長いので、今回のまとめを先に書き、その後、順を追って説明する。
①
最警戒すべきは、脳血管疾患（脳卒中）である。死亡原因として高いし、死を免れても要介状態になる可能性が高い。介護度が重篤化するほど脳血管疾患（脳卒中）の割合が増える
②
悪性新生物（がん等）は、死亡原因として特に高いが、要支援／要介護原因としては第４位以下である。認知症は、要支援／要介護原因として特に高いが、死亡原因としては第６位以下である
③
心疾患、肺炎は、死亡原因としては高いが、要支援／要介護原因としては第４位以下である。
④
関節疾患、骨折・転倒は、要支援原因として特に高いが、死亡原因としては第６位以下である
⑤
不慮の事故は、60～84歳で死亡原因の第５位だが、その後は第６位以下になる。老衰は、60～84歳では死亡原因の第６位以下だが、85～89歳で死亡原因の第５位になり、その後上昇して、95歳以上では第1位になる。（非介護からでも、）要支援からでも、要介護からでも、老衰が死亡原因になる割合は高い
◆ 順を追った説明
【データ１】
「寝たきり原因」については、「介護が必要となった主な原因」を指標とすると、しっかりしたデータが得られ、かつ「死因」と整合性をとりやすい。
「平成25 年
国民生活基礎調査の概況」（厚生労働省）
「表21 要介護度別にみた介護が必要となった主な原因（上位３位）」
要支援２区分と要介護５区分のデータが示されている。上位３位
【データ２】
「死因」については、
「平成25年人口動態統計月報年計（概数）の概況」（厚生労働省）
「第7表 死因順位（1～5位）別死亡数・死亡率（人口10万対）,性・年齢（5歳階級）別」
「総数」「男」「女」の３種類の内、「総数」のみに着目。
年齢（５歳階級）別。60歳以上の９階層のみに着目。上位５位
【考察１】
「介護が必要となった主な原因」としては、「脳血管疾患(脳卒中)」「認知症」「高齢による衰弱」「関節疾患」「骨折・転倒」が挙がっている。
「死因」としては、「悪性新生物」「心疾患」「肺炎」「脳血管疾患」「肺炎」「老衰」「不慮の事故」が挙がっている。
「脳血管疾患(脳卒中)」と「脳血管疾患」は、「脳血管疾患(脳卒中)」に統一する
「高齢による衰弱」と「老衰」は、「老衰」に統一する
「悪性新生物」は、「悪性新生物（がん等）」とする。
※ 悪性新生物【あくせいしんせいぶつ】：悪性腫瘍のことです。細胞が何らかの原因で変異して増殖を続け、周囲の正常な組織を破壊する腫瘍です。がんや肉腫などがこれに入ります。（生活習慣病用語辞典）
また、「介護が必要となった主な原因」の代わりに「要支援要／介護原因」「要支援原因」「要介護原因」、「死因」の代わりに「死亡原因」という用語を使う。
【考察２】
両者を統合して整理すると、次のようになる。
2
悪性新生物（がん等） … 死亡原因第1位
3
認知症 … 要介護原因第2位
4
心疾患 … 死亡原因第2位
5
肺炎 … 死亡原因第3位
6
関節疾患 … 要支援原因第1位
7
骨折・転倒 … 要支援原因第3位
8
老衰 … 要支援原因第2位。要介護原因第3位。95歳以上で死亡原因第1位
9
不慮の事故 … 60～84歳で死亡原因第5位
1
脳血管疾患(脳卒中) … 要介護原因第1位。死亡原因第4位
① 全ての要介護(5)および要支援2で、原因の第1～3位を占める。
60歳以上の全ての階級(9)で、死亡原因の第3～5位を占める。
2
悪性新生物（がん等） … 死亡原因第1位
60-89歳の6段階で死亡原因の第1～5位、他の3段階で第3～5位を占める。
（要支援／要介護原因としては、第４位以下）
3
認知症 … 要介護原因第2位
全ての要介護(5)で、介護原因の第1～2位を占める。
（死亡原因としては、第6位以下）
4
心疾患 … 死亡原因第2位
60歳以上の全ての階級(9)で、死亡原因の第1～2位を占める。
（要支援／要介護原因としては、第４位以下）
5
肺炎 … 死亡原因第3位
60歳以上の全ての階級(9)で、死亡原因の第2～4位を占める。
（要支援／要介護原因としては、第４位以下）
6
関節疾患 … 要支援原因第1位
全ての要支援(2)で、原因の第1位を占める。
（死亡原因としては、第6位以下）
7
骨折・転倒 … 要支援原因第3位
全ての要支援(2)及び要介護4で、原因の第2～3位を占める。
（死亡原因としては、第6位以下）
8
老衰 … 要支援原因第2位。要介護原因第3位。95歳以上で死亡原因第1位
要介護のうち4段階及び要支援1で、原因の第2～3位を占める。
89歳以上の2階級で死亡原因の第1位、85～94歳の2階級で死亡原因の第4～5位を占める。
9
不慮の事故 … 60～84歳で死亡原因第5位
60～84の5階級で、死亡原因の第5位を占める。
（要支援／要介護原因としては、第４位以下）
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