【 独り暮らし ・ 弁当 】ところが、写真を前に涙を流す人を見て、罪悪感がわき上がってきた。「なんてことしてしまったんだろう、と。僕がお客さんを『かわいそうな人』にしている…」。苦しくなり、配達の仕事を辞めては戻るを繰り返した。
23歳のとき、バイト情報誌で見つけた高齢者専門の弁当配達の仕事。川崎市内で足かけ10年、独居のお年寄りに昼夜、安否確認も兼ねて食事を届け続けた。
「初めて〝現場〟に足を踏み入れたときの衝撃がすごく大きくて…。おじいちゃん、おばあちゃんが縁側に並んでお茶をすする老後-そんな〝豊かな日本〟のイメージがガラガラと崩れた。一方で、他の人が見ていない景色を僕は見ている。何か伝えなきゃとぼんやり考えていました」「撮ってもいいですか」。勇気を振り絞って一枚撮影した瞬間、もう逃げられないと思ったという。
「福島君の写真って最初はしんどいけれど、じっと見てると『生』に転換するんだよね」。そんな友人の一言で、自分の中でスイッチが切り替わった。「自分はお年寄りに忍び寄る『死』を撮っていると思ってたけど、実はその『生』に毎日感動していたんだと気づいた」
<その他参考URL>
福島あつし、「ぼくは独り暮らしの老人の家に弁当を運ぶ」(青幻舎・3960円)
https://www.seigensha.com/books/978-4-86152-855-2/
<出典>
【タイトル】 「ぼくは独り暮らしの老人の家に弁当を運ぶ」 「生」の力強さ、伝えたい
【新聞】 産経新聞(2021/09/26)
【タイトル】 「生」の力強さ、伝えたい 福島あつしさん著「ぼくは独り暮らしの老人の家に弁当を運ぶ」
【URL】 https://www.sankei.com/article/20210925-4PHYHCMUSRI65NZI5GVOCGXPFE/
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