二つの転換が大切だと思った。
好むと好まないに関わらず、我々は比較しながら見る。そうとしかしようがない。
一方、縦の視点か横の視点かは、コントロールできる。
縦の視点は優劣の価値判断を含み、横の視点は含まない。
放っておくと、縦の視点になる。何故か。
我々は社会生活をし、そこには秩序があり、指示・命令系統がある。それに適応しようとすると、縦の関係に敏感でなければならない。
また、我々は他者より劣ることを恐れ、他者より優れていたい。ここに縦の関係が入っている。
縦の視点になると、個性が見えなくなり、優劣になってしまう。
横の視点から個性として認めるのは、結構難しい。
大切な二つ目の視点の転換は、属性所属の転換である。
「奇麗な服を着ている彼女」であり、「奇麗な彼女」ではない。
「ダウン症の彼」ではなく、「彼にはダウン症の症状が出ている」のである。
「風邪ひきの彼」ではなく、「彼が風をひいている」も同じである。
違うのは、ずっとダウン症の症状は続くが、風邪の症状は当面である。
この違いは大きいように見えるが、本質的ではない。
===== 本からの引用はじめ (P.6)
■本書における「障害者」の表記について
株式会社ミライロでは「障害者」と表記しています。
「障がい者」と表記すると、視覚障害者が利用する一部の
スクリーンリーダー(コンピューターの画面読み上げソフトウエア)では
「さわりがいしゃ」と読み上げられてしまう場合もあるからです。
「障害」は人でなく、環境にあると私は考えています。
漢字の表記のみにとらわれず、社会における様々な「障害」を
一つでも多く解消することを目指します。
===== 引用おわり
「障害者」と表記するとその人が害であるように思われるので、「障がい者」あるいは「障碍者」と呼ぼうとなった経緯がある。これは、障害の所属が本人にあるという視点をベースにしている。
一方、障害の所属が環境にあるという視点をベースに置くと、環境を変えようということになる。環境を整えれば、たとえ体が不自由でも、困り方を減らすことができる。それは「障害」がその人の外にあるからである。
「縦の視点」、「障害は人にある」という視点をもつ人が多い。
他の人の視点を直接変えることはできない。
我々が注目すべきは、我々自身がどういう視点を持っているかである。
自らの視点を転換することにより、我々自身を変えることが出来る。
自らの視点を転換することにより、周りの人に変化を与えることが出来る。
我々が自らの視点を変えたとき、
自らが変わって生きやすくなったり、
周囲の人の視点も変わって環境がよくなったりする
可能性が生まれる。
高齢になると心身ともに機能が衰え「障害者」になる。「私は障害者でない」と思っている、思いたいかも知れないが、誰もがある意味で「障害者」であり、「障害者」になりえる。
「私は障害者でない」と思っている人においても、「障害」を真剣に考えることにより、自らの生き方を大きく変え、より豊かに生きることが可能になる。
引用:岸田ひろ実、「ママ、死にたいなら 死んでいいよ」~娘のひと言から私の新しい人生が始まった~、致知出版(2017)
案内:2017/6/8
<岸田ひろ実さんを囲む会>19:00開演、隆祥館書店(大阪中央区)
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