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高齢な家族が急に具合が悪くなった時に、普段から関わっている家族は、状況や本人の希望にそった判断ができる場合が多いが、遠くに暮らす家族は、本人の希望や近くに住む家族の意に反した延命治療を望むことが多い
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「カリフォルニアから来た娘症候群」という言葉がある。患者の終末期になって遠方の親族が突然現れ、時間をかけて本人らが決めた方針に異を唱えたり、過度な延命治療を主張したりするケースのことで、国や地域を問わず散見されるという。(*1)
20年以上前、Decision making in the incompetent elderly: "The Daughter from
California syndrome".(Molloy DW, et al. J Am
Geriatr Soc. 1991)という米国の報告から由来するようだ。近年では、「ニューヨークから来た娘症候群」ともいうし、仙台では、「東京にいる息子症候群」ともいうらしい。
(*2)
さらには、「東京の息子シンドローム」。九州の医療者の間には、こんな“業界用語”がある。(*3)
興味深いのは、アメリカでは娘が来て、日本では息子が来る。何故か。
「延命治療」を親に強いるのは圧倒的に50代息子が多い、という。(*4)
本人が望まない延命を、どうして子は望んでしまうのだろうか。
傾向としては、お嫁さん任せで、なかなか介護にコミットしなかったご長男、あるいは遠方に住んでいて、施設任せできたような家族に、そういう治療を望むケースが多いですね。
それまで親と、きちんと向き合えていないから、いざその時が来た時に、子どもとしての覚悟が全くない。だから右往左往し、本人が決して望まないことを強制する。子どもとして、今まで向き合ってこなかった分これからなんとかしたいから、最善という名の下、望まない延命治療をさせてしまう、というのがよくあるストーリーです
しかしそれは、子にとっての最善であって、親にとっての最善ではない。
「遠方に住む家族症候群」の理由としては、
①
「本人にとっての幸せよりも、延命治療して長生きさせることで自分は最善を尽くしたという、やりきった感が得たい」
②
「離れて住むが故に支援はできなくても家族の責任は果たしたい想いが強い」
③
「病気を抱える高齢の親を家に放っている不肖の子供と周囲の人々に思われたくない。大きな病院に入院させてあげている孝行な子供と思われたい」
などがあげられている。(*5)
すべて、親ではなく、自分のためだ。
<出典>
(*1)
【「風」読者から~ALS嘱託殺人(5)】
「事前指示書」を提示されて(上)
産経新聞(2020/08/06)
(*2)
東京にいる息子症候群
(*3)
【ここで 在宅はいま】最期の希望 伝えてますか 救急搬送…現場で戸惑いも
添付写真は、ここから。
(*4)
「延命治療」を親に強いるのは圧倒的に50代息子が多い理由
(*5)
「人生会議」って何?
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