そもそも見守りとは何か。
辞書で引くと。
===== 引用はじめ
見守ること。気をつけて見ること。特に、子供や高齢者に対し、安全な状態にあるかどうかについて注意をはらうこと。「地域による高齢者の見守り活動」
===== 引用おわり
出典:デジタル大辞泉(小学館)
言葉の説明としては、それでよいと思う。「それが何か?」
考えなければいけないのは、「子供や高齢者に対し、安全な状態にあるかどうかについて注意をはらう」と、どんな良いことがあるのか、ということだろう。「子供や高齢者に対し、安全な状態にあるかどうかについて注意をはらう」がそれだけで終わってしまったのでは、何の価値もない。高齢者に絞って考えると三つの段階があると思う。
(1) とりあえず生きている(が、問題がある)
(2) 死にそうになっている
(3) 死んでしまっている
【展開】
(1) とりあえず生きている(が、問題がある)
民生委員が独居老人の家を訪ねた。
① 心配事で悩んでいるようなので、区役所の相談窓口に連絡し関わってもらった
② 衰弱して蒲団の上で動けなくなっていたので医者に診てもらった
③ 認知症が進んでいるようなので、地域包括センターに連絡し関わってもらった
意義のある見守りである
(2) 死にそうになっている
①
衰弱して蒲団の上で動けなくなっている。放置していたら死んでしまうだろう
②
転倒して骨折し、電話のところまでも移動できない。放置していたら死んでしまうだろう③ 脳溢血や心筋梗塞で倒れて助けを呼べない。放置していたら死んでしまうだろう
発見して命を救えるなら、意義のある見守りである
(3) 死んでしまっている
独居の女性が家の中で孤独死した場合、平均して3日で発見されるらしい。友達が「ここのところ顔を見ていないな」と訪問して発見する。
独居の男性が家の中で孤独死した場合、白骨で発見されることが多いらしい。心配して様子を見に来てくれるような友達がいないからだ。3日間というのは、腐るかどうかの境目らしい。腐る前に発見してもらえるなら、意義のある見守りである。
つまり、それぞれ意義があるのだが、その意義の内容が違う。
また様々な見守りがあるが、得意・不得意がある。
例えば、(K492)の「振動感知で高齢者見守り」(このシステム)の効用はどうか
(1) とりあえず生きている(が、問題がある)
この場合は、役にたたない
(2) 死にそうになっている
この場合は、役に立つことも、役に立たないこともある。命を助けられることも、手遅れになることもある。1日振動が無いと動き始めても、間に合わないこともある
(3) 死んでしまっている
この場合は、ちゃんと対応すれば、発見できる。役に立つ。ただ、定期的に見守ってくれる人がいるなら、このシステムは無用である。
「これがあれば、見守りは大丈夫」とは言えない。どんな見守りが必要かによって、なすべき対応が異なる。「振動感知で高齢者見守り」は、万能ではない。
いろいろな「見守り」があることに留意しなければならない。
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