2019年6月22日土曜日

(K0783) 「老後に2000万円必要」問題(1) / 「老後に2000万円必要」問題とは何か(1) <高齢期の家庭経済>

 
 「老後に2000万円必要」問題が取り上げられている。そもそも「老後に2000万円必要」問題とは何か


(1) 金融庁金融審議会の報告書

   金融庁は、金融資産の不足を生じさせないための提言を盛り込んだ報告書をとりまとめた
   今後30年の人生があるとすれば、単純計算で2千万円が必要と試算
   支出の再点検や資産運用などの取り組みが必要とした
   年金も退職金も今後減少傾向が続く可能性がある
 

(2) 報告書は実質的な撤回に追い込まれた

   麻太郎財務相兼金融担当相は、正式な報告書として受け取らない
   自民党も、金融庁に撤回を求めた
 


【展開】
 
(1) 金融庁金融審議会の報告書

   金融庁は、金融資産の不足を生じさせないための提言を盛り込んだ報告書をとりまとめた
 金融庁は63日、長寿化が進む人生100年時代において、金融資産の不足を生じさせないための提言を盛り込んだ報告書を取りまとめた。
 「これまでより長く生きる以上、多くのお金が必要となる」とし、生活水準を維持するには保有資産の運用など自助の取り組みが重要と指摘。
 
   今後30年の人生があるとすれば、単純計算で2千万円が必要と試算
 夫65歳以上、妻60歳以上の無職世帯の場合、公的年金を中心とする収入だけでは毎月5万円の赤字となるとし、今後30年の人生があるとすれば、単純計算で2千万円が必要と試算。
(注)毎月必要な家計は264,000円、年金で入るのが209,000円、差引55,000円の赤字
 
   支出の再点検や資産運用などの取り組みが必要とした
 公的年金が「老後の収入の柱であり続けることは間違いない」とした上で、支出の再点検や資産運用などの取り組みが必要とした。
 
   年金も退職金も今後減少傾向が続く可能性がある
 また、少子高齢化で年金の給付水準の調整が予想され、今後不足額はさらに拡大するとした。
 年金とともに老後の生活資金の柱だった退職金も、直近は大学卒で平均2千万円程度となっており、ピーク時から3~4割減っている。
 

(2) 報告書は実質的な撤回に追い込まれた

   麻太郎財務相兼金融担当相は、正式な報告書として受け取らない
 麻生太郎財務相兼金融担当相は611日の記者会見で、正式な報告書として受け取らないことを明らかにした。
 報告書は金融審の総会を経て麻生氏に手渡されることになっていたが、実質的に撤回に追い込まれたことで報告書の内容は政策に反映されなくなる。審議会の報告書が撤回されるのは異例。
 
   自民党も、金融庁に撤回を求めた
 二階俊博幹事長は記者団に「2千万円の話が独り歩きして国民に不安を招き、大変憂慮している」と述べた。
 岸田文雄長正会長は「報告書は極めてずさん」と批判する一方、「年金の持続可能性はしっかり確保されている」と強調した。
 

続く。
 
<出典>
老後資金3段階で運用提言
産経新聞(2019/06/04)
 
「老後に2000万円」撤回
産経新聞(2019/06/12)
 
写真は、以下より転載
https://www.sankei.com/column/news/190612/clm1906120002-n1.html


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