2020年12月3日木曜日

(K1312)  専門性のある医師の言葉 読者に響く(1) <臨死期>

 ☆☆

「最善に期待し、最悪に備える」。患者にこう話してきたが、「つらいことばかり考えては生きていけない。そういうことはある程度忘れて、好きなもの、好きなことに熱中する鈍感力も必要」と思い至った

☆☆

 

(1) 関本剛、『がんになった緩和ケア医が語る「残り2年」の生き方、考え方』

 

 著者の関本剛さん(44)は、神戸市出身。消化器内科や緩和ケア病棟での勤務を経て、母親の雅子さんが設立した在宅ホスピスのクリニック院長を務めている。1000人ものがん患者の看取りに関わってきたが、昨秋、ステージ4の肺がんと診断され、余命2年の宣告を受けた。

 

 本書では、緩和ケア医と患者という両方の立場から、治療の不安や妻や子供たちへの思い、死生観までつづられている。「がんに罹患(りかん)することが不幸ではない。生まれたからには必ず死がやってくるし、それまでは生きなければならない。幸せに最期を迎えるか否かは、自分次第という思いに至ったことを、社会に伝えたかった」と明かす。

 

 厳しい現実を前にしたとき、緩和ケア医としての経験も役に立った。置かれた状況を知り、受け止め、選択肢の中から自分の生き方にあったものを選ぶのだ。今の心境を《楽に長生きしよう。死ぬまで生きる。それだけだ》と記している。

 

 本書では、「人は生きてきたように死んでいく」「良き死は、逝く者からの最後の贈りものとなる」など看取りにまつわる言葉も紹介。緩和ケアの具体例も盛り込んだ。「緩和ケアは治療の選択肢がなくなっていく場所と思う方もいるかもしれませんが、楽に長生きできる場所。それを知ってもらえたら」

 

<出典>

専門性のある医師の言葉 読者に響く

産経新聞(2020/11/30)

https://www.sankei.com/life/news/201025/lif2010250003-n1.html



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