2018年1月17日水曜日

(K0261)  相続分野の民法などの改正 <高齢期の家族経済>


===== 引用はじめ
 高齢化社会の進行を受けて政府が検討している相続分野の民法などの改正原案の全容が7日、判明した。
 政府は民法や家事事件手続法の改正案と遺言書の保管などに関する法案を22日召集の通常国会に提出する方針。成立すれば昭和55年以来の相続をめぐる法制度の抜本的な改正となる。
===== 引用おわり


分かりにくいけれど、大切なことなので整理しておく
 

A.残された配偶者が生活に窮しないように居住権を確保する

(1)  「短期居住権」や「長期居住権」の設定
(2)  住居は遺産分割取り分から除外
(3)  関連して、現行の配偶者の相続分「2分の1」を引き上げる見直しも検討されている
 

B.長男の妻(相続権がない)の介護に報いる

(1)  看護などに従事する人が相続人に対して金銭の請求が可能となる
(2)  どこまで請求の対象とするかは、さらに与党内で調整する
 

C.生前に自分で作成できる「自筆証書遺言」の改善

(1)  自筆証書遺言書の財産目録をパソコンで作成できる
(2)  自筆証書遺言書を法務局で保管してくれる

 

【もう少し詳しく】

A.残された配偶者が生活に窮しないように居住権を確保する

(1)  「短期居住権」や「長期居住権」の設定
 他の相続人の取り分の原資を捻出するために配偶者が居住地を売却して退去するような事態を避けるため、配偶者が遺産分割終了時まで住み続けることができる「短期居住権」の設定や、終身・一定期間住み続けられる「長期居住権」も設け、遺産分割時の選択肢の一つとする。

(2)  住居は遺産分割取り分から除外
 婚姻関係が20年以上の夫婦の場合、配偶者が生前贈与や遺言で与えられた住居は、遺産分割で取り分を計算する際の対象から除外することも盛り込む。

(3)  関連して、現行の配偶者の相続分「2分の1」を引き上げる見直しも検討されている
 

B.長男の妻(相続権がない)の介護に報いる

(1)  看護などに従事する人が相続人に対して金銭の請求が可能となる
 長男の妻が義父母の看護や介護をしたケースなどを想定している。

(2)  どこまで請求の対象とするかは、さらに与党内で調整する


C.生前に自分で作成できる「自筆証書遺言」の改善

(1)  自筆証書遺言書の財産目録をパソコンで作成できる
 遺言のうち、自筆証書遺言は偽装を防ぐため全文、日付を必ず本人が書き、署名・押印することなどが民法で定められている。財産の一覧を記した財産目録も自筆の必要があるが、今回の改正ではパソコンなどで作成した財産目録の添付も可能にする。

(2)  自筆証書遺言書を法務局で保管してくれる
 自筆証書遺言は自分で保管したり、弁護士や行政書士、金融機関の貸金庫などに保管したりするが、効力が発生する時点で所在が不明になるなどのトラブルも多く、公的機関である法務局で保管できれば利便性は高まる。
 

出典
「自筆の遺言書法務局で保管 民法など相続改正原案」、産経新聞(2018/01/08
自筆の遺言書保管制度創設 20年以上の婚姻関係で居住権 民法など相続改正案判明 40年ぶりの抜本改正
http://www.sankei.com/politics/news/180108/plt1801080006-n1.html
添付図は、このサイトから転載。


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