2018年1月18日木曜日

(K0262)  死に向かう心構えとは <臨死期>


釈撤宗は、二つに分けて考える

(1) 終活はあくまで死への準備活動であり、
(2) 決して人生や後世(死後の世界)を支えるものではない


終活とは、人生の最期を迎えるにあたって行うさまざまな準備のこと(1)。死後の遺族の負担を減らそうと、遺産分割や延命処置の希望の有無、葬儀に関する希望などを記すエンディングノートを残す人も多い。

終活の準備を始めることによって(1)、少しずつ死を引き受けることができるようになる(2)という効果もある。
 

ここでは、(2)に焦点を当てたいが、そうすると、「死を受け入れる」がキーワードになる。「そもそも、思い通りにならないのが死というもの。死を受け入れるには、思い通りにならないことを引き受ける心と体を養うことに尽きると思います」(釈撤宗)

そのために五つの提案をしている。

(a) 「お世話され上手」「お任せ上手」になる
(b)  こだわりをなくす
(c)  こだわりをなくすヒントは宗教にある
(d) 「型」を身に備える
(e) 『縁起の実践』をする

 

【展開】

(a) 「お世話され上手」「お任せ上手」になる
 「バブル以降、地域コミュニティーの崩壊が急速に進み、都市の論理が現代人の生き方の大きな指針になってきた」。人に迷惑をかけない限り、個人の自由を尊重するという考え方で、「昔よくみられた、迷惑をかけたり、かけられたりする場面がなくなった」。

(b)  こだわりをなくす
 「お世話され上手」「お任せ上手」な人の共通点は、「こだわりのないこと。場の雰囲気が良くなって、みんな笑顔になる」。しかし、「こだわりをなくすというのは、シニア世代の特に男性にとって簡単なことではない。どうしても現役時代の肩書や知識、物事の進め方に固執してしまうからだ」。

(c)  こだわりをなくすヒントは宗教にある
 「死後は何か大きな命に返っていくとか、この命は神様にあずかったものなので神様に返すとか、仏様に導かれて西方浄土に行って生まれ変わるとか、そういう大きな型のようなものが宗教にはあります」

(d) 「型」を身に備える
 「往生伝」は、理想的な臨終の型を集めた書物である。「穏やかな死を迎えた人たちの例がたくさんあって、それを読んでいると自分も穏やかにいけると思うことができる。型を持っていれば、死に立ち向かうことができると思います」

(e) 『縁起の実践』をする
 「いろんな人とかかわることでこだわりもなくなるし、お世話され上手にもなれると思います」。いろんなコミュニティーに所属する、さらには、「自分でそういうコミュニティーを作るくらいの気概で臨んではいかがでしょう」
 

出典
釈徹宗、「こだわりを捨てて お世話され上手に ~ 死に向かう心構えとは」、人生マスターズ、産経新聞(2018/01/10)
添付図は、ここから転載。

0 件のコメント:

コメントを投稿