前回「医療・介護サービスが行き届いていると、病院での死亡割合が少ない」と書いた。本当にそうなのか?
添付「死亡場所の推移」を見ると、日本の病院での死亡割合は、1951年(9.4%)から2005年(78.4%)と上がり続けている。上記を適用して解釈すると、1951年の日本は、オランダより医療・介護サービスが行き届いていたが(2011年のオランダの病院死亡率29.1%より低い)、その後「医療・介護サービス」は、悪化の一途をたどって今に至った ―― となる。これは、違うだろう。
1951年に日本での病院死亡率が低かったのは、「医療・介護サービス」が行き届いていたからではなく、逆に行く届いておらず、それを家族や近所がカバーしていたのが実情だろう。また、その後、「医療・介護サービス」が悪化したのではなく、家族や近所の力が衰えて自宅死できなくなったことに対して受け皿となり、ずいぶん充実してきた。その方向は、「在宅」「医療・介護サービス」ではなく、「施設」「医療・介護サービス」だった。それは効率が良く、正しい方向だったと思う。
ただ、今、「施設」「医療・介護サービス」から「在宅」「医療・介護サービス」へと方向転換しようとしている。それはそれで良いことだが、誰かに「在宅」「医療・介護サービス」を要求したり、誰かが「在宅」「医療・介護サービス」を提供してくれるのを待ったりしているだけで良いのだろうか。それだけでは、うまくいかないだろう。
「家族の再形成」「地域の再構築」を我々自身の努力で充実させていくことに、我々は取り組まねばならない。
<出典>
厚生労働省 医政局指導課 在宅医療推進室、「在宅医療の最近の動向」https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/zaitaku/dl/h24_0711_01.pdf
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