2019年6月14日金曜日

(K0775)  老人ホームの91歳孤独死(3) / サ高住と有料老人ホームの違い <見守り>


 Facebook及び個人ブログの(1632)で紹介した「(K0773)  老人ホームの91歳孤独死(2) / 施設側からみる <介護>」(組織ブログに掲載)に対し、Facebook友達のYukie Matumura さんからご指摘をいただきました。ありがとうございました。
 
===== 引用はじめ(箇条書き形式にした)
A)   サービス付きのサービスとは相談業務と安否確認です。相談はなければしなくて良いけど、安否確認は義務ではないのでしょうか?それだけの料金設定になっているとおもいます。
B)   安否確認の仕方が問題です。いちいち毎日元気ですか?と聞かなくても、外出した、部屋の電気が点灯している、新聞が取っているとか、いろいろのことで確認できます。
C)   やっぱり、施設側の怠慢だと私は思います。家族はそう思って安心していたのです。
===== 引用おわり
 


【各々に対する私の見解】
 
A)   サービス付きのサービスとは相談業務と安否確認です。相談はなければしなくて良いけど、安否確認は義務ではないのでしょうか?それだけの料金設定になっているとおもいます。
 
(1)  サ高住ではなく、有料老人ホームである

 近年急増しているのが「サービス付き高齢者向け住宅」(サ高住)で、ここでいう「サービス付き」は、まさにご指摘の通りです。しかし、事件があったパーマリィ・イン明石は、有料老人ホームです。

 「2種類の入居タイプ : 今すぐ介護を必要とされる方にも、ご健康な方にもご利用いただけるように、2種類の入居方式をご用意しております。要介護認定を受けておられる方は「介護型(終身利用型)」入居を、自分で身の回りのことができる要支援の方、及び自立の方は「普通型(介護付終身利用型)」入居をお選びいただけます。」(HP)
   パーマリィ・イン明石ホームページ(HP)
   http://palmaryinn.com/akasi/top.html

 亡くなられ方は、「普通型」でかつ、未だ「介護付き」に移行していません。この方に、安否確認サービスが提供されるべきなのか、というところをみていきます。
 
(2)  老人ホームが提供すると言っているサービス

 パーマリィ・イン明石が提供する「生活サービス」としては、HPでは「エントランス」「フロント」「ロビー」「レストラン」「大浴場」「応接室」が写真付きで紹介されています。「安否確認」をするとは書いていません。
 
(3)  サ高住ではなく、有料老人ホーム

「有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の違い」を閲覧しました。
https://kaigo.homes.co.jp/manual/facilities_comment/list/yuryo/hikaku_service/
 一部を転載します

 「一口に有料老人ホームと言っても「介護付き」「住宅型」「健康型」といった複数の種別があります。ここではサ高住とそれぞれの有料老人ホームの特徴や違いをご紹介します」とあります。
 パーマリィ・イン明石の「普通型」が「住宅型」「健康型」のいずれに該当するか分からないので、両者およびサ高住の「主なサービス内容」を比較します。

   「住宅型」: 身体介護、食事の提供生活支援、健康管理のうち何れか1つ以上を提供
   「健康型」: 食事や生活支援など
   「サ高住」: 安否確認、生活相談、生活支援(掃除、買物代行)

 一般的に言っても、今回は、安否確認サービスは含まれていないと考えるのが妥当だと思います。
 
(4)  厚生労働省の通知

 今回の事案を受けて、厚生労働省は「入居者への安否確認は当然行われるべきだ」として、有料老人ホームの管理・監督権限がある自治体に、施設への指導の徹底を531日付で通知した。入居者が訪問を望まないケースも電話や通信機器などを利用し「毎日1回以上の安否確認などが必要」とした。
明石老人ホーム「孤独死」 安否確認を毎日実施へ 市が対策(毎日新聞)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190603-00000054-mai-soci

 逆に言うと、これまでは「入居者への安否確認は当然行われるべきだ」とはされていなかった、ということでしょう。もしも義務化されていたのなら、一事業者が義務を怠っただけのことで、わざわざ厚生労働省が通知することはないと思います。大きな方向転換をしようとしているのだと解釈しました。
 



B)   安否確認の仕方が問題です。いちいち毎日元気ですか?と聞かなくても、外出した、部屋の電気が点灯している、新聞が取っているとか、いろいろのことで確認できます。

 感想ですが、
   状況に応じて、さまざまな安否確認方法から適切なものを採用することが大切
   シフトの業務体制で、もれなく確実に履行するのは、結構難しいのではないか
   事故が起こった時「確かに安否確認していた」というエビデンスを出せるようにしておかないといけない
 



C)   やっぱり、施設側の怠慢だと私は思います。家族はそう思って安心していたのです。

 施設側の怠慢だという根拠はないと、私は思います。また、「家族はそう思って安心していた」のなら、家族の認識間違いだと思います。ただ、家族は一般的に素人なので丁寧な説明が必要です。入居に際して、どのように説明したかが大切で、そこは分かりません。

 施設側のミスだと思います。施設内で孤独死を出したことで、イメージ悪化が大きく、住人に不安もでる出るでしょう。施設は既に大きなダメージを受けています。例外はあるでしょうが、他から言われずとも、老人ホームは孤独死を出さないように、自律的に努力していくと思います。
 
 見えないところで、色々なことが起こっているのでしょう。
===== 引用はじめ
 今回の背景について、社会福祉学が専門の淑徳大学・結城康博教授は言う。
 「今回亡くなった入居者は、介護の必要度が低い自立した方だった。原因究明が待たれるが、そもそもご本人が見守りを拒否していた可能性がある」
 結城教授によれば、一般的に高級ホームでは、入居者が拒否しない限り、担当者が必ず見守りを行うことになっているという。
 「孤独死で言えるのは、安否の確認など見守る側の事情や行動だけが注目されるが、見守られる側もサービスや支援を積極的に受け入れることが必要だ」
===== 引用おわり

“高級”老人ホームで孤独死 教訓生かされず
https://dot.asahi.com/wa/2019060400038.html?page=1



 これからどうすればよいか、が一番大切でしょう。何が悪かったかを明らかにする必要がありますが、複雑に色々な要因が絡んでいます。単純化すると間違えます。

 それぞれ、色々な事情を抱えています。「この人が悪い」と決めつけてしまうと、そこで停止してしまいます。ご本人や家族も、よく理解し、よく考え、よく自覚して、主張しあるいは協力していく必要があるでしょう。

 一方だけから見るのではなく全体を俯瞰し、関係者各々(行政、施設、本人、家族)が、改善の方向を模索していくことが大切だと思います。

 続く。





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