前回からの続き。
老人ホームの91歳が孤独死した。今後にどう活かせばよいか、考えてみた。
(1) 施設(安否確認が義務化されていないという前提で書きます)
①
安否確認有無の明確化・明示
「普通型(介護付終身利用型)入居者には、原則として安否確認しない。要望があれば、有料で安否確認する」ことにして、明記しておけばよかったと思う。有料にするのは金儲けが狙いではなく、責任を明確化したいため。有料で事故が起これば施設の責任、要望がなければ施設に責任はない。ただ、厚労省が「毎日1回以上、安否確認を実施することが必要だ」と通知した(後述)とのことなので、厚労省の指導に従う。② 一時的な安否確認の開始と終了の明示
有料契約していなくても、今回のように「(男性の)体調が悪い」と伝えられることもあるだろう。その場合「一週間様子を見ます」とか、「お元気に自転車で外出されていたので、安否確認はやめます」とか、「ご本人が拒否されたのでできません」とか、いつからいつまで責任をもって対応するか、あるいは対応しないかを家族に伝えるのがよいと思う
(2) 本人
今回の孤独死は、本質的には、施設の問題でなく本人の問題だと思う。最近増えてきた「居場所」で、「もし欠席連絡なく私が来なかったら、私の家に見に来てください。鍵をわたします。許可なく私の部屋に入っていただいて結構です」という人がいるそうだ。独居で孤独死したくなかったら、そういう努力が必要だろう。
施設にあっては、友達をつくって頼むか、職員に頼むか。職員に頼むなら、本人自ら毎朝事務所に顔を出す。そうしておけば、顔を見なかったら、職員が見にきてくれる。孤独死したくなかったら、面倒でも、自助努力しましょう。自助努力できなくなったら、要介護状態なので、毎日見に来てくれる。
今回は、自助努力できたはずだと思う。自助努力しないなら、孤独死の責任を他者に負わせてはならないと思う。
(3) 権利の衝突。良い事をすると悪い事も起こる
「安否確認されない権利」をどうするか。安否確認をすることに決めると、「安否確認されない権利」が失われる。施設に「安否確認する義務」を負わせるなら、施設に、入居者が拒否しても「安否確認する権利」を与えなければならない。
しかし、入居者が拒否するのに、施設が「安否確認する権利」を行使できるだろうか良い事をしようとするのは良い事だが、必ずと言ってよいほどに悪い事も起こる。全体を見て判断しなければならない。
(4) 行政
実情を踏まえた上で、よい方向に向かってほしい。
① 厚生省
===== 引用はじめ
今回の問題を受け、厚生労働省は31日、全国の自治体に「有料老人ホームで入居者が希望しなくても毎日1回以上、安否確認を実施することが必要だ」との通達を出し、施設への指導の徹底を求めた。
厚労省は通知で明石市の孤独死を「誠に遺憾だ」と指摘。
===== 引用おわり
産経新聞(2019/06/01)
② 明石市
===== 引用はじめ
兵庫県明石市の介護付き有料老人ホーム「パーマリィ・イン明石」の個室で暮らしていた男性(91)が孤独死した後、十数日して見つかった問題で、市は3日、原因解明に向けた緊急検証チームを設置したと発表した。今月中をめどに再発防止策をまとめる方針。
検証チームは市の福祉局長のほか、高齢者総合支援室や弁護士職員らで編成する予定。泉房穂市長は「市民の安全を守るという強い覚悟のもと、早急に事実関係を確認し、再発防止に努めたい」と話した。
===== 引用おわり
https://www.sankei.com/west/news/190604/wst1906040010-n1.html
このシリーズ、終わり。
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