2019年6月26日水曜日

(K0787) 「老後に2000万円必要」問題(3) / 世論・経済界は何を言っているか <高齢期の家庭経済>

 
(K0785)からの続き。
 

 世論は何を言っているのか。産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)は15、16両日、合同世論調査を実施した。
 

 主な結果を添付図に示す。要約すると、

(1)  金融庁の試算を受け、年金制度の信頼度について「不信感が増した」との回答が51・0%に上り、「変わらない」の44・6%を上回った

(2)  麻生太郎金融担当相が報告書を受理しない対応については「適切でない」との回答が72・4%を占めた。自民党支持層に限っても68・7%が「適切でない」と回答した

(3)  「これまで老後は年金だけで暮らしていけると思っていたか」との質問では「思っていなかった」が84・2%に達し、「思っていた」の13・9%を大きく上回った
 

 同時に、内閣支持率と政党支持率も調査している

(1)  安倍晋三内閣の支持率は47・3%で、前回調査(5月11、12両日実施)より3・4ポイント減り、不支持率は同1・6ポイント増の36・5%だった。

(2)  自民党の支持率も前回比5・1ポイント減の35・9%となり、「2千万円問題」が影響したとみられる。一方、野党の政党支持率は伸び悩んでいる。立憲民主は前回比0・6ポイント減の6・8%、国民民主も同0・6ポイント減の0・5%にとどまった。国民が冷静に年金制度をとらえている中、批判だけで支持を得るのは難しいようだ。

(3)  「支持する政党はない」は、前回比5・2ポイント増の40・6%。増加ポイントが最も大きかったのは「支持する政党はない」だった
 
 自民党と立憲民主党・国民民主党が共倒れ。政治不信のみが高まったのではないか。
 


 では、経済界は何を言っているか。
 
 経済同友会の桜田謙悟代表幹事(SOMPOホールディングス社長)は18日の定例会見で、老後に夫婦で2000万円の蓄えが必要と試算した金融庁金融審議会の報告書問題について
 「資産運用が貯蓄から投資へ、先進国並みに進んでいないことに警鐘を鳴らしたものだと思う。だが、2000万円、3000万円との数字だけが独り歩きしている」と述べ、本質的な議論から外れていると批判した。
 また、「年金だけではなく、介護や医療などの社会保障費は、(負担する世代が減る中で)今のままでは持たないという議論になるはずで、何をすべきかの国民的な議論につなげるべきだ」と強調した。
 

続く。
 
<出典>
「年金だけでは不足」84% / 2000万円問題、国民冷静
産経新聞(2019/06/18)
https://www.sankei.com/life/news/190617/lif1906170039-n1.html
 
2000万円、数字独り歩き / 同友会代表幹事「国民的議論を」
産経新聞(2019/06/19)
https://www.sankei.com/economy/news/190618/ecn1906180018-n1.html

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