退職にともない「職場」「業務」「人間関係」「収入」が無くなります。働いている時は「職場」「業務」「人間関係」は課せられたものであり、退職がそれからの解放のように思っていたかもしれません。退職に伴いそれらは無くなり、空白が生じます。「そこに埋めるものを課すもの(仕事)がなくなる」ということは、何もしないと空白のままであることを意味します。元気な状態で空白があるのは悲劇です、
退職後、「きょういく(教育ではなく)」「きょうよう(教養ではなく)」が大切だと、最近よく言われます。「今日行くところ」「今日する用事」を意味します。私は加えて「きょうしょく(教職ではなく)」も大切であるとい言っており、「共食(一緒に食べる)」を意味します。
無くなった「職場」「業務」「(仕事上の)人間関係」を代替するものが、「今日行くところ」「今日する用事」「共食(一緒に食べる)」であり、空白を埋めるという意味で必要なのです。
定年退職後、第二の仕事に就いたりボランティアに励んだりして充実した時間を過ごしている人も多く、結構なことだと思います。しかし、長生きすれば、やがてはそれらも終える時期を迎えるのであり、「空白を埋める」という課題から逃れることはできません。
「私は生涯現役でいく」「PPK(ピン・ピン・コロリ)でいく」と宣言する人も多いですが、それは本人の意気込みにすぎません。実際にそれが実現できるかどうかを決めるのは、本人ではありません。長生きすれば、体も脳も心も「賞味期限」が過ぎます。だからといって、命の方を縮めるわけにはいきません。
退職は空白を発生させます。退職は喪失です。しかし、空白をうまく埋められると、喪失ではなく獲得になります。空白を埋めるという作業は、真正面から取り組むべき大切な課題だと思います。
<出典>
藤波進、『いざ! 出かけよう! たのしもう!~ 第二の人生をイキイキと! ~』、すまコミュニティ大学 ビジネス企画発表会、神戸市須磨区役所、2019/01/29
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