2017年12月9日土曜日

(K0222) 「ロービジョン」からの学び <インクルーシブ社会>


 「ロービジョンサポートフェア」の講演会を聞いた。


 学ぶことが多かった。

(1) 「障害者」はいなくなる

(2) 「バリアアリー」 … あえてバリアを作る

(3) 「バリアフリー」 … 簡単には決められない

(4) 「死刑宣告をしない」 … 眼科医にお願いしたい

 

各論


(1) 「障害者」はいなくなる

=====
ひとりひとりの意識が変われば、
偏見や誤解はなくなる。

「視覚障害者」はいなくなる … 30年後

すべての「障害者」はいなくなる … 80年後
=====

 障害があること自身が原因で、「活動」や「社会参加」が実現しないのではなく、周囲の環境との関係に影響される
http://www.minoh-loop.net/icf.html

 視覚に障害があるから「視覚障害者」なのではない。視覚に障害があっても困らないような社会を作れば、そこにはもう「視覚障害者」はいない。
 


(2) 「バリアアリー」…あえてバリアを作る

===== 引用はじめ
 神戸アイセンター2階ロービジョンケアフロア「ビジョンパーク」では、さまざまな活動を通じて楽しみながら学び、考えることができます。また、あえて段差などのバリアを作り、それらのバリアにどう対処していくかということを自然に考え学ぶことができる空間でもあります。
===== 引用おわり

 「国内初、目の病気の研究、治療専門施設 12月1日、神戸に開業」
https://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/201711/0010766346.shtml

次のような事例もある。

===== 引用はじめ
 夢のみずうみ村には、段差、坂、階段等日常で遭遇する可能性のあるバリアを意図的に配置した「バリアアリー」施設です。どこにも手すりがあって、段差がない施設は、高齢者が自らがんばって、身体を回復させようとする意欲を奪ってしまうという考え方によるものです。
===== 引用おわり
http://www.yumenomizuumi.com/about/peculiarity-01.html

 
 
(3) 「バリアフリー」 … 簡単には決められない

 交差点での歩道と車道の段差は、視覚障害者にとっては歩道と車道との境を知るための貴重なヒントになるが、車椅子の人にとってはバリアになる。

 点字ブロックは、視覚障害者にとってはありがたいが、車椅子の人にとっては、バリアである。視覚障害者にとっても、車椅子の人にとっても、ベビーカーを使う人にとっても、杖を使う人にとっても、好ましい点字ブロックとはどのようなものだろうか。現在の突起の高さは、ずいぶん検討されて現在の5mmとなっているが、2mmがよいと主張する人もいる。

 何が「バリアフリー」かは、簡単に決められない。
 


(4) 「死刑宣告をしない」 … 眼科医にお願いしたい

 眼科の先生の「もう見えるようになりません」と言い方は、死刑宣告に等しい。見えなくても、知恵と工夫によってやっていける。そこで人生をあきらめるものではない。チャレンジしようという意欲がわくように、眼科の先生は言ってほしい。先生からの励ましの声は、友達からの励ましの声とは、全然違う。
 

出典

  堀内恭子(日本歩行訓練士会 事務局長)、『日本歩行訓練士会の視覚障害者の駅ホーム上の安全な移動に関する取り組みについて』

  山田千佳子(公益社団法人 NEXT VISION 事務局長)、『研究からの医療、そして福祉へつなぐ ~NEXT VISIONの挑戦~』

ともに、「ロービジョンサポートフェア」、葺合文化センター、主催:NPO法人神戸アイライト協会、2017/12/09

 
<御参考>

ロービジョン (low vision)
 視機能が弱く、矯正もできない状態。 それにより日常生活や就労などの場で不自由を強いられる、従来は弱視、または低視力と呼ばれた状態、またはその人のことである。 全盲ではない。「 見えにくい人」とも呼ばれる。
(Wikipedia)

 
「歩行訓練士」のしごとの内容:
 目の不自由な人が杖を使って安全に歩行できるよう、歩行訓練を指導するほか、点字やパソコンを使って他人とコミュニケーションをとったり、調理・掃除・食事な日常生活に必要な動作・技 能の指導を行ったりする専門職です。
http://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/fukushiworkguide/jobguidejobtype/jobguide_job55.html
 

点字ブロック:
 正式名称を「視覚障害者誘導用ブロック」といいます。視覚障害者が足裏の触感覚で認識できるよう、突起を表面につけたもので、視覚障害者を安全に誘導するために地面や床面に敷設されているブロック(プレート)のことです。
http://nichimou.org/impaired-vision/barrier-free/induction-block/

 

関連投稿
   (K0204)  声をかける勇気(視覚障害者など) <インクルーシブ社会>
   http://kagayakiken.blogspot.jp/2017/11/k0204.html


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