2020年10月9日金曜日

(K1257) 「世話する」から「力を引き出す」へ(かつてのケアに反発) <介護>

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高齢者は「役に立った」と感じると、生き生きした表情を見せる。介護の仕事は、『やってあげる』ことではない。相手の力を引き出して、やる気を出させたり、行動変容を促したりする仕事だ。「できることがある」

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 千葉県柏市にある古い一軒家に、介護事業所「あいゆうディサービス東山」がある。ディサービスは要介護の高齢者らが日中を過ごす場所。活動内容はさまざまで、ここでは「料理」をメインにしている。

 経営する介護福祉士の内田千恵子さん(70)は、「献立には多くの食材を使い、わざと作業工程の多いものを選んでいる」という。家では「危ないから」と包丁に触らせてもらえない人もいる。だが、内田さんは、「この人は炒め物ができる」とか、「サトイモはむけないが、トマトなら切れる」など、一人一人ができることを考えて仕事を頼む。

 高齢者は「役に立った」と感じると、生き生きした表情を見せる。内田さんは「できることがあると思えることが、すごく大事」と話す。

 

 介護の仕事は、食事や入浴介助、おむつ交換だと思われがちだ。だが、それだけなら「介護」というより「作業」に近い。内田さんは、認知症の母親が受けたそんな扱いが嫌だった。

 要介護の人の中には、例えばベッドからいすへ抱えなくても、「はい、立ちましょう」と声をかけ、待てば、立てる人もいる。「ここに手をついて」と助言すればできる人もいる。

 内田さんは言う。「介護の仕事は、『やってあげる』ことではない。相手の力を引き出して、やる気を出させたり、行動変容を促したりする仕事だと思う」

 

<出典>

「世話する」から「力を引き出す」へ / かつてのケアに反発、介護職に

産経新聞(2020/10/09)



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