前回と前々回の投稿タイトルは次の通りであった。
(K0379) 将来の認知症に備える(3)不動産売買と認知症 <脳の健康><高齢期の家族経済>
http://kagayakiken.blogspot.jp/2018/05/k0379-3.html
(K0380) 将来の認知症に備える(4)相続対策と認知症 <脳の健康><高齢期の家族経済>
http://kagayakiken.blogspot.jp/2018/05/k0380-4.html
共通するのは、どうも「民事信託」という仕組みを使うと、今まではできなかったけれど、できるようになることが多々ありそうだ、ということである。
何故、そのようなことができてしまうのかというと、「所有権を管理権と受益権に分離する」ことがその理由の一つだ。民事信託ですること : 「所有権」をもっている『委託者』が認知症になる前に、「管理権」を家族などの『受託者』に移してしまうことにより、『委託者』が認知症になっても、『受託者』が「管理権」を行使でき、『受益者』が「受益権」の恩恵にあずかる。 … 添付表参照
後見人とか、委任とか、生前贈与とかは、この分離を行っていないから、認知症発症により様々な制約を受ける。
【目次】
1.
所有権、管理権、受益権
1.1. 所有権1.2. 管理権
1.3. 受益権
2. 家族信託(1) 財産の所有権のうち、管理する権利だけを信頼できる家族に移す
3. 家族信託(2) 受益権(お金をもらう権利)を相続させる人を予め決めておく
【展開】
1.
所有権、管理権、受益権 … 添付図参照
1.1. 所有権 所有者(不動産の持ち主)のもつ権利
所有者には、所有権という権利があります。この所有権は、原則として、その不動産を取得するためにお金をだした人がもつことになります。お金をださずに所有権を手に入れる方法は、生前贈与か相続で引き継ぐ方法しかありません。この所有権という権利は、さらに2つの権利に分解することができます。
1.2. 管理権 : 不動産を管理する権利
例えば、その不動産を修繕したり、建替えたり、売ったりすることを決めることができる権利です。自分が買った不動産を、他人が勝手に建替えたりしたら困りますよね。そういったことは、法律上はできないようになっています。管理をする権利は所有権のある人にしかないのです。
1.3. 受益権 不動産から得られるお金をもらう権利
例えば、その不動産から得られる家賃や、その不動産を売却した際の売却代金は、所有権をもった人のものとなります。このお金を自分のものにできる権利のことを、難しい言葉で受益権といいます。しかし、難しい専門用語を覚える必要はありませんので、お金をもらう権利と覚えておけばOKです。
2.
家族信託(1) 財産の所有権のうち、管理する権利だけを信頼できる家族に移す … 添付図参照
認知症への対策として、「財産の所有権のうち、管理する権利だけを信頼できる家族に移す」ことができる。
さきほど、所有権には管理をする権利とお金をもらう権利があるとお伝えしました。この2つの権利のうち、管理をする権利だけを移すのです。お金をもらう権利はそのままの所有者に残しておきます。そうすることによって、不動産の管理は信頼できる家族に任せて、家賃ですとか、売却代金はそのままの所有者が得る形になります。
3.
家族信託(2) 受益権(お金をもらう権利)を相続させる人を予め決めておく … 添付図参照
遺言書の代わりとしても使えます
受益権(お金をもらう権利)を誰に相続させるかは、家族信託を始めるときに、予め決めることができます。例えば、父から長男へ、不動産を管理する権利を家族信託によって移しておきます。その後、父が亡くなった時に、受益権(お金をもらう権利)は母に相続させることを、予め決めておくことができるのです。父に相続が起きた後には、管理は長男が行い、家賃収入は母に帰属するような形にできるのです。この形は非常に安心感があるので、多くの人がこの形の家族信託にしています。
<出典>
円満相続税理士法人のホームページhttp://osd-souzoku.jp/trust
3枚の添付図はこのサイトから転載(表は藤波が作成)。
0 件のコメント:
コメントを投稿