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「本当にすべての人が長く生きることを望んでいるのだろうか」。私もそう疑問に感じることがある。「生きることに疲れる」という感覚もわかる。まだ本格的ではないが、そう感じるまでは、精一杯生きていきたい
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長寿社会というが、本当にすべての人が長く生きることを望んでいるのだろうか。私の実感からすると「70歳を過ぎたころから、人は一般に生きることに疲れを感じはじめるものだ。恵まれた環境で、日々生きることに歓びと生き甲斐を感じている人はいい。しかし、現実の問題として、人間という動物の自然な生存期限は、はたしてどれくらいのものなのか。
生きることに疲れる、というのは、当然のことながら身体的なものだ。しかし、そのほかに精神的な疲労もある。俗に「お迎えがくる」などと言うが、そろそろこの世におさらばしたい、と感じる時期が人にはあるものだ。
奈良のほうに「ポックリ寺」などというお寺があって、人気を集めていた時期があった。
一日でも長く生きたい、と願いつつ、人は心の底で、「もうそろそろいいかな」とふと思う時があるのではないか。
<出典>
五木寛之、「新老人の思想」、P.134 - 135
添付図は、
https://www.j-cast.com/2016/03/01259983.html?p=all
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