「トライアングル・モデル」の4要素「仕事」「趣味」「生活」「社会参加」のうち、前回は「趣味」を取り上げた。今回は「仕事」を取り上げる。前回と同様、ラッセル『幸福論』を参照しながら整理していく。
ラッセルは仕事もまた幸福の源になるという。
(1) 仕事は退屈の予防になる
(2) 休日を楽しくするという効用もある
(3) 成功とチャンスと野心を実現する機会も提供してくれる
(4) 仕事自体をおもしろくすることによって幸福になるという方法もある。その要素は、「技術の行使」と「建設性」である
① 「技術の行使」
もうこれ以上は上手になれないというところまで、その技術を行使することを楽しむ
② 「建設性」
建設とは作り上げることである。一つの形を作り上げることは破壊より楽しい。つくるという作業には完璧な完成がないため、目的をずっと追い続けることができるという点も幸福につながる。どんな仕事にも「建設性」という要素がある。
幸福の必須の条件とは、人生の目的が首尾一貫していることであり、それを可能とするのが仕事だという。人生に一貫性を与えるものとして、仕事は幸福の獲得においてかなり重要な要素である。
また、ラッセルは、次のようなことも言っている。
===== 引用はじめ ( P.34 )
競争に勝つことが成功だと思い、他のことを犠牲にするのが不幸の原因でした。競争のために仕事中毒になっている男は、墓場だけがゴールのレースをしているようだ。===== 引用おわり
===== 引用はじめ ( P.24 )
成功は幸福の一つの要素でしかない。そのために他のすべての要素を犠牲にしてしまっては、決して幸福にはなれません。===== 引用おわり
「仕事」ばかりではだめで、「仕事」「趣味」「生活」のトライアングルをしっかり作ることが大切だ。仕事人間は、自分も家族も不幸にしてしまう。
以上は、ラッセル『幸福論』から。以下は、私の考え。
仕事は多くのものを与えてくれる
(1) チャンス
(2) 目指すべき目的、挑戦の喜び
(3) 収入
(4) 成功、地位、名誉
(5) 誇り、自尊心
(6) 自己実現、自己有用感
(7) 居場所
(8) 人間関係
(9) 挫折に伴う学び、自己成長
などなど
それで、おかしくならない方が、おかしい。
出典
小川仁志(2017/11)、ラッセル『幸福論』、100分de名著、NHKテキスト(NHK出版)
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