(K0493)「認知症予防へ日常活動、社交性が大切 リスク因子研究」添付したまとめの表を再録し、あらためて読み解く。
A)
一回目
2016 年 7 月 5 日から2017 年 8 月 15 日までのデータで
・ 初回アンケート項目への回答・ 電話による 10 単語記憶検査(あたまの健康チェック)
の相関関係を整理したのが、添付した表の左側である。
調査結果から「認知症予防のために何をすべきか」を導き出すのは難しい。
・ 「年齢」「性別」
自ずと決まっており、変えられない。
・ 「教育年数」「10 年前と比べて予期される出来事に対して前もってスケジュールを調整する計画能力の変化」「糖尿病・がんの既往」
過去に起こったことを書いているのであって、これも今更変えられない。
・ 「毎日行っている活動;自分で風呂に入る、服を着ることの支障の程度」
現在の状態に関する記述である。でも、「自分で風呂に入る、服を着ることの支障の程度が認知症と関係あるみたいだから、支障がないようにしましょうね」と言ったところであまり意味がない。そんなこと言われなくても、支障がないほうが良いに決まっている。
相関関係と因果関係とは違う。
①
「自分で風呂に入ったり、服を着たりする」と認知症になりにくい
②
認知症になると、「自分で風呂に入ったり、服を着たり」できにくくなる
このふたつは、因果関係が逆である。どちらの因果関係があっても相関関係が生まれる。調査からは相関関係しかわからない。相関関係があるという事実だけからでは、①か②か(実際に存在するのはどちらの因果関係か)は、決められない。
つまり、「認知症にならないためにはどうすればよいか」という答えは、この調査からは出てこない。
B)
二回目
初回アンケート回答から半年経過後
・ 定期アンケート
・ 2 回目の 10 単語記憶検査
を調べた後、「初回 MPI スコアと半年経過後の 2 回目のMPI スコアの差に影響しているアンケート項目」を整理したのが、添付した表の右側である。
ある時点Aと一定期間後の(この調査では半年後の)時点Bでの違いを見ている。つまり、その期間に認知症が進んだ人をX群、進まなかった人をY群と分けた上で、時点Aでどうだったかを整理する。
例えば、A時点でみな認知症でなかったが、
A時点で運動習慣のなかった人の多くはB時点では認知症になっていた(X群)が、A時点で運動習慣のあった人の多くはB時点でも認知症になっていなかった(Y群)、
という調査結果が出たとする。
その場合、「A時点での運動習慣が、B時点での認知症進行状況に影響する」と言えるだろう。つま、相関関係だけではなく、因果関係までわかる。これが、期間をおいて2回調査することの効果である。さて、調査結果をあらためて見る。
===== 引用はじめ (箇条書き形式に書き改めた)
次に初回
MPI スコアと半年経過後の 2 回目のMPI スコアの差に影響しているアンケート項目は① 「年齢」
② 「6 か月前と比べて毎日の活動力や周囲への興味減少の程度」
③ 「外傷性脳損傷」,
④ 「聴力損失の既往」
⑤ 「痛みの有無」
⑥ 「人生が空っぽと感じるかどうか」
などが関連していることがわかりました
===== 引用おわり
ここでも「年齢」が出てくるが、「認知症にならないため年(年齢)をとらないようにしましょう」といわれても、できない。
「外傷性脳損傷」もいんかんともしがたい。好き好んでそうなる人はいない
「6 か月前と比べて毎日の活動力や周囲への興味減少の程度」は、期間の変化二つの相関だから、ここからは因果関係はわからない
「聴力損失の既往」は補聴器、「痛みの有無」は疼痛コントロールで改善する余地はあるだろう。
「人生が空っぽと感じるかどうか」。もちろん好き好んで虚無感を感じる人はいないだろうが、何らかの方法で改善できるかもしれない。
<出典>(採録)
常者対象オンラインレジストリ大規模データから~ https://www.amed.go.jp/news/release_20180604.html
下のURLで見えていたものと同じものを読めます。
※ 理由はよく分かりませんが、先に紹介したURLは読めなくなりました。
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