2020年12月27日日曜日

(K1336)  日本での議論 / コロナ禍「命の選別」直面(2) <臨死期>

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命・医療倫理研究会有志による「COVID-19の感染爆発時における人工呼吸器の配分を判断するプロセスについての提言」への批判が多い。ある意味、正しいが、問題もある。「苦渋の選択」を避けてはいけない

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 「命の選別」はいけない、という気持ちはわかるが、「命の選別」を避けられない状況は差し迫っている。人工呼吸器の数よりそれを必要とする人の数が多ければ、選別せざるを得ない。「早い者順」もまた、選別基準である。それが適切だとは、私は思わない。

 

===== 引用はじめ

 日本でも330日に生命・医療倫理研究会有志による「COVID-19の感染爆発時における人工呼吸器の配分を判断するプロセスについての提言」が公表され、41日の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議記者会見で紹介されたが、すぐに障がい者団体などから厳しい批判が寄せられた。

===== 引用おわり

https://www.covid19-jma-medical-expert-meeting.jp/topic/3352

 

===== 引用はじめ

 「トリアージありきの議論は危険です。受け入れていることになりかねません。トリアージは、本当に最後の最後の手段です。私が気になるのは、いくつもの機関が早々にガイドラインを出してきたことです。ガイドラインは、障害者を切り捨てる口実を与えているようなものです。障害者への偏見は今もあります。偏見をもとに、命を選ぶ判断がなされかねないのです。」

 では、「トリアージ」とは何か。この言葉は、フランス語の「trier(選別する、選り分ける)」に由来する。医療に関わってこの語が用いられたのは、ナポレオン戦争のときからだ。戦地では、傷病者をどの順番で輸送し治療するかの順位づけをせざるをえない。その後、「トリアージ」は範囲を広げ、現在では救急医療や災害救援において通常用いられる概念となっている。

===== 引用おわり

引用、同上

 

 竹下啓教授(医療倫理)は説明する。

===== 引用はじめ

 提言をまとめた一人、東海大医学部の竹下啓教授(医療倫理)は「人々の命を最大に救えるように人工吸器を配分することが正しいのでは、というのが根底にある」と説明する。

===== 引用おわり

 

 それに対して、石蔵文信氏は批判的だ

===== 引用はじめ

 この提言に対し、大阪大 人間科学研究科 招へい教授で循環器系専門医の石蔵文信氏は「助かる人、助からない人はだれが決めるのか」と批判的だ。

 石蔵氏は「集中治療を譲る意志カード(譲カード)」を作ったことで知られる。カードには「新型コロナウイルス感染症で人工呼吸器や人工肺などの高度治療を受けているときに機器が不足した場合には、私は若い人に高度医療を譲ります」と書かれている。

 ただ、こちらの取り組みには「高齢者に同調圧力をかけることになりかねない」という批判がある。

===== 引用おわり

 

 大いに議論すべきだろう。しかし、結論は早く出さねばいけないは、この議論を忌避することは、許されないだろう。

 

 このシリーズ、終わり

 

<出典>

産経新聞(2020/12/23)

https://special.sankei.com/a/life/article/20201223/0001.html

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