2019年1月24日木曜日

(K0631)  空き家と地域(2) <地域の再構築>

 
1.   空き家は問題なのか?
2.   空き家をめぐる課題:五つのフリーズ(思考停止)

 ここまでは、前回書きました。
 

3.   空き家に巻きつくフリーズをとくデザイン

3.1.  固定観念(既成概念)からの脱却 ―― 「見える化」をデザインする

 各プレイヤーの固定観念を崩す(イメージを広げる)ために、具体的な実践事例や情報、ニーズやウォンツ「見える化」することが重要である。
 物件マッチングにおいては、各地の「空き家バンク」が注目されている。「見える化」に関する不動産業界の潮流としては、「東京R不動産」をはじめとする物件価値を再構築したサイトが有名である。最近では「0円物件」で注目される「家いちばん」のような掲示サイトも生まれている。
 

3.2.  所有と共用の「間」をデザインする

 まちを住まいの一部として捉え、住まいとまちの間に所有から共用の概念を再構築し、地域資源を生かして穏やかにつながる選択可能な出会いの機会と居場所のあるまちをつくる(元来日本のまちやコミュニティがもっている自然に姿でもある)。
 このように「所有と共用の間をデザインする」、これを実現したまちのことを「コレクティブタウン」と呼ぶ。
 

3.3.  「居場所」のデザインと物語

 (空き家の)社会的活用事業が各地で展開されているが、その主たるテーマは「居場所づくり」であるといっても言い過ぎではないであろう。

 ここでいう居場所とは、
 空間・時間・関係性において現れる「社会的居場所」と「個人的居場所」という二つの要素からなる「場」であり、
   自己の存在を感じる場
   自己と他者との「相互承認」の場
   居場所の要素や役割が入れ替わりながら相互浸透的につながる場
   自己の役割や生きがいを獲得する場
   身を守るためのシェルター的な場
である。
 

4.   さいごに

 空き家が問題なのではなくフリーズに問題があり、それを溶く(解く)ことで物語を産みだす資源になりうるといえる。
 制度や立場のフリーズをとき、多様なアクターによる物語や、マネジメントする「横串化のデザイン」が重要である。
 


<出典>
 ひょうごん福祉ネット 勉強会(研修会)、「住宅セーフティネットって何? 私たちに何ができるの?」、2019/1/10、コープ生活文化センター
http://hyogon.wixsite.com/fukushi-net
終わった話ですが、案内を添付します。
 
 寺川政司、空き家は「問題なのか? ヒト・モノ・コトをつむぐ物語を生むメディア」、【特集:空き家の市民的活用 文化を守り福祉に生かす】、市民活動総合情報誌『ウォロ』2018年2月・3月号(No.517)P,9-10
http://www.osakavol.org/volo/

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