前回からの続きである。
若年性認知症の方が実際にどのように働いているかを新聞記事にそって追っていく。
A)
那覇市の「沖縄トヨペット小禄サザン店」に勤務する大城勝史さん(43) … 今回、添付写真
平成27年に若年性認知症と診断された。認知症と診断された時は、解雇も覚悟した。3人の娘と妻の生活を支えられるかどうか分からず、不安が募った。
元営業マンだが、今は洗車係として週4日、1日8時間働く。「営業に戻りたい」という思いも強く、ストレスがたまった。今では、1日に約40台の車を洗車機に入れ、掃除機で車内を清掃しボディーを拭く。「丁寧で手際がいい」と店長の上原之治さんの評価は高い。
「記憶が続かないので緊張しますが、みんなに感謝しています」と笑顔だ。
【課題】
①
客の顔を忘れる
②
出勤中に道に迷う③ 疲れると裏の倉庫でこっそり休んだ
④ 車の運転ができない(運転免許証を返納した)
【対処】
①
客の顔を忘れる 「大城さんは、客の顔を忘れるといった症状が出始めたため、部署を異動」
②
出勤中に道に迷う
「迷わないよう地図と経路の風景の写真を見ながらバスで通勤」
③
疲れると裏の倉庫でこっそり休んだ
「今は会社が体調に合わせた休憩を認める」
④
車の運転ができない(運転免許証を返納した)
「運転免許証は返納したため、車の移動は同僚に任せ、整備や営業の社員も手伝ってくれる。「助け合うのは当たり前ですから」と上原店長」
B)
宮城県名取市のグループホーム「うらやす」で働く男性(44) … 前回、添付写真
介護福祉士としての経験は約10年。しかしミスが増え、以前勤めていた施設を辞めざるを得なかった。
若年性認知症と診断された後も働き続けている。うらやすに移った後、障害者雇用枠に変わった。施設長の佐々木恵子さんは「本来は優秀な人材」と、得意な業務を任せた。「常に穏やかなケアはプロの仕事。教わることが多い」と話した。
【課題】
仕事の手順を記憶するのが難しい
【対処】
入浴介助や夜勤はしない「やるべきことができず、もどかしい」と話すが、高齢者のペースに合わせる見守りや食事介助は職場の信頼も厚い。
いずれの場合も、課題があり、対処している。対処を分類すると次のようになるのではないか
1. 会社としての対処
1.1. 配置換え
・ 営業から洗車係へ
1.2. 制度の見直し
・ 体調に合わせた休憩を認める
1.3. 仕事内容
・ 高齢者のペースに合わせる見守りや食事介助を担当する・ 入浴介助や夜勤はしない
1.4. 周囲の協力
・ 車の移動は同僚任せ
2.
個人としての対処
・ 出勤時の工夫若年性認知症も、発達障害も、その他障害も、働くとなると、課題と対処という枠組みで整理できるだろう。固有のものも多いが、共通するものも多いのではないか。
「若年性認知症の人が働くために職場でできること」「働く人に占める障害者の割合(雇用率)」については、次回に触れる予定。
<出典>
認知症社員を企業が支援 能力に合わせた業務担当
【ゆうゆうLife】 産経新聞(2018/04/28)認知症社員を企業が支援 能力に合わせた業務担当
https://www.sankei.com/life/news/180426/lif1804260020-n1.html
添付写真は、このサイトから転載
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