興味深い記事があった。「就業者数が史上最高を更新した」のである。
(1) 生産年齢人口(15歳以上65歳未満)は減り続けている
(2) 雇用状況が好調である(3) 就業者数が史上最高を更新した
(4) 個人消費は伸びていない
(5) 何が起こっているのか … 高齢者や女性の就業が増えているが、低賃金
(6) 起こっていることの意義は何か … 外国人労働者の受け入れより先だろう
(7) 何が必要なのか … フリーランスに注目(8) 『終わった人』を減らす
【展開】
(1) 現在、生産年齢人口(15歳以上65歳未満)は減り続けている
===== 引用はじめ
過去の就業者数ピークである97年は、バブル崩壊後でいわゆる「失われた10年」の最中であった。しかし日本の生産年齢人口(15歳以上65歳未満の人口)はその頃がいちばん多かった。団塊世代の先頭がようやく50歳に差しかかり、団塊ジュニア世代は20代後半の頃である。だから当時は、個人消費も比較的活発であった。
今はまったく状況が違う。団塊世代の先頭は70代となり、団塊ジュニア世代はもう40代後半となっている。
===== 引用おわり
(2) 雇用状況が好調である
===== 引用はじめ
雇用状況は好調で、失業率が2%台で有効求人倍率が1・5倍以上という状態がもう1年も続いている。人手不足のおかげで、労働参加率が上がっている。今年に入ってから、就業者数は5月までに156万人も増えた。昨年末に比べると2・4%の伸びである。===== 引用おわり
(3) 就業者数が史上最高を更新した
===== 引用はじめ
就業者数が史上最高を更新したのである。総務省の労働力調査によれば、今年5月の就業者数は6698万人。これは1997年6月につけた既往ピークの6679万人を上回っている。===== 引用おわり
(4) 個人消費は伸びていない
===== 引用はじめ
「働き手」がそれだけ増えたのなら、当然のことながら個人消費も伸びるはずである。ところが今年1~3月期の実質国内総生産(GDP)は久々のマイナス成長であったし、その内訳をみると個人消費は前期比微減となっている。===== 引用おわり
(5) 何が起こっているのか … 高齢者や女性の就業が増えているが、低賃金
===== 引用はじめ
今年になってからの就業者数の増加分を調べてみると、男女比はほぼ半々で、年代別にみると実に約半分を65歳以上(老年人口)が占めている。考えてみれば、当たり前の話なのである。この国には若い男性のリザーブがもうあまり残っていない。それで人手不足になっている分を、女性と高齢者が埋めてくれている。人生100年時代、なるべく長く働きたいという人は少なくないはずだ。おそらく今年に入ってから定年後の再雇用契約が一気に増えたのではないか。
しかるにその処遇はあまり好条件ではなかったようで、消費の拡大にはつながっていない。
===== 引用おわり
(6) 起こっていることの意義は何か … 外国人労働者の受け入れより先だろう
===== 引用はじめ
高齢者や女性が労働市場におけるニューカマーになっているのは歓迎すべき方向といえよう。外国人労働力の受け入れ拡大の議論も始まっているが、まずは日本人の就業率向上を考えるのが先決であろう。特に高齢者の方々に長く働いてもらうことは、社会の要請から言っても、ご本人の健康面から言っても望ましいことといえよう。===== 引用おわり
(7) 何が必要なのか … フリーランスに注目
高齢者の働き方として、いくつかある
①
雇用者になる … 雇用延長、あるいは、再就職② 退職後に自分で会社を設立する
③ 個人事業主を選ぶ
④ フリーランスで働く
筆者は、④に注目した。
===== 引用はじめ
あと数年で仕事を辞める予定の人を、無理やり厚生年金に入れる必要はないだろう。あるいは悠々自適になる予定を変更して稼いでいる分の税金は、少しくらい軽減しても良いのではないか。フリーランスで働くシルバー層を支援する、使い勝手のいい制度を考えたいものである。===== 引用おわり
(8) 『終わった人』を減らす
===== 引用はじめ
仕事一筋で過ごしてきた会社員が、定年になると同時に『終わった人』になるという映画が評判になっている。そういう人を減らしていくことも、立派な成長戦略のひとつになると思うのである。===== 引用おわり
<出典>
吉崎達彦、高齢者が働きやすい環境づくりを
【正論】 産経新聞(2018/07/03)『終わった人』をいかに減らすか 高齢者が働きやすい環境づくりを 双日総合研究所チーフエコノミスト・吉崎達彦
https://www.sankei.com/column/news/180703/clm1807030008-n1.html
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