2018年1月25日木曜日

(K0269)  生活援助ヘルパー <公助>


===== 引用はじめ
 要介護の高齢者宅に介護ヘルパーがやってきて、食事作りや掃除などをしてくれる介護保険の「生活援助」。これに携わる介護職について、厚生労働省は平成30年度から、今よりも短時間の研修で従事できるようにしたい考えだ。
===== 引用おわり
 

厚生労働省の狙い・構想

(1) 介護職が不足するなか、人材の裾野を広げて担い手を確保するのが狙い

(2) 短時間の研修制度を設けて、もっぱら生活援助に携わる介護職(仮称「生活援助ヘルパー」)を作りたい。(介護保険の訪問介護に携わるには、今は130時間の「介護職員初任者研修」を受ける必要がある)

(3) 講習には、認知症高齢者についての知識や、利用者のどんな変化に気付けば良いかなどを盛り込む方針

(4) 「生活援助ヘルパー」は、食事作りや掃除などをする介護保険の「生活援助」を担当する。(生活援助の仕事には現在、介護職の上級資格に当たる「介護福祉士」も従事している。介護福祉士には入浴介助やおむつ交換などの「身体介護」に軸足を移してもらい、役割分担による住み分けを狙う)

(5) こうした“住み分け”は、事業者が受け取る介護報酬にも影響を与えそうだ。生活援助の報酬がさらに引き下げられる可能性がある。(厚労省はこれまで、生活援助の報酬と、身体介護の報酬に差をつけてきた)。

 

 技術・技能を要する難しい仕事(a)と、誰にでもできる簡単な仕事(b)に仕分けし、技術・技能のある人には高給で(a)を担当してもらい、(b)は出来るだけ給料の低い人に担当してもらう。企業としては当たり前のことで、これをしないと普通の企業は倒産する。(元)企業人から見て、このような考えを受け入れない介護業界は不思議な世界だ。

 

===== 引用はじめ
 時間給が低かったら、人は集まらないと思う。重い人を率先して受けていこうという、気持ちの上でのまとまりも作りにくくなる
===== 引用おわり

 人が集まらなければ、厚生労働省も時間給を上げざるを得ないのではないか。時間給の低い「生活援助ヘルパー」は、食事作りや掃除などの「生活援助」をするのだから、「重い人」かどうかは、関係がないのではないか。「重い人」かどうかが影響するのは、「身体介護」をする「介護福祉士」であり、彼らの時給が下がるわけではない。これまでも「重い人」を受けていた。

 

===== 引用はじめ
 生活援助と身体介護の区分は、実はそう簡単ではない。例えば、単なる調理の代行は生活援助だが、利用者を手助けしながら一緒に食事を作る行為は身体介護。認知症の高齢者と冷蔵庫の整理をすることで生活経験を取り戻す行為も身体介護に分類される。厚労省はこうした区分についても、あわせて明確化する。
===== 引用おわり

 「そう簡単ではない」ようだが、でも、できているではないか。

 

===== 引用はじめ
 認知症の介護は、身体と生活を区別できない。一体的に提供されるもので、区分けには無理がある
===== 引用おわり

 身体と生活が区分できないものは、「身体介護」の人しかできず、お金は「身体介護」をベースに算定されるのではないか。それなら問題ないのではないか。

 

 「介護福祉士」と「生活援助ヘルパー」の二種類の職種を雇わねばならないのは、確かにやりにくい。仕事量が変動するので、何人ずつ採用するかは悩ましいところである。それに対しては、同業者と融通しあうシステムを作るなど工夫する。企業努力として当然すべきことを、しようとしていないのではないか。

 介護の仕事を直接したことがないので、難しさを理解できていないのかも知れないが、私から見ると、不思議な世界だ。介護の仕事をビジネスにしたところに、そもそもの無理があったのだろうか。

 一番の問題は、生活援助ヘルパーを確保できず、でも、生活援助を受注し、低い単価で介護福祉士がその仕事をせざるを得なくなる … だろうか。

 

出典
短時間研修で従事、現場は懸念、ゆうゆうLife/社会保障/産経新聞(2017/11/25

「生活援助ヘルパー」の訪問介護 現場から不安の声も
http://www.sankei.com/life/news/171123/lif1711230032-n1.html

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