2017年12月19日火曜日

(K0232)  少子高齢化の縮図 <地域の再構築>


 日本では今後もますます少子高齢化が進行し、困ったことがいろいろ起こってくるだろう、ということはよく言われている。しかし、目の前になく想像するのはなかなか難しい。そこで「先行的」あるいは「縮図」を観察し、更には、そこで対応をしてみて良いものは他の場所でも展開する、というのは妥当なアプローチだと思う。
 

 「縮図」はどこにあるか

(1) 過疎地、限界集落:「過疎化などで人口の50%以上が65歳以上の高齢者になって冠婚葬祭など社会的共同生活の維持が困難になっている集落を指す、日本における概念」(Wikipedia)

まったく逆の
(2) 東京都。今後、猛烈な勢いに少子高齢化が進むと言われている
 (例えば、http://www.soumu.metro.tokyo.jp/05gyousei/jichiken/pdf/0405.pdf

そして、もう一つは
(3) ニュータウン

 
===== 引用はじめ
 ニュータウンの多くは少子高齢化という問題を抱えているが、これは日本の10年先の未来の縮図ともいえる。
 それだけに、ニュータウンにおける活性化の取り組みは全国的にも注目され、成功すればモデルケースにもなる。
===== 引用おわり
大阪市立大学院 森一彦教授(居住環境学)

 

 国土交通省の平成25年度の調査では、ニュータウンは全国で約2千カ所ある。
代表的なものをあげると、
 

(1) 「泉北ニュータウン」(大阪府の堺市南部~和泉市東部)昭和42年「まちびらき」

高齢化率:33.0%(H28)。入居者は「団塊の世代」が最も多く、高齢化率はさらに進行すると予想
人口:8,693(S44)164,587(H4)→若年層が転出→126,049(H28)

「まちの老朽化も進む。府営住宅など公的賃貸住宅は大半が築40年以上。間取りなどが高齢化した居住者のニーズに対応しておらず、空き家も増加している」

 

(2) 「明石舞子団地」(兵庫県明石市~神戸市垂水区)昭和39年に「まちびらき」

高齢化率:41.6%(H27)
人口:若年層の流出に伴う人口減少が著しい

「自治会の清掃活動など困難になっている地域もある」

 

(3) 「もみじ団地」(札幌市)昭和4347年に造成された

高齢化率:44.4%(H29)

「人口減少とともに地域のつながりも薄くなり、お年寄りが孤独死する可能性もあるので、地域の見守りなど活動が今後一層必要だ」

 

(4) 「千里ニュータウン」(大阪府豊中市~吹田市)昭和37年に入居を開始した

人口:昭和50年をピークに人口が減り続けていたが、平成22年以降は増加に転換
 89,337(H22)99,574(H28)

 

 対策としては、

 千里ニュータウン:公営団地などの公的賃貸住宅の建て替えが進んだことなどから若い世代の入居が増えた。最近では都心部へのアクセスの良さを見込んで、新たにマンションを建設する民間事業者もある。

 泉北ニュータウン:堺市などは公営住宅のリノベーションを行ったり、若者夫婦を対象に、月額最大2万円を家賃補助したりするなどの対策を実施している。

 

私の意見は、

 「若者を呼び寄せる」は必要条件だが、十分条件ではない。極端な高齢化率は避けたいが、高い高齢化率を前提として、それでも高齢者も若者も、その子どもたちも住みやすいまちにしていく努力が必要だろう。「若者を呼び寄せる」とは「近隣から若者を奪い取る」ことであり、日本全体としては解決にならない。

 

出典
「泉北ニュータウン まちびらき50年 / 日本再生 未来の縮図」
産経新聞(2017/12/14 夕刊)

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