2017年10月31日火曜日

(K0184) 生活(2) / トライアングル理論(11) <定年後>


整理しなおす。

(1) 定年後の様子を見ていると、どうも女性の方がうまく適応しているようだ

(2) 女性には、定年後を生きる力があるようだ

(3) その源泉を「生活(力)」と呼んでみよう

(4) それは、女性が家事をしていることに関係しているのではないか

(5) 「家事そのもの」と「家事から発生する諸々」の二つがあるのではないか
 

今回は、「家事そのもの」を調べてみる。
 

「家事そのもの」は、【作業】【人】【金】の三つに分類できそうだ
(このあたりまで、前回述べた)


(1) 【作業】はさらに、「衣」「食」「住」および「入」「出」に分類できる

(2) 【人】はさらに、「子」「家族」「親戚」「近所」に分類できる

(3) 【金】はさらに、「日々」「資産」「保険」に分類できる


添付の表に、具体的な内容を書き込んでいる。そして、それらの多くは、社会参加に直接役立つ。だから、家事を担ってきた女性は、社会参加のための技をたくさん持っている(例えば、料理ができれば、子ども食堂を始めやすい)。

女性の強さの秘密の一つは、ここにあるのではないか。

2017年10月30日月曜日

(K0183) 生活(1) / トライアングル理論(10) <定年後>


「トライアングル・モデル」の4要素「仕事」「趣味」「生活」「社会参加」のうち、「趣味」「仕事」「社会参加」は既に取り上げた。今回は、最後の「生活」を取り上げる。

「生活」というコンセプトは、実は未だ十分確定していない。試行錯誤中につき、後々変わっていくかと思う。ご容赦ください。

 

「定年女子」から引用する。
 
===== 引用はじめ
  取材をしながら、「女の人は大丈夫だな」と感じるようになった。気持ちを切り替えて、新しいステージに立つことでできる、と。
 なぜなら、女性は現役時代から、仕事だけではなく、家事も、子育ても、食べ歩きやショッピングなど好きなことも手放さないで、調整しながら何とかやってきたからだ。仕事だけだった、という人が多い男性とはそこが違う。
===== 引用おわり
岸本裕紀子、「定年女子」、集英社文庫、P.5 – P.6

 
三つの部分に分ける

(1) 気持ちを切り替えて、新しいステージに立つことでできる
(2) 女性は現役時代から、仕事だけではなく、家事も、子育ても、
(3) 食べ歩きやショッピングなど好きなことも手放さないで、調整しながら何とかやってきたからだ。

 

ここで、「家事」という言葉が中心になりそうなので、調べた。

===== 引用はじめ
 日常的な生活が円滑に推移していくための基本的な用事(掃除・洗濯・炊事・買物)、及びそれをこなしていくことをいう。 … 多くの場合、主婦の仕事とみなされることが多い。
 伝統的な家事といわれるものは、料理、掃除、洗濯、買物であるが、家計や貯蓄、保険から、育児、高齢者のケア、家族メンバーの健康や栄養管理、庭や花壇の手入れから、親戚の冠婚葬祭のつきあい、資産運用、と多様化しつつあり、…
===== 引用おわり
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%B6%E4%BA%8B

 

大きく分けると、三つの塊からなる。

(1) 【作業】料理、掃除、洗濯、買物、庭や花壇の手入れ
(2) 【人】育児、高齢者のケア、家族メンバーの健康や栄養管理、親戚の冠婚葬祭のつきあい
(3) 【金】家計や貯蓄、保険、資産運用

 

「これらの家事」および「ここから派生する諸々」を合わせて、「生活」と呼ぶことにする。

 

  次回に続く

(K0182) 社会参加(2) / トライアングル理論(9) <定年後>


  前回からの続き


「社会参加」についての考察を続ける。

(1) 「社会参加」は、「仕事」をもたない場合の「外」への接点となり、自分の内にこもってしまうことを避けられる … 前回書いた
 

(2) 「社会参加」は「仕事」とともに、世界における私の存在理由となり、自己有用感を高める

「私はここにいてよい」「私が存在することに意味がある」という感覚はとても大切であり、それを支える大きな要素が「私は誰かの役に立っている」である。「社会参加」「仕事」は、それを与えてくれる。

専業主婦は「仕事」も「社会参加」をしていなくても、家族の役に立っている。しかし、狭い世界であり、取り換えが効かない。力が有り余ると子育てに力が入りすぎることもあるし、夫や子が十分感謝を表明してくれるとは限らない。そうではあっても、家族に縛られる。「社会参加」は選べるし、「社会参加」の対象を変更することもできる。「社会参加」は、未知の世界に参加するチャンスであり、世の中から自分を認めてもらえるチャンスでもある。

仕事をもたない主婦も「社会参加」し、第二のトライアングルを充実する意義は大きい。
仕事をしていた人は、定年を機に「社会参加」のウエイトを増やすことを勧めたい。
 

(3) 「社会参加」は「仕事」より自由度がある。

   お金から自由になり、内なる自然な欲求をより満たせるチャンスがある

働き盛りの「仕事」は、自分や家族を支えるお金を稼ぐ場であるために、必要な収入額を確保せねばならないし、ましてや失業により無収入になることを避けなければならない。特に日本では、最近だいぶ変わってきたが、転職することが不利になることが多い。正社員の座を一度手放すと、取り戻せないことも多い。いきおい、我慢してでも、「仕事」を続ける。

ラッセル『幸福論』によれば、
===== 引用はじめ  ( P.73 – P.74 )
自分が送りたい理想の人生があったとして、それと仕事がまったく一致していなければ、その人生は不幸なものになってしまいます。 … 逆に理想の人生と仕事が一致している人は幸せだということはよくわかると思います。自分の人生の目的と自分の仕事が一致している、その調和が幸せにつながるのです。
===== 引用おわり

特に、これまでの仕事が理想の人生と一致していないと感じている人にとっては、定年は、理想の人生と一致する「社会参加」に取り組むための、大きなチャンスになる。
 

   競争原理ではなく、協調原理で動ける

仕事には競争原理が働く。民間企業においては、外に向かっては、直接・間接を問わず、ライバル会社と競争する役割を期待される。内においては、競争を制して出世することが、より充実した大きな働きをするのに意味をもつ。

ラッセルの『幸福論』によれば、
===== 引用はじめ  P.24
二つ目の不幸の原因は競争です。皆、競争して勝つことが成功だと思っています。あるいは、競争してお金を手にすることが成功だと考えています。これらはいずれも、ある一点までは幸福をもたらしますが、その一点を超すと、不幸になるのです。なぜなら、成功は幸福の一つの要素でしかないからです。そのために他のすべての要素を犠牲にしてしまっては、決して幸福にはなれません。
===== 引用おわり

「社会参加」は「仕事」と違って、競争原理ではなく、協調原理で動ける。
 

   余力により、調整が容易である

ボランティア(「社会参加」)においても引き受けた時点で責任を負うが、引き受けるかどうかの自由度は大きい。定年後の「社会生活」においては、体力が落ちてくることがありえ、その時は「社会参加」を調整できる。主婦の場合は、子育てや介護などの家庭内負担の増減に応じて「社会参加」を調整できる。

「仕事」よりも調整代が大きい。

 

特に定年は「仕事」を一気に失うものであり、「社会参加」へのスムーズな移行が大切である。「社会参加」は「仕事」の代替物ではなく、より大きなチャンスをもたらすものである。そのチャンスを生かすために、「仕事」にはない「社会参加」の特質を生かすことが大切であり、このことは専業主婦が「社会参加」するときも同じである。

再掲すると、
「社会参加」は「仕事」より自由度がある。
   お金から自由になり、内なる自然な欲求をより満たせるチャンスがある
   競争原理ではなく、協調原理で動ける
   余力により、調整が容易である
 

出典
小川仁志(2017/11)、ラッセル『幸福論』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)

2017年10月29日日曜日

(K0181) 社会参加(1) / トライアングル理論(8) <定年後>


「トライアングル・モデル」の4要素「仕事」「趣味」「生活」「社会参加」のうち、「趣味」「仕事」は既に取り上げた(K0178)(K0179)。今回は、「社会参加」を取り上げる。
 

第一のトライアングルは、「仕事」「趣味」「生活」からなる三角形であり、この三角形をしっかり作り上げ維持することが大切だという考えで進めてきている。ここで三者の役割を確認する。
 

色々な「趣味」があるが、「私」が楽しまないと始まらない。「趣味」は、「私(I)」に関わる。

生まれてから独立するまでは、通常、家族(定位家族:その人が生まれ育った家の家族)と暮らす。やがて結婚すると新たな家族(生殖家族:その人が結婚して新たに作った家族)と暮らす。この場合、「生活」は、「私たち(We)」に関わる。

「仕事」はこれらの範囲を超えて、「彼ら(They)」に関わる。
 

第一のトライアングルは、見方を変えると、「私(I)」「私たち(We)」「彼ら(They)」からなる三角形である。

 

ラッセル『幸福論』では、次のように考えている

===== 引用はじめ  (P.20)

不幸の最大限の原因として「自己没頭」を掲げています。自分の内にこもってしまうということです。

===== 引用おわり

「内」「外」に分けると、「私(I)」「私たち(We)」が「内」に関わり、「彼ら(They)」が「外」に関わる。つまり、「外」に関わる唯一の窓として「仕事」が関わる。言い換えると、「仕事」を失うと「外」への窓口を失う。

 

しかしながら、そもそも「仕事」のない人たちがいる。大きな塊としてあるのが、

(1) 学生
(2) 専業主婦
(3) 引退した()職業人

の三つである。学生は、将来の準備として「勉強」をしており、それが「仕事」に当たる。通信教育は別にして、だいたいは学校に通っており、「外」と接している。

では、専業主婦、引退した職業人()にとって、「仕事」の位置づけに何が来るか。そこに来るのが「社会参加」である。

 

「仕事」「趣味」「生活」の第一のトライアングルに対して、「趣味」「生活」「社会参加」の第二のトライアングルは、このように位置付けられる。第二のトライアングルも、また、「私(I)」「私たち(We)」「彼ら(They)」からなる三角形である。
 

  次回に続く
 

出典
小川仁志(2017/11)、ラッセル『幸福論』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)




2017年10月28日土曜日

(K0180) 催し物情報(13) <催し物紹介>


前回の配信は、

(K0169) 催し物情報(12) <催し物紹介>
http://kagayakiken.blogspot.jp/2017/10/k016912.html

 

今回の配信は、


 ☆    私がナビゲーターを担当します

「定年後」/第73回「こころの定年/研究会(IN大阪)」、ナビゲーター:藤波進(輝き実現研究所 所長)

118()18:30~、会場:大阪産業創造館

参加費:1000円、主催:楠木新(『定年後』著者)

チラシ等URL
http://blog.livedoor.jp/kusunoki224/archives/2017-10-19.html

 


介護予防カフェ説明会、講師:神戸市保健福祉局高齢福祉部介護保険課

1130()14:00~、会場:三宮ビル南館

参加費:0円、主催:神戸市

チラシ等URL
http://www.city.kobe.lg.jp/life/support/carenet/kaigoyobou_panda/yobou_salon/img/H29.11cafe.pdf

【対象】地域住民

 


「伝わる」言葉のつくり方、講師:二階堂薫(コピーライター、兵庫県立大学非常勤講師)

122()10:00~、会場:六甲道勤労市民センター

参加費:500円、主催:いきがい活動ステーション(Tel:078-857-3022)




助けてと言えるために、講師:岡田知志(NPO法人抱樸 理事長)

119()14:00~、会場:こうべ市民福祉交流センター

参加費:0円、主催:市民福祉大学

チラシ等URL
https://www.with-kobe.or.jp/topics/%e3%80%90119%e9%96%8b%e5%82%ac%e3%80%91%e2%98%86%e7%84%a1%e6%96%99%e2%98%86%e5%b8%82%e6%b0%91%e7%a6%8f%e7%a5%89%e3%82%bb%e3%83%9f%e3%83%8a%e3%83%bc%e3%80%8c%e5%8a%a9%e3%81%91%e3%81%a6%e3%81%a8/

2017年10月27日金曜日

(K0179) 仕事 / トライアングル理論(7) <定年後>


「トライアングル・モデル」の4要素「仕事」「趣味」「生活」「社会参加」のうち、前回は「趣味」を取り上げた。今回は「仕事」を取り上げる。前回と同様、ラッセル『幸福論』を参照しながら整理していく。
 

ラッセルは仕事もまた幸福の源になるという。

(1) 仕事は退屈の予防になる

(2) 休日を楽しくするという効用もある

(3) 成功とチャンスと野心を実現する機会も提供してくれる

(4) 仕事自体をおもしろくすることによって幸福になるという方法もある。その要素は、「技術の行使」と「建設性」である

  「技術の行使」
もうこれ以上は上手になれないというところまで、その技術を行使することを楽しむ

  「建設性」
建設とは作り上げることである。一つの形を作り上げることは破壊より楽しい。つくるという作業には完璧な完成がないため、目的をずっと追い続けることができるという点も幸福につながる。どんな仕事にも「建設性」という要素がある。

 

幸福の必須の条件とは、人生の目的が首尾一貫していることであり、それを可能とするのが仕事だという。人生に一貫性を与えるものとして、仕事は幸福の獲得においてかなり重要な要素である。


また、ラッセルは、次のようなことも言っている。

===== 引用はじめ ( P.34 )
競争に勝つことが成功だと思い、他のことを犠牲にするのが不幸の原因でした。競争のために仕事中毒になっている男は、墓場だけがゴールのレースをしているようだ。
===== 引用おわり

===== 引用はじめ ( P.24 )
成功は幸福の一つの要素でしかない。そのために他のすべての要素を犠牲にしてしまっては、決して幸福にはなれません。
===== 引用おわり


「仕事」ばかりではだめで、「仕事」「趣味」「生活」のトライアングルをしっかり作ることが大切だ。仕事人間は、自分も家族も不幸にしてしまう。

 

以上は、ラッセル『幸福論』から。以下は、私の考え。
 

仕事は多くのものを与えてくれる

(1) チャンス

(2) 目指すべき目的、挑戦の喜び

(3) 収入

(4) 成功、地位、名誉

(5) 誇り、自尊心

(6) 自己実現、自己有用感

(7) 居場所

(8) 人間関係

(9) 挫折に伴う学び、自己成長

などなど

 
定年などで仕事を失うと、これらを一気に失う。
それで、おかしくならない方が、おかしい。


出典
小川仁志(2017/11)、ラッセル『幸福論』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)

2017年10月26日木曜日

(K0178) 趣味(2) / トライアングル理論(6) <定年後>


これまで、様々な「トライアングル・モデル」を示してきたが、要素が「仕事」「趣味」「生活」「社会参加」の四つであることは、共通である。
 

NHK-Eテレ「100de名著」の11月は、ラッセル『幸福論』である。その第2部のテーマは「幸福をもたらすもの」であり、「幸福になる具体的な方法」として、次の五つを挙げている。

(1)     バランスのとれた熱意
(2)     バランスのとれた愛情と家族
(3)     バランスのとれた仕事
(4)     私心のない興味 = 興味を持つ
(5)     努力とあきらめ
 

両者を比較すると、「仕事」「趣味」が共通している。

 

このシリーズでは、ラッセル『幸福論』を参照しながら(テキストは既に販売されている)、まず「趣味」「仕事」について整理していく。続いて、ラッセルを参考にしながら「社会参加」について整理し、最後にラッセルを離れて「生活」を整理する。

 

今回は、「趣味」を取り上げる。「趣味で幸福になれる」ということが非常に重要だとラッセルは論じている。ただ、幸福になれる趣味と、幸福になれない趣味とがある。

ラッセルは趣味のことを、「私心のない興味」「ある人の生活の主要な活動の範囲外にある興味」「より公平無私な興味」と表現している。

例えばある分野の専門家が、自分の仕事に関係のない分野の本を読むことは、私心のない興味である。自分の利益や損得に関係なく純粋に楽しめる。
 

私心のない興味を持つことは、次の三つの効用がある。

(1)     気晴らしになる
仕事で行き詰っても、いったん中断して趣味を楽しみ、また仕事に戻ったときには意外といい答えが出るかもしれない。やみくもに一つのことをし続けるのではなく集中力のバランスをとる。

(2)     釣り合いの感覚を保つ
自分の仕事にばかりかまけていると、見る世界はだんだん小さなものとなり、「世界の提供するこの壮大なスペクタル」を味わう機会を失ってしまう。趣味があると、そうした視野狭窄に陥らない

(3)     悲しみを癒す
例えば愛していた人が死んでしまったとき、人は悲しみに打ちひしがれる。そんなとき、何か自分の気持ちを向ける趣味があれば、心のバランスをとることができるだろう。

 

以上は、ラッセル『幸福論』から。以下は、私の考え。

(1) ラッセルは、趣味に「興味」という語を当てている。趣味は、外にあって、選んで持ってくるものではない。内から湧き出る興味に関わるものであると、私は解釈した。そのような趣味でないと、幸福をもたらしてくれない

(2) 仕事があっての趣味であり、生活があっての趣味である。趣味と仕事と生活がバランスのようトライアングルを形成することが大切であって、「趣味三昧」は、必ずしも幸福をもたらしてくれない

(3) 仕事を趣味にしてはいけない。生活を趣味にしてはいけない。そのような趣味は幸福をもたらしてくれない
 

「定年女子インタビュー」で、充実感をもって生きている女性たちの話を聞いてきた。彼女たちは豊かな「趣味」を楽しんでおり、かつ、「生活」も「仕事」(あるいは「社会参加」)もバランスをもって、しっかりと大切にしている。
 

出典
小川仁志(2017/11)、ラッセル『幸福論』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)

2017年10月25日水曜日

(K0177) 「定年後トライアングル・モデル」 / トライアングル理論(5) <定年後>


前回前々回(K0175)、「立体トライアングル・モデル(総合)」を示した。「定年後」になると「仕事」がなくなるから、立体的な三角錐でなくなり、平面的な「趣味」「生活」「社会参加」三角形になり、「お金」「健康」基盤の上にのる(「定年後トライアングル・モデル」)。
 

「定年女子インタビュー」として、「55 歳以上の女性で、『私は今、充実した人生を送っている』と思っている(充実感がある)」20人の方にお話をうかがってきた。そこで共通して感じるのは、「定年後トライアングル・モデル」が実にしっかりできているという印象である。

 先ず、基盤となる「お金」「健康」であるが、(家計調査も健康診断もしていないが、)安定していると見受けた。これは状況証拠からわかる。彼女たちの多くは、ボランティア活動に関与している。そもそもボランティア活動をするには、「お金」「健康」「時間」が必要だと言われている。「無料ボランティア」という言葉があるが、時間を無料で提供するだけでは済まない。交通費が自腹であるケースが多いし、細々した出費がある。ボランティア内でのお付き合いもあるし、ボランティア間のお付き合いもある。研修費や自らのレベルアップのための投資も必要である。裕福ではないかも知れないし、節約生活をしているかも知れないが、それでも継続してボランティア活動できるだけの、経済基盤はあるとみてよいだろう。そして、健康でないとボランティアは続けられない。

 

「お金」「健康」基盤は、必要条件であるが、十分条件ではない。「仕事」を終えた男性が、家の中にとどまり、「趣味」「生活」「社会参加」がないと、すぐだめになってしまう。「お金」「健康」があっても、それだけでは幸せな「定年後」を築けない。


そして、「趣味」「社会参加」は、向こうからやってこない。「仕事」は、こちらが嫌だと言っても、向こうから押し付けられる。「趣味」「社会参加」は、向こうから誘いにやってくることもあるが、2度・3度と断っているうちにこなくなる。「生活」も自ら引き受けるものだ。


つまり、「趣味」「生活」「社会参加」は、こちらか呼び込みに行かないとなかなか巡り合えず、巡り合えないと「趣味」「生活」「社会参加」のトライアングルは形成されず、空しい人生になっていく。私は、そのように考えている。

(K0176)  個人Blog 10月中旬リスト <サイト紹介>


● 個人Blog 10月中旬リスト

(1023) 「言い訳」、「正しいことを言う」

(1024) 本書の構成 / 「ソーシャルシティ」(1-2) (放送大学)

(1025)  超高齢社会に思う / 「人口減少社会の構想」(2-1)(放送大学)

(1026) 超高齢・多死社会の到来 / 「人口減少社会の構想」(2-2)(放送大学)

(1027) 婚姻 - 家族をつくる / 「家族と高齢社会の法」(2) (放送大学)

(1028) 性格の違う夫婦

(1029)  素人予想 ~ 衆議院選挙での議席数

(1030) 「ホスピス・ボランティア養成研修」修了

(1031) まちの評価 / 「ソーシャルシティ」(2) (放送大学)

(1032)  人口減少社会の家族変動 / 「人口減少社会の構想」(3)(放送大学)

2017年10月24日火曜日

(K0175) 立体トライアングル・モデル / トライアングル理論(4) <定年後>


「動的トライアングル・モデル」を(K0172)で提唱した。現役時代の「第一のトライアングル」から、定年を境として「第二のトライアングル」に移る。その過渡期として二つのトライアングルが結合した状態を想定した。今回は「結合トライアングル」として添付図に示す。



定年を境として、四つの要素のうち「趣味」「生活」は継続され、「仕事」が「社会参加」に変わる。仕事を辞めて一市民としてボランティア活動をするなら、「仕事」から「社会参加」に移ったという説明が分かりやすいが、例えば、NPO法人で理事として「仕事」をし始めたら、それは「仕事」なのか「社会参加」なのか分かりづらい。NPO法人は利潤を目的とせず、無給かもしれないが、それを除けば、あまりあまり変わらない。だから「仕事」に分類するのがよさそうだが、一方、NPO法人の一会員なら「社会参加」の方がよさそうで、区分けがはっきりしない。つまり、「仕事」と「社会参加」は対極にあるのではなく、連続的につながっている。

先に示した「結合トライアングル」では、「仕事」と「社会参加」は対極に位置している。この二つを線で結んで手繰り寄せると、三角錐になる。それを「立体トライアングル・モデル」として添付図で示す。
 

仕事をしている人は先ず「仕事」「趣味」「生活」の第一のトライアングルを形成し、定年を境にして「趣味」「生活」「社会参加」の第二のトライアングルに移る。その過渡期に三角錐になることもある。専業主婦には「仕事」はないので、最初から「趣味」「生活」「社会参加」の第二のトライアングル目指す。
 


ところで、高齢者の生き方を考えると、「お金」「健康」も無視できない。これらは、すべての基盤になる。それなら、これらの基盤の上に「立体トライアングル」があるというイメージが妥当で、それを、添付「立体トライアングル・モデル(総合)」に示す。



(K0174) 生活 / トライアングル理論(3) <定年後>


「トライアングル理論」の「動的・トライアングル・モデル」では、その要素として「仕事」「趣味」「生活」「社会参加」を取り上げた(K0172)。前回(K0173)「趣味」について書いた。今回は、「生活」について書く。


「定年後、女性は大丈夫」と言われているようだが、何故か。私は、「生活」の違いではないかと考えた。「生活してきた人」には、「生活力」があり、基盤があり、居場所がある。だから、大丈夫だ。そして、「生活」できている女性が多い。

では、「生活」とは何か。ここでは、「家事」「子育て」「親介護」「夫介護」から「生活」が構成されると考えた。「夫(妻)の世話」は「家事」に含むものとして取り上げていない。


「生活」とは別に「仕事」がある。従来「夫は外で働き、妻は内で家庭を守る」という考え方が主流であった。現在「定年女子」研究として進めているインタビュー(対象は、55歳以上の女性)でも、その傾向は確認できた。

おおざっぱに言うと、
  専業主婦は、「仕事」はせず、「生活」を支えてきた
  働く夫は、「生活」を妻にまかせ、「仕事」に専念した
  働く妻は、「仕事」と「生活」の両方を背負った。

なお、最近の傾向としては、夫が「生活」を担う割合は増えてきており、その分、妻の負担は減っている。

 
いずれにせよ、女性は「生活」を担ってきた。その経験・能力が高齢期になっても生かされるとともに、「居場所」を確保している。

一方、「生活力」が乏しい「男性」は、定年後生き抜く力が不足し、また仕事を居場所としてきたため、仕事をやめると居場所を失う人が多い。
 

なお、独身で働いてきた女性は、「働く妻」ほどには「生活」の負担が無く、その面においては、「働く夫」に近い。既婚の定年女子とは、少し違うかも知れない。つまり、既婚定年女子を前提として考えた「定年後」を独身定年女子に当てはめようとすると、うまくいかないところが出てきてしまうのではないか。

一方、独身で働いてきた男性は、少なくとも自分の身の回りのことは自分でしてきたのだから「生活」をしてきたが、既婚男性も生活を全くしないわけではないので、こちらは定年男子と一緒に考えて、とくに齟齬はでないのではないか。
 

生活の中で介護が大きなウエイトを占めるが、働いてきた女性は施設に預け、専業主婦は自宅で世話をするケースが多いようで、一般的には、働いてきた女性と専業主婦とでは、介護の重みが違うようである。
 

「生活」は定年後に大きな影響を与えるため、注目する必要がある。

2017年10月22日日曜日

(K0173) 趣味 / トライアングル理論(2) <定年後>


「定年女子」研究としてインタビュー進めているが、趣味の話が多く出るし、充実した定年後の生活には趣味が大切だという話も多かった。しかも、多彩である。
 

趣味に「4大機能」があると思った。「心が動く」「体が動く」「頭が動く」および「人とつながる」である。女性の定年後の充実感は「人のつながりの多さ」と関係し、「人のつながりの多さ」は、「趣味の多さ」とも関係しているようである。趣味を介して、人とつながり、ネットワークを増やしている。

今回調査の対象外であるが、私の経験上、男性の趣味は少なく、乏しい。代表的なものとして、「勝負事」「スポーツ」「極める」「飲み会」を挙げた。「飲み会」を趣味とは言えないだろうが、「楽しみ」として趣味に近い位置付けだろう。

 
女性の趣味でよくあるパターンとして、「多面的」「バランスがとれている」「『人のつながり』重視」「楽しむ」をあげた。女性は実に楽しそうに、趣味について語る。多くの女性は「心が動く」趣味、「体が動く」趣味をもっている(「頭が動く」は比較的少なそうである)。

一方、男性の趣味のよくあるパーンとして「集中」「かたよる」「自分本位」「頑張る」を挙げた。男性だけをみていると趣味がそれほどクローズアップされないが、女性を見ていくと、女性の趣味の特性を通じて、男性の趣味の特性が見えてくる。
 

女性の「充実感」は、趣味と大いに関係しているようである。男性の趣味が女性化していくと、充実度が増すと思う。


2017年10月21日土曜日

(K0172) 動的トライアングル・モデル / トライアングル理論(1) <定年後>


特に、定年前から、定年後、そして死ぬまで、充実した人生を送るための「トライアングル理論」を作りつつある。「つくりつつある」ので、後日変更されていくものと思う。

これは、「定年女子」研究として進めているインタビューから得た知見を中心にまとめたものである。
 

A.現役時代。「第一のトライアングル」を確立する

B.過渡期。「第一のトライアングル」と「第二のトライアングル」を並立させる

C.定年後(専業主婦は最初からここを目指す)。「第二のトライアングル」を確立する

D.その後。「第二のトライアングル」を変容させる

 

(1) 「第一のトライアングル」は、「仕事」「趣味」「生活」からなる

(2) 「第二のトライアングル」は、「趣味」「生活」「社会参加」からなる

(3) 「第一のトライアングル」から「第二のトライアングル」へ移行するとき、「趣味」「生活」は継承され、「仕事」を「社会参加」に転換する

 

「会社」「社会参加」は、イメージしやすいと思う。

「趣味」「生活」については、後に説明する。