2019年6月28日金曜日

(K0789) 「老後に2000万円必要」問題(4) / どこがおかしいのか <高齢期の家庭経済>

 
(K0787)からの続き
 
 「老後に2000万円必要」問題、どうもおかしい。どこがおかしいのか
 
(1)   野党の「言いがかり」と与党の「言い逃れ」という政治姿勢

(2)  「官僚の省益を大所から調整し国益を実現する」という政治家としての責任の放棄

(3)   年金制度・国家経済にまるで無知・無責任な野党
 

【展開】

(1)   野党の「言いがかり」と与党の「言い逃れ」という政治姿勢
 竹中平蔵(東洋大学教授): 野党の「言いがかり」と与党の「言い逃れ」という政治姿勢から議論が混乱した。国民の年金不安を煽(あお)るばかりだ。政治リーダーたちは、分かりやすく透明な年金制度としての「社会保障個人勘定」の充実など建設的な議論を展開すべきだ。
 
(2)  「官僚の省益を大所から調整し国益を実現する」という政治家としての責任の放棄
 堀洋(産経新聞 編集長): 年金制度は厚生労働省の所管だ。今回の報告書は財務省外局の金融庁の審議会がまとめた。所管していないからこそ、“気楽”に「年金だけでは老後資金に足りない」と言えたのだろう。逆に言えば、報告書は年金制度の限界を正直に認めたとも評価できる。
 「日本の役所の一番悪い点は【時々、国益よりも省益を優先する】こと」とよく言われる。私(=藤波)は、分業体制にしているのだから当然のことと思う。各省の言い分はある意味正しいが、他の省にとっては弊害が出ることもある。部分部分にある程度の弊害が出ても、全体として最も国益になるよう、落としどころを作るのが政治家の役割だと思う。その役割を放棄している。年金も大事だし、国家経済も大事だ。
 
(3)   年金制度・国家経済にまるで無知・無責任な野党
 竹中平蔵(東洋大学教授):混乱したのは、まず一部野党とメディアが「100年安心」な制度と称してきた政府を批判し、国民の不安を煽ったことだ。しかし100年安心の意味は、いわゆるマクロ経済スライドという仕組みを組み込んだことで現状の制度が持続可能になった、という意味で使われてきた(もちろんマクロ経済スライドの運用面で幾つかの問題があるが、それは今回の報告書とは別次元の問題だ)

 「100年安心」は、年金だけで暮らせることを意味しないのは自明の理であり、世論調査がそれを示している。国民の多くが知っている基本を、野党は全く理解していない。
 年金だけで暮らせるようにできなくはないが、税金を大幅に上げないと実現できないのも自明の理である。「増税反対。かつ、年金だけで暮らせるようにせよ」というのは無責任だ。

 「国民は、…」と言っているが、国民が何を考えているかすら、分かっていない(世論調査とは違うことを言っている)。「私たちは正しいことを言っているので、国民も同じ意見に違いない」と思い込んでいるのだろうか? 国民の一人として、根拠なく「国民は」とは言わないでほしい。

 「『自己責任で貯金せよ』とは国家的詐欺に等しいやり方だ」という意見は、訳が分からない。自己責任で貯金せよというのは当然だ。努力してもできなかった人の為には、生活保護制度がカバーしている。国家的詐欺ではないだろう。
 

<出典>
竹中平蔵、“年金不安”に安心の処方箋示せ
【正論】産経新聞(2019/06/20)
https://special.sankei.com/f/seiron/article/20190620/0001.html

 

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