===== 本からの引用はじめ (P.55)
奈美にはダウン症がどういうものなのかを、ちゃんと伝えていませんでした。いつ話すべきかわからないまま、時が過ぎてしまっていたのです。
「良太は病気なの? 本当にかわいそうなの?」
私は奈美の質問に答える代わりに、一冊の絵本を渡しました。
それは『わたしたちのトビアス』という、スウェーデンに住むダウン症の弟を紹介するために兄姉が描いた絵本でした。
絵本を読み終わった奈美は、目尻に涙を溜めて言いました。
「ママ、良太は病気じゃないし、かわいそうじゃないんだね。他の人たちとはちょっと違うけれど、みんなで一緒に過ごすことができるんだね。良太は良太だもん」
===== 引用おわり
「ダウン症の良太」を見るのではなく、「良太その人」を見る。
書けばこうなるが、難しい。
四角と丸があって、四角を四角と認識できるのは、丸があるからである。
そこに比較が生まれるが、比較が母を苦しめた。
===== 本からの引用はじめ (P.55 , P44)
入院は産後一週間を予定していましたが、私の強い希望により四日で切り上げることになりました。
他のお母さんたちといやでも比べてしまうこの場所から、一刻も早く逃げたかったのです。
…
病院で他の赤ちゃんたちと比べていたらつらい記憶がフラッシュバックして、心が勝手に拒否反応を示してしまったのかもしれません。
とにかく私は、比べる、ということが大嫌いになっていました。
===== 引用おわり
そして、比較から抜け出して、楽になった。
===== 本からの引用はじめ (P.58)
もう私は、他の子どもたちと良太と比べて、悲しむようなことはありませんでした。
波乱万丈だった良太の子育て。気がつけば私も良太に育てられたのです。
===== 引用おわり
比較が、縦の視点に囚われていると、優劣が出てきて、苦しい。
横の視点になると個性として見えてくる。
意識しないと縦の視点になってしまう。
意識して横の視点にすることは可能だ。
感想文が以下に紹介されている。ご参考まで。
「読書メーター」 / 『わたしたちのトビアス』
(前出)
引用:岸田ひろ実、「ママ、死にたいなら 死んでいいよ」~娘のひと言から私の新しい人生が始まった~、致知出版(2017)
案内:2017/6/8
<岸田ひろ実さんを囲む会>19:00開演、隆祥館書店(大阪中央区)
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