2020年8月24日月曜日

(K1211)  ホスピスや緩和ケアとは、全く無縁な殺人事件 / 苦悩する人々に我々ができること(1) <ホスピス>



☆☆
緩和ケアの目指すところは死に直面した大変な日々を生きる人々の心身の苦痛を可能な限り緩和し、その死の時まで、自分らしく、人間らしく生き切ることを、支援することである。嘱託殺人事件とは無縁である
☆☆

 過日痛ましい事件が起きた。ご自分の病状を嘆いていた筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者さんが、本人が望んだとはいえ、2人の医師によって命を奪われた事件だ。
 今回の被告の1人が、ホスピスや緩和ケアにも関係していたかのごとき報道があり、日本緩和医療学会や日本ホスピス緩和ケア協会など、ホスピス緩和ケアの関連団体は、そのホームページ上で被告が自団体とは無関係であることや、その行為は容認できないことを表明している。

 2団体などが取り組んでいる緩和ケアは、WHO(世界保健機関)の定義に基づいている。それは次の通りだ。
 「緩和ケアとは、生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者とその家族のQOLを、痛みやその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題を早期に見出し的確に評価を行い対応することで、苦痛を予防し和らげることを通して向上させるアプローチである」(2002年、QOL=クオリティー・オブ・ライフ、生活の質)

 その目指すところは、WHOの定義を共通の価値観とする多職種チームによって、死に直面した大変な日々を生きる人々の心身の苦痛を可能な限り緩和し、その死の時まで、自分らしく、人間らしく生き切ることを、支援することである。
 だから、死を意図的に(無理やり)延ばすこともしないが、意図的に早めることもしない。

 続く

<出典>
苦悩する人々に我々ができること ケアタウン小平クリニック院長・山崎章郎
【正論】産経新聞(2020/08/24)
(会員記事。無料で登録できる)



0 件のコメント:

コメントを投稿