加費:0円、主催:神戸市精神保健福祉センター、申込み:078-361-6977

 情報:https://drive.google.com/file/d/0BxGLloQ9eVggZUdYc0VRWmwxMHM/view?usp=sharing

 備考:藤波も参加予定

 

715()14:30~、会場:あすてっぷKOBE(神戸市中央区)、

 講演会「高齢者の生き方と逝き方」、

 参加費:0円、主催:神戸市精神保健福祉センター、申込み:078-371-1900

 情報:

 備考:藤波も参加予定

 

(New)△715()13:0016:3012:30開場)、会場:兵庫県中央労働センター 小ホール(神戸市中央区)、

 岸田ひろ実氏講演会(NPO法人そらしど事業報告・発達障害啓発活動「キャラバン隊」について・交流会)、講演者:岸田ひろ実、

 参加費:0円、主催:NPO法人 そらしど 、申込み:info.sorasido@gmail.com

 情報:http://www.tgkobe.org/ProjectDetail.asp?id=2133

 備考:藤波不参加だが、最近聞いた岸田ひろ実さんの話が良かったので紹介する

 

723()13:3016:30、会場:三宮コンベンションセンター(神戸市中央区)、

 神戸フォーラム2017、実行委員長:宮本直治、

 参加費:2000円、主催:NPO法人日本ホスピス・在宅ケア研究会、申込み:ホームページなど、

 情報:http://kurodakinen.okoshi-yasu.net/index.html

 備考:藤波も参加予定

 

726()14:00~、会場:寝屋川市立アルカス(大阪府寝屋川市)、

 ~人生100歳時代を考える~楽しく食べる人生を、講師:小谷泰子、

 参加費:500円、主催:NPO法人ふれあい時遊館、申込み:072-828-5700

 情報:https://drive.google.com/file/d/0BxGLloQ9eVggOWh5anhGUEtfZlE/view?usp=sharing

 備考:藤波も参加予定

 

(New) 87()18:30~、会場:西梅田ヒルトンプラザウエスト5階「桃谷樓」(大阪市北区)、

 テーマ:「定年の仕方」、講師:杉森清、永井誠、楠木新、

 参加費:6000円(飲み放題で懇親会込み。講演のみの場合は2000円)、主催:関西の今後を考える会、申込み:永井誠 nagai.mk@guitar.ocn.ne.jp  090-1899-8897

 情報:https://drive.google.com/file/d/0BxGLloQ9eVggRVY5ZzBzVnpYVlU/view?usp=sharing

 備考:藤波も参加予定

 

(New) 819()14:0016:00、会場:こうべまちづくり会館(神戸市中央区)、

 つながる住まい方、暮らし方 ~住まいをシェアする、地域でシェアする~、講師:北圭司、東村奈保、飛田敦子、松原永季。セミナー後、シェアキッチン”ヒトトバ”の見学会開催(希望者の方のみ)、

 参加費:0円、主催:すまいるネット/神戸市すまいるとまちの安心支援センター、申込み(申込締切 8/12):L:078 222 0186 FAX :078 222 0106 E-mail:seminar@kobe-sumai-machi.or.jp

 情報:https://www.smilenet.kobe-sumai-machi.or.jp/wp/wp-content/uploads/2017/05/20170819sumagaku.pdf

 備考:藤波も参加予定

 

827()12:0016:15、会場:神戸市勤労会館(神戸市中央区)、

 第2回『居場所』サミットin神戸、基調講演:河田珪子、

 参加費:500円、主催:認定NPO法人コミュニティサポートセンター神戸、申込み:ibasho@cskobe.com

 情報:http://www.cskobe.com/wp-content/uploads/sites/4/2017/06/summit_2017_8.pdf

 備考:藤波も参加予定

 

1021()13:30~、会場:兵庫県民会館(神戸市中央区)、

 相撲甚句/第13回西部地区神戸大会、特別講演講座:旭道 南左衛門、

 参加費:0円、主催:日本相撲甚句会 認証団体 神戸相撲甚句会、申込み:予約不要、

 情報:https://drive.google.com/file/d/0BxGLloQ9eVggMEZ6eVY5THZFTWc/view?usp=sharing

 備考:藤波も参加予定

2017年6月24日土曜日

(K0056) 介護と終末ケア / 『老いには夢を』(4) <臨死期>


【本の構成】 第4章 介護と終末ケア

(1) 介護とのかかわり

(2) 元気は病気の始まり、病気は元気の始まり

(3) 生と死

(4) 介護と終末ケア

(5) 介護施設のターミナルケア①

(6) 介護施設のターミナルケア②

(7) 高齢者介護と胃ろう

(8) 介護と看取り

(9) 週末ケアに関わる人々

(10) 連絡ノート

 
 

<私のメモ>


死は、死にゆく人の一人舞台ではない。
死にゆく人と送る人とが共演する舞台だと思う。
 

共演になった時、
死にゆく人は、死にゆく孤独から、少しだけ解放されるのではないか。
そして送る人の深い悲しみが、少しだけ癒えるのではないか。

 
===== 引用はじめ

私の死に対する考え方は、
いつか訪れる死

「亡くなる人は、残される人に悲しませない死に方を」
「残される人は亡くなる人に、悔いのない“生きる”のお手伝いを」

==== おわり

 

「看取る人」「逝く人」が心がけるとよいこと。
 

1.   看取る人

(1)  チームを組む
 医師・看護師・介護職の方・親族・近隣の人々その他多くの人々の協力体制が必要。

(2)  言葉
 例え、判断能力が定かでない方でも、自分のことを話し合っているのは判っている。

(3)  余裕
 忙しそうな行動では介護を受ける方が「申し訳ない」との気持ちになり、ストレスとなる。

(4)  笑顔
 ミラーリングとなりこちらの表情は相手に映る。話をする場合には、常に笑顔で。

(5)  尊敬
 認知症と言われる高齢者に対しても、常に尊敬の念を込めた態度や言葉を。

 
2.   逝く人

(1)  希望
 希望が不明だと、特に終末期の治療で、親族として子供として悩みに悩む。

(2)  書き留める
 書き留め、意思を伝達し、今後の自分の人生を修正し、自分の心を整理する。心が落ち着く。

(3)  子供や親族との普段からのコミュニケーション
 自分の希望通りに実現してくれる人々との信頼関係を、普段から構築しておく。

(4)  自分が亡き後の夢
 人は、亡くなった後にも親族や友人の心の中で生き続けている。素晴らしい夢を残したい。

(5)  ゆっくりした時間
 最後は、ゆっくりゆっくりとした時間を、過ごしたいものである。

 

引用:
岡島貞雄・岡島みさ子、『老いには夢を ~安心して老いをむかえるために~』、神2016戸新聞総合出版センター(2016)

 
 

2017年6月23日金曜日

(K0055) 成年後見制度と相談 / 『老いには夢を』(3) <自助・共助・公助>


 私は養成講座を受けたのち、後見監督人としての神戸市成年後見支援センターの支援・指導を受けながら、お一人の成年後見人を受任して一年半弱の経験を持っている(継続中)。私の知識は、養成講座と(わずかな)実務体験を通じて得たものである。

ご参考:神戸市成年後見支援センターのパンフレット:
https://www.with-kobe.or.jp/wp-content/uploads/2017/01/pamphlet-1.pdf

 一方、著者は、NPO法人の理事長として成年後見制度普及活動に携われ、多くの相談にのってきた豊富な経験があるようだ。

 本を読み進めると、私にはしっくりこない。何故かと考えてみた。

 
 著者は、多くの現実の困りごとの相談を受けてその解決に奔走されてきたが、その中には成年後見制度で解決可能なものと不可能なものが混在している。しかし、相談者にとっては、成年後見制度を適用しようがしまいが、ともかく解決しなければならない。筆者もその立場から成年後見制度を見ている。

 私は成年後見人という立場にいるので、成年後見制度に含まれるものは誠実に履行しなければならず、他方、制度に含まれないものに手を出してはいけない。制度に不備があっても、それを批判するのに力を注ぐのではなく、それを認めたうえで被後見人の利益を最大限に追及する立場にいる。

 一つ目に、立場の違いがありそうだ。

 
 二つ目に、主対象の違いがありそうだ。

 著者は、任意後見制度に深く関わってきた。法定後見制度にも関わっているがウエイトは低そうだ。一方、市民後見人は法定後見制度に関わるので、養成講座でも実務でも任意後見制度は眼中に入っていない。
 

さて、

【本の構成】 第3章 成年後見制度と相談

(1) 成年後見制度と介護予防

(2) 成年後見制度にまつわる決断の難しさ

(3) 成年後見制度と相談

(4) 後見と保証

(5) 成年後見制度における身上監護と財産管理

(6) 成年後見制度と医療問題

 

 自分で納得していないものの解説は書けないし、書かない方がよいだろう。
書いてある項目を意識しつつ、私の考えを述べる

 
<私のメモ>

(1)  最初、成年後見にある「成年」に違和感があったが、未成年後見という言葉を知って納得した。成年後見での「成年」は「未成年でなく、かつ、判断能力が不十分な人」を指す。その後見をするのが「成年後見人」である

(2)  介護保険制度は、措置から契約に変わる抜本的な制度改正であり、契約できない人が取り残される。それを解決するのに成年後見制度が必要である

(3)  介護予防は介護状態にならないようにするためのものであり、成年後見人は介護状態になった人を対象にするので、直接は関係ない

(4)  神戸市民後見人は、一人だけを担当する。実際に担当してみて思うのは、実務をもちながら10人もの被後見人を抱える専門職後見人(司法書士や弁護士、社会福祉士等)が、(ちゃんとしている)市民後見人と同じことができるわけがない。ただ、市民後見人ではできないことを専門職後見人がしているので、両者とも必要である。

(5)  家族や友人が後見人になっても問題を起こさないようにすることは、相当難しいだろう

 

成年後見制度の問題点について鋭い指摘が多くみられるが、後見人制度の改革では解決できないものも多く含まれていると感じた。制度改革をする立場に私はいないので、ここでは取り上げない。

 
引用:

岡島貞雄・岡島みさ子、『老いには夢を ~安心して老いをむかえるために~』、神2016戸新聞総合出版センター(2016)

2017年6月22日木曜日

(K0054)  個人Blog 6月中旬リスト <サイト紹介>


● 個人Blog 6月中旬リスト

 
(901) いのちの電話相談員養成講座

(902) 子どもの問題行動 / 子供・若者の文化と教育(7)

(903) 近世・近代の仏教 / 仏教と儒教(7)

(904) 選択可能性に関する意味ある四つの態度

(905) 高校生の生活と生徒文化 / 子供・若者の文化と教育(8)

(906) 愛の再生産 / NHK連続テレビ小説『ひよっこ』より

(907) 縁起の実践・空の実践 / 『維摩経』(3-1)

(908) 「蓮と鶏」(金子みすゞ) / 『維摩経』(3-2)

(909) スポーツ・ドキュメント 3件

(910) 「明日を信じて」
 http://kagayaki56.blogspot.jp/2017/06/910.html

(K0053) 高齢者施設を訪問して / 『老いには夢を』(2) <個人の発達>


 以前、私は特養に傾聴のボランティアをできないかと申し出たが、「ほとんどの人が認知症だから意味がない」とやんわり断られたことがある。「違う」と思ったが、無理矢理入ってもうまく行かないだろう。

 その後NPO法人を経由して、有料老人ホームにアクティビティ補助として月1回のペースで3年弱通ったが、最近辞めた。「どう役に立っているか」を説明するのは難しいが、私は役に立っていたのではないかと思っている。ただ、ボランティアを受け入れるには施設側に負荷がかかる。その負荷を背負えない施設にボランティアが無理に入っても、双方がしんどくなってしまう。

 以前神戸市には、施設にボランティアを入れる制度があったが、今は廃止されたという経緯があるらしい。本には「第三者として約20年間の老人ホーム訪問経験から私の思いを述べて見ます」と書いてある。おそらく上記制度によるものだろう。現実をしっかり見て、地に足の着いた、貴重な内容が書けていると思う。

 老人ホームボランティアは、入所者にとっても、施設にとっても、ボランティアにとっても意義あるものになりえると、今でも思っている。

 

【本の構成】 第2章 高齢者施設を訪問して

(1) 高齢者施設を心安らぐ場所にするために

(2) 心の通ったリハビリをするために

(3) 認知症の人の「神様との会話」

(4) 介護と延命を考える①

(5) 介護と延命を考える②

(6) 介護保険の利用とそのタイミング

(7) 高齢者施設で働くスタッフに思うこと

(8) 高齢者施設での五つの「しない」

(9) 認知症と拘束

(10) 介護とチームプレー

(11) 開かれた介護と閉ざされた介護

(12) 生活・医療・介護の合体

(13) コミュニケーションに気をつけたい言葉

 

<私のメモ>

(7)  高齢者施設で働くスタッフに思うこと

   認知症に関連して

 赤ちゃんは、認(人を認識する)空(場所環境を認識する)時(日時等を知る)の順番に覚えていく。認知症の人は、その反対に忘れてゆく。その三つ全部を忘れても自分を守る本能は残る

  人気のスタッフ

 身体の不自由な利用者、判断力が定かでない利用者にとっては、優しく声をかけてくれる少しのろまと取られるくらいのゆっくり派の方が、人気があるようである

 
(8)  高齢者施設での五つの「しない」

 施設や職員やボランティアの方にお願い。①職員や看護士は意味なく走らない。②必要以上に大きな声を出さない。③意味なく身体や頭に触らない。④落ち込まない。⑤後ろから声をかけない。

 
(13)コミュニケーションに気をつけたい言葉

  「介護する人・される人」「支援する人・される人」…「する側」という無意識はないか

  禁止・命令 … 当人にとっての意味がわかれば、言い方は変わる

  注意・脅迫 … 誰だって、諭すような言葉・脅すような言葉は素直に受け入れられない

  理由を正す … その人にとっての意味をくみ取る努力をしてからの質問か

  激励 … 嬉しい顔になったか、嫌な顔になったかを観察してフォローしているか

  忠告と解決策の先回り … 自身で答を出す邪魔をしていないか

 

引用:
岡島貞雄・岡島みさ子、『老いには夢を ~安心して老いをむかえるために~』、神2016戸新聞総合出版センター(2016)