2017年10月29日日曜日

(K0181) 社会参加(1) / トライアングル理論(8) <定年後>


「トライアングル・モデル」の4要素「仕事」「趣味」「生活」「社会参加」のうち、「趣味」「仕事」は既に取り上げた(K0178)(K0179)。今回は、「社会参加」を取り上げる。
 

第一のトライアングルは、「仕事」「趣味」「生活」からなる三角形であり、この三角形をしっかり作り上げ維持することが大切だという考えで進めてきている。ここで三者の役割を確認する。
 

色々な「趣味」があるが、「私」が楽しまないと始まらない。「趣味」は、「私(I)」に関わる。

生まれてから独立するまでは、通常、家族(定位家族:その人が生まれ育った家の家族)と暮らす。やがて結婚すると新たな家族(生殖家族:その人が結婚して新たに作った家族)と暮らす。この場合、「生活」は、「私たち(We)」に関わる。

「仕事」はこれらの範囲を超えて、「彼ら(They)」に関わる。
 

第一のトライアングルは、見方を変えると、「私(I)」「私たち(We)」「彼ら(They)」からなる三角形である。

 

ラッセル『幸福論』では、次のように考えている

===== 引用はじめ  (P.20)

不幸の最大限の原因として「自己没頭」を掲げています。自分の内にこもってしまうということです。

===== 引用おわり

「内」「外」に分けると、「私(I)」「私たち(We)」が「内」に関わり、「彼ら(They)」が「外」に関わる。つまり、「外」に関わる唯一の窓として「仕事」が関わる。言い換えると、「仕事」を失うと「外」への窓口を失う。

 

しかしながら、そもそも「仕事」のない人たちがいる。大きな塊としてあるのが、

(1) 学生
(2) 専業主婦
(3) 引退した()職業人

の三つである。学生は、将来の準備として「勉強」をしており、それが「仕事」に当たる。通信教育は別にして、だいたいは学校に通っており、「外」と接している。

では、専業主婦、引退した職業人()にとって、「仕事」の位置づけに何が来るか。そこに来るのが「社会参加」である。

 

「仕事」「趣味」「生活」の第一のトライアングルに対して、「趣味」「生活」「社会参加」の第二のトライアングルは、このように位置付けられる。第二のトライアングルも、また、「私(I)」「私たち(We)」「彼ら(They)」からなる三角形である。
 

  次回に続く
 

出典
小川仁志(2017/11)、ラッセル『幸福論』、100de名著、NHKテキスト(NHK出版)




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