「運転免許証の更新期間が満了する日の年齢が75歳以上のドライバーは、高齢者講習の前に認知機能検査を受けなければならない」こととされている。このことは(K0452)で書いた。
4つの効用があると思う。
(1) 認知症の人が運転して事故を起こす可能性を減らす
(2) 認知症を発見するきっかけになる(添付図参照)(3) 認知症にかかわる医師が増える
(4) 認知症についての関心が喚起される
【展開】
(1) 認知症の人が運転して事故を起こす可能性を減らす
これが一番の目的である。運転する認知症者が減れば、事故も減るはずだ。
最終的に免許の取り消しや停止の行政処分を受けたのは1892人で、平成28年の597人に比べて約3倍に増えた。他にも1515人が行政処分に向けた手続き中の状態
(2) 認知症を発見するきっかけになる(添付図参照)
①
免許更新しようとする75歳以上の人は、必ず認知機能検査を受けることになる。この意義は大きい
②
全国で210万人5477人が検査を受け、そのうち5万7099人が第1分類と判定(「認知症の恐れ」)された。率にして2.7%。免許更新しようとする人たちでこの率なので、全体でいうともっと割合は高いだろう
③
第1分類になった5万7099人のうち、医師の診断を受けたのは1万6470人。率にして29%。医師の診断待ちの人もいるので、この割合は高くなる
④
診断した1万6470人のうち、行政処分を受けたのが1892人、手続き中が1515人。合計の割合は、21%。
⑤
「第一分類」と認定された人は、自主返納すれはそれで終わるが、自主的に医師の診断も受け、進行しているようなら対策してほしい。現時点の医療では、治すのは難しいようだが、進行を遅くできる可能性はある
(3) 認知症にかかわる医師が増える
「当初は医師不足が懸念されたが、医師がいなくて困るという声は上がっていない」。3つのケースがある。
①
「指定医」(1272人。20%):認知症についての専門的な知識があり、都道府県公安委員会が指定
②
「指定医以外の医師」(4990人。80%):指定医のいる医療機関が居住地から離れているケースなどで警察が近場の医師を紹介する
③
「普段のかかりつけ医」
(4) 認知症についての関心が喚起される
認知機能検査を受けた方がよいと思いつつも、なかなか行けないものだ。半ば強制的に行かされるのも結果としては良いことだし、検査を受けた人が増えて体験談などを聞けば、検査への抵抗感が和らぐのではないか。認知症を他人事と考えずに、自分や家族もやがてなる可能性があるという前提で、これからのことを考えてみることも大切だろう
<出典>
認知症診断 協力医師が倍増 / 免許更新時 5.7万人に「恐れ」産経新聞(2018/06/08)
添付図は、この紙面より
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