【 読書 ・ 老人力 】いまは人間が大自然の暴力をかなりの部分制御している。日本中の川という川はコンクリートで固められて…。それで額面上は楽になったというけど、人間は努力のほかに反努力というものを考えなければいけなくなった。
大自然の暴力は、部分的に制御できているだけである。大地震、大津波、大雨などに見舞われると、なすことなく翻弄されてしまう。
それでも、国が「…という対策もしました」と言うと、それを聞いで、日ごろは終わらせてしまう。それで、いざというとき、あわてふためく。
自力では制御できないものがある、ということを忘れてしまっている。
===== 引用はじめ
… 本当は「他」にまかせないといけないことがあるんだけど、それは逆にこの世の中の自由主義が許さない、というので世の中はどんどん自由の主義によって硬直していく。
…
… この世の中には台風や地震がいやおうなく襲ってきて、そこで自分本位の考えが打ち砕かれる。反努力というまでもなく、反努力の実質を暴れる大自然が与えてくれていた。
いまは人間が大自然の暴力をかなりの部分制御している。日本中の川という川はコンクリートで固められて、日本中の便所という便所は水洗便器で塞がれた。それで額面上は楽になったというけど、人間は努力のほかに反努力というものを考えなければいけなくなった。
つまり他力を待つだけでなく、自分で自分を他力的世界に誘導していかないといけない。
===== 引用おわり
前回は、
(K1655) 自由の主義によって硬直していく / 「 老人力 」(29)
http://kagayakiken.blogspot.com/2021/11/K1655.html
<出典>
赤瀬川原平、「老人力」、筑摩書房、P.145
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