2020年8月31日月曜日

(K1219)  コロナ危機の中で楽観的に生きる法 / なぜ人の悪口を言う人は、死亡リスクがたかいのか(6・最終回) <長寿>



☆☆
人の気分は免疫力に大きく影響する。両親が要介護や、認知症適齢期の読者も多いと思うが、離れて暮らしているのであれば電話しよう。笑いを誘って楽観的な気持ちにさせてあげることが大切だ。笑えば免疫力があがる
☆☆

 さて、これまでの調査・研究を見ると、楽観的で明るい性格のほうが寿命も長く、認知症にもなりにくいという結果だと言えるが、それは、人の気分が免疫力に大きく影響しているからだ。人は、悲観的になると免疫力が下がってくる。免疫細胞の1つであるナチュラル・キラー(NK)細胞の活性が人の気分によって変わることによるもので、楽観的な気持ちになったり、リラックスしているとNK細胞の機能は増してくる。

 もう1つ心がけたいのが笑うこと。笑うとNK細胞の活性が上がるので、免疫力が強くなる。作り笑いでも上がるらしい。笑いは楽して免疫機能を高める方法だ。
 特に新型コロナの影響で、デイサービスなどへ通えなくなった高齢者が家に閉じこもることが増えている。そのため体力の衰えや刺激の減少で認知症になったり、要介護に進むケースも多くなるだろう。両親が要介護や、認知症適齢期の読者も多いと思うが、離れて暮らしているのであれば電話でもして、まずは話しかけてあげること。笑いを誘って楽観的な気持ちにさせてあげることが大切だ。

<出典>
なぜ人の悪口を言う人は、死亡リスクが高いのか

添付は、以下より。
「新型コロナウイルス対策 に対する1考察(私案です)」



(K1218)  「自分」という資産 / 人の価値(新現役編)(b2) <定年後>



☆☆
「終身雇用で定年後は悠々自適な生活」という考え方は当てはまらなくなってきている。そんな新しい時代に対応するには「特定の組織内だけで評価される能力ではなく、どこでも通用する真の実力をつけることが重要」
☆☆

 価値というものを二つの面で拡張する。一つは、組織全体を価値あるものにするのが、個人の価値であるという視点。もう一つは、今現時点の価値だけでなく、中・長期的な視点で利益を考えることができるという視点。

 「自分」という資産は、現役時代でも、新現役時代でも通用し、置かれる立場が変わっても、周辺状況が変わっても、一貫して使うことができる。―― 私の言葉に書き直すと、以上のようになります。

===== 引用はじめ
リーマン・ショックや今回のコロナ禍でも分かるように、不動産や金融資産は社会・経済情勢によって、その価値が暴落したり、なくなったりすることもある。だが、“自分”という資産は逃げたり、なくなったりはしない
===== 引用おわり

<出典>
真の実力つけ有意義な人生を 企業価値評価の専門家提言
【100歳時代プロジェクト】 産経新聞(2020/08/28)



2020年8月29日土曜日

(K1217) (万引き)店でみかけたから、家に持ち帰った(2) / 認知症の人の不可解な行動(32) <認知症>



☆☆
アルツハイマー型認知症や統合失調症などでも、お店の物を持って出てしまうことはあるが、認知症という診断や“繰り返す”という点から、認知症の一つである前頭側頭型認知症(ピック病)の可能性が考えられる
☆☆

(万引き)店でみかけたから、家に持ち帰った(2) ~ どうすればよいか
  周囲に事情を知らせる
 認知症の人の介護は家族だけでは抱えきれません。周囲に事情を知らせ、万引きをしたときの対応をいっしょに考えてもらいましょう。

<してはいけないこと>
 悪気のない本人を責めてはいけない。

<配慮するとよいこと>
  対応
 叱責しない
  対策
 心の張りをつくる
  対策
 店や警察に事情を伝えておく

<出典>
杉山孝博、「認知症の人の不可解な行動がわかる本」

添付図は、以下より
「万引き」繰り返す認知症の夫 お店とどう付き合えば…【お悩み相談室】



(K1216)  人の価値(新現役編)(b1) <定年後>


☆☆
「ボランティアなどの社会貢献も立派な価値創造だ」「自分が豊かな日本に暮らせるのも先人の努力や投資があってこそ」としたうえで、自分たちも社会をより豊かにして次世代に渡すのが務めだ。 ~ 野口真人氏
☆☆

 この投稿は、もう一つのブログ「個人ブログ」と対になっています。
 タイトルに「新現役編」と書いてあるが、現役を終わっても(仕事をリタイアしても)、引退はしていない(有償の仕事とは限らない)という意味です。

 「人の価値も、企業価値と同様の公式で評価できる」。野口氏は、企業価値を算出する公式に使う「利益を生み出す力」を使うことで、人の価値(金額)も算定できるという。

 新現役世代においては、「利益を生み出す力」の「利益」を「価値」に置き換えると分かりやすいという。

 具体的には「ボランティアなどの社会貢献も立派な価値創造だ」という。野口氏は「自分が豊かな日本に暮らせるのも先人の努力や投資があってこそ」としたうえで、自分たちも社会をより豊かにして次世代に渡すのが務めだという。

<出典>
真の実力つけ有意義な人生を 企業価値評価の専門家提言
【100歳時代プロジェクト】 産経新聞(2020/08/28)



2020年8月28日金曜日

(K1215) (万引き)店でみかけたから、家に持ち帰った(1) / 認知症の人の不可解な行動(31) <認知症>



☆☆
警察庁の統計によれば、万引きで検挙された人の約3割は65歳以上。なかには、認知症の症状として万引きをしてしまう人もいる。その行為を責められても、「自分がやったのか、なぜやったのか、よくわからない」
☆☆
平成26年度『平成25年の犯罪情勢』(警察庁)からの数値


(万引き)店でみかけたから、家に持ち帰った(1) ~ どういうことがよく起こるのか
  罪悪感を伴わない
 自分のしていることが「万引き」だと理解できなかったり、万引きが犯罪だとわかっていても自分のしたことと結びつかなかったりする場合があります。

<こんなケースも>
  顔なじみのお店でトラブルを起こす
  警察を呼ばれる、逮捕される
  真面目な人が突然行う
  何度もくり返す

<本人の気持ち>
 「万引きはいけないこと」
 「欲しかったから」
 万引きはいけない、という常識はありますが、目の前にほしいものがあったので、持ってきただけのこと。

<出典>
杉山孝博、「認知症の人の不可解な行動がわかる本」



2020年8月27日木曜日

(K1214) 緩和ケアと安楽死との関係 / 苦悩する人々に我々ができること(3) <ホスピス>



☆☆
その行為自体は、その人の本来的な命の長さを意図的に短縮する行為=「意図的に死を早める行為」なのである。安楽死は安楽死なのである。積極的や消極的に分類して論議する意義はあるのだろうか ~ どうだろうか
☆☆

 山崎氏は、「安楽死は安楽死なのである。積極的や消極的に分類して論議する意義はあるのだろうか」と疑問を呈しています。

===== 引用はじめ
 今回の嘱託殺人事件を、新聞やテレビなどのメディアによっては、安楽死(苦痛からの解放という大義名分のもとに意図的に死を早める行為)と関連づけ、さらにその安楽死を「積極的安楽死」や「消極的安楽死」などと分けて解説しているところもあった。
 だが、積極的であろうが、消極的であろうが、すなわち、その人に即座に死をもたらすのか、緩やかに死をもたらすのかの違いはあっても、その行為自体は、その人の本来的な命の長さを意図的に短縮する行為=「意図的に死を早める行為」なのであるから、それらが殺人事件として捜査されることは妥当なことだと思う。安楽死は安楽死なのである。積極的や消極的に分類して論議する意義はあるのだろうか。
===== 引用おわり

 これは、緩和ケアに携わる人として、当然なことであり、「死を意図的に(無理やり)延ばすこともしないが、意図的に早めることもしない」というのは、当然の前提だと思います。

 ただ、「緩和ケアに携わる人」から離れた時、どうなのでしょうか。私は、「積極的や消極的に分類して論議する意義」はあると考えます。私の個人的な意見としては、「消極的安楽死」のみならず、「積極的安楽死」も選択肢の一つとして入れるべきだと思います。ただ、安易に選んではいけない。「安易に選ばない」とは何かは、徹底的に検討する必要があるでしょう。

 ヨーロッパでは、「積極的安楽死」を法律で認めている国もあります。当然、「○○という条件が揃えば」という但し書きがついています。その但し書きがどうあるべきか。それだけではなく、法律の条文だけでよいのか。法律の条文は、法的に有罪か無罪かを明らかにしようとするものであって、個人の心や家族の心を斟酌するものではありません。

 いくら議論しても結論は出ない問題だけれど、だからといって、議論しなくていいというものではないし、現実論としては、暫定的な結論出し、修正し続けなければならないでしょう。ヨーロッパの安楽死の裏には、自殺を認めないというキリスト教の文化があり、日本とは違うので、ヨーロッパから学ぶべきことがあると同時に、安易に真似をしてよいというものでもないでしょう。

 緩和ケアを受ける人が、緩和ケアをする人の考え方に拘束されることも、よくないことのような気がします。

<先行投稿>
(K1211)  ホスピスや緩和ケアとは、全く無縁な殺人事件 / 苦悩する人々に我々ができること(1) <ホスピス>

(K1212) 生きる意味や希望を見いだすことが困難 / 苦悩する人々に我々ができること(2) <ホスピス

<出典>
苦悩する人々に我々ができること ケアタウン小平クリニック院長・山崎章郎
【正論】産経新聞(2020/08/24)
(会員記事。無料で登録できる)


添付は、


2020年8月26日水曜日

(K1213)  認知症になりやすい性格 / なぜ人の悪口を言う人は、死亡リスクがたかいのか(5) <長寿>



☆☆
わがままだったり、がんこだったり、自分の殻にこもるような人はそういった活動に参加する頻度が少ない傾向にあるので、要注意。生活様式や行動様式を変えることは、認知症のリスクを下げることに効果的だ
☆☆

 認知症になりやすい性格があることはこれまでにもいろいろ研究されている

1.   精神科医のノエとコルブ
 「老年痴呆になるような人は元来、融通の利かない、かたくなな人が多い」と指摘している。

2.   東京都老人総合研究所の柄澤昭秀副所長(当時)らが認知症になりやすい性格を研究
2.1.  特徴:認知症の老人165名とほぼ同年齢の健康老人376名を対象に、近親者に4050歳のころの性格はどうだったかを質問
2.1.1. 認知症の高齢者は、中年期に「無口でがんこ、非社交的」な人が多かった
 「がんこ」「社交的でない」「わがまま」「整とん好き」「臆病」「短気」「無口」
2.1.2. 健康老人は「中年期から明るく開放的で積極的」な人が多かった
 「明るい」「正義感が強い」「社交的」「行動的」「確認癖」

2.2.  何故、正確が認知症に関係するのか
2.2.1. 性格 → 行動パターン → 精神面、身体面、そして社会面での違い
 人々の行動パターンは性格によって異なる。それが精神面、身体面、そして社会面での違いを生む。その違いが、認知症の発生リスクに大きな影響をおよぼしていると考えられている。
2.2.2. 精神・身体・社会活動 →「予備能」を増やす → 認知症の予防
 これらの活動(精神・身体・社会活動の各相で活発に暮らす)が、脳をよく刺激して「予備能」を増やし、認知症を予防してくれるらしい。
 「予備能」は脳に病変が生じても、それに対抗して認知機能を保持する能力のこと。
 ウォーキングや運動でも社会活動でも、趣味でも読書でも人との交友でも、なんでもいいので活発に行動することが脳を刺激して、予備能を増やしてくれる。

3.   最近の研究でわかってきたこと
 地域活動とか社会活動に参加する頻度が少ない人ほど認知症になる確率が高い
 わがままだったり、がんこだったり、自分の殻にこもるような人はそういった活動に参加する頻度が少ない傾向にあるので、要注意。
 生活様式や行動様式を変えることは、認知症のリスクを下げることに効果的だ。

<出典>
なぜ人の悪口を言う人は、死亡リスクが高いのか



2020年8月24日月曜日

(K1212) 生きる意味や希望を見いだすことが困難 / 苦悩する人々に我々ができること(2) <ホスピス>



☆☆
生きる意味がないとか、早く死にたいと思わざるを得ない状況における自己認識。それでも、自己肯定できるような他者が出現すれば、その他者との関係性の中に新たな生きる意味や希望を見いだせるのではないだろうか
☆☆


 筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者嘱託殺人事件で、殺害された女性が死を選ぶまでの苦悩は、想像を絶するものだっただろう。

===== 引用はじめ
 今回亡くなられた患者さんのように、生きる意味や希望を見いだすことが困難な状況の中で、日々を過ごされている方々も少なくない、のだと思う。解決が難しい状況も多々あり、どう支援すればよいのか、これが正解と言い得るものもないのかもしれない。
 それでも、そのような人々が、その状況を生きることを肯定できるような適切な支援やケアのありようを探し求めることは、この同じ時を生きる我々に課せられた役割なのだと思う。
===== 引用おわり

 山崎氏は、「他者との関係性で、その時々の自己を認識している」ことに注目しました。「早く死にたいと思わざるを得ない状況における自己認識もまた、その状況における、他者との関係性に依拠している」。それならば、「他者との関係性の中に、新たな生きる意味や希望を見出せる」ことも出来るのではないか。その他者とは、「自己肯定できるような他者」だという。

 「我々の役割は、そのような人々の苦しい思いに耳を傾け、その人が直面している困難に対して、具体的な支援を行い、共にその時を歩みながら、その人が自ら、自分にとっての、真に拠(よ)り所となる他者を見いだすことができるように支援することなのではないのか」と山崎氏は思った。

<出典>
苦悩する人々に我々ができること ケアタウン小平クリニック院長・山崎章郎
【正論】産経新聞(2020/08/24)
(会員記事。無料で登録できる)



(K1211)  ホスピスや緩和ケアとは、全く無縁な殺人事件 / 苦悩する人々に我々ができること(1) <ホスピス>



☆☆
緩和ケアの目指すところは死に直面した大変な日々を生きる人々の心身の苦痛を可能な限り緩和し、その死の時まで、自分らしく、人間らしく生き切ることを、支援することである。嘱託殺人事件とは無縁である
☆☆

 過日痛ましい事件が起きた。ご自分の病状を嘆いていた筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者さんが、本人が望んだとはいえ、2人の医師によって命を奪われた事件だ。
 今回の被告の1人が、ホスピスや緩和ケアにも関係していたかのごとき報道があり、日本緩和医療学会や日本ホスピス緩和ケア協会など、ホスピス緩和ケアの関連団体は、そのホームページ上で被告が自団体とは無関係であることや、その行為は容認できないことを表明している。

 2団体などが取り組んでいる緩和ケアは、WHO(世界保健機関)の定義に基づいている。それは次の通りだ。
 「緩和ケアとは、生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者とその家族のQOLを、痛みやその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題を早期に見出し的確に評価を行い対応することで、苦痛を予防し和らげることを通して向上させるアプローチである」(2002年、QOL=クオリティー・オブ・ライフ、生活の質)

 その目指すところは、WHOの定義を共通の価値観とする多職種チームによって、死に直面した大変な日々を生きる人々の心身の苦痛を可能な限り緩和し、その死の時まで、自分らしく、人間らしく生き切ることを、支援することである。
 だから、死を意図的に(無理やり)延ばすこともしないが、意図的に早めることもしない。

 続く

<出典>
苦悩する人々に我々ができること ケアタウン小平クリニック院長・山崎章郎
【正論】産経新聞(2020/08/24)
(会員記事。無料で登録できる)



2020年8月22日土曜日

(K1210)  動きの衰え・その不安 <体の健康>



☆☆
以前に取り上げたことがある。全部当てはまる、が気になっていない。生活に困るほどには、ひどくないからだろう。例えば、座っているところから立ち上がるとき、以前は何も気にせず動いた。今は「立ち上がる」
☆☆

 この広告を見て、自分の現状を知った。今は、困っていない。でも、ある一線を超えると、一気に困るのだろう。


何でもないところで
つまずく。

立ち仕事を続けるのが
つらい。

つい、何かに
つかまってしまう。

下りの階段が
こわい。

齢とともに
歩きが遅くなる。

動く、その始めの
一歩がしんどい。

靴下を履くとき
よろける。

歩くとき
フラつきやすい。

立ち上がるのが
つらい。

<出典>
つらい、しんどい。動きの衰え・その不安
産経新聞(2020/08/18)

何のコマーシャルかというと、



(K1209)  個人Blog 8月中旬リスト <サイト紹介>



● 個人Blog 8月中旬リスト

(2058)  防衛方針に、周辺国の理解が必要?

(2059)  いま日本の政治家にはその『同胞愛』がありません

(2060)  ミヒャエル・テンデ『モモ』(3-1) / 100de名著

(2061)  日本を発信(15)  It’s Time for the U.S. to Re-Recognize Japan’s Sovereignty Over the Senkaku Islands

(2062)  ミヒャエル・テンデ『モモ』(3-2) / 100de名著

(2063)  コロナ禍で親が心掛けるべき「6カ条」WHOが公表

(2064) 「信条を目的ではなく武器として使う」 / スポーツ心理学(1)

(2065)  ミヒャエル・テンデ『モモ』(4-1) / 100de名著

(2066)  脳の仕組み /男と女の違い(16)


なお、前回の紹介は、
(K1202)  個人Blog 8月上旬リスト <サイト紹介>

2020年8月21日金曜日

(K1208) (排泄の混乱)トイレはどこ? どうしたらいい?(2) / 認知症の人の不可解な行動(30) <認知症>



☆☆
排泄の失敗は本人にとってショックが大きい。特にまだら症状で、自分の失敗がわかる人は落ち込み、汚れた衣類を隠したり、「私じゃない」と人のせいにする。排泄はプライドにかかわる問題。失敗は認めたくない
☆☆

   (起こったこと)トイレではないところで排泄した
   (対応)混乱の原因をみつけ、冷静に
 場所の見当障害が起こったり、トイレの使い方を忘れたりするため、先ず環境を整えてあげます。

<してはいけないこと>
 本人の目の前で失敗を嘆く
 排泄の失敗は、認知症の人でも恥ずかしいと感じるもの。その気持ちを汲みとる。

<配慮するとよいこと>
  失敗しても、どんと構える
 深く考えず、すぐに片付ける。片付けやすいように、壁紙を替えたり、防水シート
  排泄リズムをつくる
 食前、食後にトイレに誘導するなど、リズムをつくる。トイレの使い方は、真似してもらう
  使いやすく、みつけやすいトイレにする
 「便所」などとトイレのドアに張り紙をする。よく放尿してしまう場所には、鳥居マーク

<出典>
杉山孝博、「認知症の人の不可解な行動がわかる本」

添付図は、以下より
「教科書には載っていない排泄介助の2つの心得」



2020年8月20日木曜日

(K1207) (排泄の混乱)トイレはどこ? どうしたらいい?(1) / 認知症の人の不可解な行動(29) <認知症>



☆☆
排泄の問題が起きてくると、家族はがっくりきてしまう。しかし、本人はそれ以上に傷ついている場合もある。トイレといえば和式という過去の記憶の中で生きている認知症の人には、洋式トイレの使い方がわからない
☆☆

  トイレでないところで排泄した
 廊下や洗面所、部屋の隅などに用を足してしまうケースは、男性によく見られます。

<こんなケースも>
  トイレの使い方が汚い
  失禁を人のせいにする

<本人の気持ち>
 「トイレがどこかわからなくて」
 見当識障害のため、トイレの場所がわからず、困ってしまいました。必死で探して歩いたら、それらしい場所があり、「やっとトイレがみつかった」と一安心。そこで用を足したのです。

<出典>
杉山孝博、「認知症の人の不可解な行動がわかる本」



(K1206)  緑茶を飲めば、糖尿病・がん・認知症の予防になる <体の健康>



☆☆
緑茶を1日2~3杯以上飲む人は、1杯未満の人に比べて糖尿病発症リスクが約30%少ないことが分かった。さらに肥満者では約60%、“糖尿病予備軍”ともいわれる境界型糖尿病では約40%も低かった
☆☆

 二宮氏によると、対象者を平成19年から7年間、追跡調査した結果、緑茶を1日2~3杯以上飲む人は、1杯未満の人に比べて糖尿病発症リスクが約30%少ないことが分かった。さらに肥満者では約60%、“糖尿病予備軍”ともいわれる境界型糖尿病では約40%も低かった。

 これまでの同研究で、糖尿病患者のがん死亡率が健常者の約2倍になることや、糖尿病罹患(りかん)歴の長い人ほど認知症になりやすいことも分かっている。このため、二宮氏は「糖尿病予防は、がんや認知症予防にもつながる。緑茶のうま味を感じながら、バランスの良い食事をとることが大切」としている。

 緑茶のうま味、テアニンをより感じる飲み方としてお勧めなのが、水出し緑茶だ。日本茶業中央会の中島仁三(ひとみ)専務理事は「苦味や渋味が少なく、うま味の強いお茶になる」とする。ティーパックやフィルターインボトルなどに茶葉を入れ水を注ぎ、冷蔵庫で一晩置けばよく、急須も不要だ。

<出典>
暑い夏に水出し緑茶 糖尿病、認知症予防に効果
【100歳時代プロジェクト】 産経新聞(2020/08/20)




2020年8月19日水曜日

(K1205)  大切なのは結論ではなくプロセスだ / 「事前指示書」提示されて(4) <リビング・ウィル>



☆☆
事前指示書をきっかけにして、家族がとことん話し合うことができれば、結論が出なくても、双方に幸せをもたらすのではないか。事前指示書により、何の話し合いもなく死んでゆくのは、双方とも不幸ではないか
☆☆

 前回からの続き
(3)     本人が勝手に決めるのは、本人にとっても家族にとっても不幸せだ
 両親が示した事前指示書は「延命措置は拒否」という結論ではなく、最後までともに悩み、話し合い、支えてくれる周囲とともによりよい生き方を模索するプロセスを望んでいるのでないか-

 死にゆく人と、「最後までともに悩み、話し合い、支えてくれる周囲とともによりよい生き方を模索するプロセス」こそが大切なのではないか。
 延命処置をするか、どうかでは、互いに相手を思うやる気持ちがある時、立場が異なると異なった主張になることもある。
 結論に至らなくても、互いの気持ちを伝えあうことにより、死にゆく人は安心して死を迎えられ、残される人は心穏やかに見送れるのではないか。延命処置をしようがしまいが、それは、本当は、一番大切な事とは関係ないのではないか。

 わが家の家族会議では
(1)  調べた事柄を説明し、子としてはできる限りの医療を尽くして一日も長く元気で生きてほしいとの思いを両親に伝えた。
(2)  両親は自分の親が延命措置を受けたとき看護が大変だった経験から、同じ苦労をかけたくないのだと主張。
 結論としては、会議は平行線で終わったが、皆で話せたことは本当に良かったと思っている。
とのこと。


<出典>
【「風」読者から~ALS嘱託殺人(6)】「事前指示書」を提示されて(下)
産経新聞(2020/08/08)

添付図は、



(K1204) 「尊厳死」≠「延命処置の拒否」 / 「事前指示書」提示されて(3) <リビング・ウィル>


☆☆
「尊厳死」は「延命措置の拒否」は、乱暴な線引き。「延命措置の拒否」は、救える命も殺してしまうことがある。その時になると、気持ちは揺れ動く。本人が勝手に決めるのは、本人にとっても家族にとっても不幸せだ
☆☆

 「管に繋がれて生き続けるのは苦痛だろう」は、嘘ではないが、脅しにもなっている。一面のみを強調している。そう単純ではない。「リビング・ウィル」が流行っているようだが、私は、少なくとも当面、書くつもりはない。

 「尊厳死」は「延命措置の拒否」と単純化して議論されがちだが、乱暴な線引きだと思う。
(1)  「延命措置の拒否」は、救える命も殺してしまうことがある
(2)   その時になると、気持ちは揺れ動く
(3)   本人が勝手に決めるのは、本人にとっても家族にとっても不幸せだ


<展開>

(1)  「延命措置の拒否」は、救える命も殺してしまうことがある
 例えばたんの誤嚥(ごえん)で窒息、呼吸が停止し、吸引処置や一時的な人工呼吸器装着で回復する見込みがある場合。「人工呼吸器=延命措置」と単純に拒否してしまえば死に至る。
 危機を脱して、再び生を楽しむために、延命処置を受ける。狙い通りになることもあり、残念ながら「管に繋がれた余生」になることもある。延命処置の拒否によって後者のリスクを避けることができても、前者のチャンスを奪ってしまう。とんでもないことだ。
 コロナでも、重症患者に人工呼吸器が使われている。人工呼吸器で延命している間に、自己治癒力でコロナに打ち勝ち、無事に退院できている人も多いという。「延命処置」=「悪」は、間違っていると思う。

(2)   その時になると、気持ちは揺れ動く
 人の気持ちは揺れ動く。8年前に夫が50歳でALSと診断されたという愛知県の女性からのメールには、気管切開をするかどうかの選択を迫られた夫が「生きたい気持ちと生きたくない気持ちがシーソーのようにめまぐるしく入れ替わった」とあった。
 そのとき自分たちはどのような判断をするのかは、そのときにならなければ分からない。元気な時に死ぬ間際の事を決めてしまうのは、それこそ、将来における「生きようとする意志」(リビング・ウィル)を押しつぶしてしまうものだ。

(3)  -本人が勝手に決めるのは、本人にとっても家族にとっても不幸せだ
 後に書く。

<出典>
【「風」読者から~ALS嘱託殺人(6)】「事前指示書」を提示されて(下)
産経新聞(2020/08/08)

添付写真は、
https://www.swissinfo.ch/jpn/%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9_%E9%9C%80%E8%A6%81%E6%BF%80%E5%A2%97%E3%81%AE%E4%BA%BA%E5%B7%A5%E5%91%BC%E5%90%B8%E5%99%A8-%E5%A2%97%E7%94%A3%E3%81%AB%E5%A5%94%E8%B5%B0%E3%81%99%E3%82%8B%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%BC/45630444


2020年8月16日日曜日

(K1203)  生きがいのない人は長生きできない / なぜ人の悪口を言う人は、死亡リスクがたかいのか(4) <長寿>



☆☆
2次世界大戦中にナチスの強制収容所に送られ死と隣り合わせの3年間を生き抜いた精神科医のフランクルによると、生きる意味や人生の目的を自覚できた人たちこそが、過酷な収容所生活を生き延びられたのだという
☆☆

(1)  「あなたは『生きがい』や『はり』をもって生活していますか」という質問
(2)  「日常生活において大切だと思うものは何か」
(3)  「生きがい」と介護保険の認定状況
(4)   アカデミー賞候補のうち、実際に受賞した俳優と逃した俳優
(5)   日本語の「生きがい」という言葉は、フランクルの語る「生きる意味」と同じ意味

<展開>
(1)  「あなたは『生きがい』や『はり』をもって生活していますか」という質問
 生きがいが「ある」と答えた人を基準にすると、「どちらともいえない」と答えた人では死亡リスクが1.1倍、「ない」と答えた人では1.4倍に上がっていた。

(2)  「日常生活において大切だと思うものは何か」
 「健康」より「仕事」を選んだ人のほうが長生きしていることがわかった。「仕事」と答えた人たちの死亡率は11%である。一方、死亡率が最も高かったのは「名誉」と答えた人たちで、死亡率は28%。実に2倍以上の開きがあった。

(3)  「生きがい」と介護保険の認定状況
 「生きがい」があると答えた人は、ないと答えた人より介護保険の認定率が低い(約半分)という結果だった。生きがいがある人は、寿命が長くなるだけでなく、「健康寿命」も長くなると言えるのだ。

(4)   アカデミー賞候補のうち、実際に受賞した俳優と逃した俳優
 アカデミー賞を受賞した俳優のほうが長生きしているという調査結果もある。受賞して「幸せ」を感じ、さらにポジティブな感情をもつことで、その後の生存率(死亡率)は変わってしまうのだ。

(5)   日本語の「生きがい」という言葉は、フランクルの語る「生きる意味」と同じ意味
 人生を通じてなすべきことは何か、それにはどのような意味があるかを見出して、その達成に向けて取り組むことによって、心は癒やされていく。自分にとっての生きる意味、人生の目的がわかってくれば、それが生きる支えになるというのだ。

<出典>
なぜ人の悪口を言う人は、死亡リスクが高いのか



2020年8月14日金曜日

(K1202)  個人Blog 8月上旬リスト <サイト紹介>



● 個人Blog 8月上旬リスト

(2048)  ミヒャエル・テンデ『モモ』(1-2) / 100de名著

(2049) 「ワーケーション」

(2050)  朝の詩_(29)自分の手で・(30)時の流れ

(2051)  王・長嶋とプロ野球 - 戦後の日本プロ野球を変えたON / あの頃日本人は輝いていた(12)

(2052)  「多様性」に隠れた不公正 / ヨーロッパ移民政策の失敗(1)

(2053)  ミヒャエル・テンデ『モモ』(2-1) / 100de名著

(2054) 「今をどう楽しむか」って本当に大事なんだよね

(2055)  ミヒャエル・テンデ『モモ』(2-2) / 100de名著

(2056)  利点をはるかに凌駕する問題が多発している / ヨーロッパ移民政策の失敗(2)

(2057)  家事・育児 /男と女の違い(15)

なお、前回の紹介は、
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2020年8月13日木曜日

(K1201)  前近代人には、死は怖くなかったのか? <臨死期>



☆☆
「自然の一部として、あるいは親から子へと命をつないでいくプロセスの中の一部として、自分を認識する時」「自然と対峙し、個人として、自分の誕生から死までの自分を認識する時」この二つで死の恐怖が違うだろう
☆☆


 動物に(概念としての)死の恐怖がなく、人にはあるとするなら、人類は、どこかの時点で転換期があったはずです。

===== 引用はじめ
 モモは死が怖くない。これは彼女が近代人ではないことを意味します。近代人は死を恐れますが、前近代の人にとって死は怖いことではなく、あの世に帰っていくことであり、また戻ってくることを意味します。花もこれと同じで、枯れてもまた新たなつぼみが花となって咲き誇ります。つまり、モモが生きているのは再生する時間(源とつながった時間)なのです。だからこそ時間の源では、時間が花として描かれていると考えられます。
===== 引用おわり
河合俊雄、「Momo モモ ミヒャエル・エンデ」、100de名著

 どうなのでしょうか。ギリシャ神話や聖書や古事記にも死の恐怖が描かれていると思います。
 ここで著者が「近代」「前近代」に注目したのは、自然に対峙する個人の意識が芽生えたことに関係するということではないでしょうか。
  自然の一部として、あるいは親から子へと命をつないでいくプロセスの中の一部として、自分を認識する時
  自然と対峙し、個人として、自分の誕生から死までの自分を認識する時
 この二つの間では、死の恐怖の感じ方が随分違うだろうと思います。

添付は、
井村俊義、「忌避される死と近代的思考 一生と死を相対化するためのいくつかの視点」