2019年3月28日木曜日

(K0697)  高齢者向け投資手引書 / 老後の資金不足防げ <高齢期の家庭経済>


 少し古い(18日前)記事を取り上げる。
 私は、この政策には反対だ。「高齢者を対象」に呼びかけるのは、おかしいと思う。
 
 「金融庁が高齢者などを対象に、老後の資金不足に備え投資を呼びかける手引書を作成する」
 

 金融資産はリスクを伴う。リスクを伴うからこそ収益を期待できる(ハイリスク‐ハイリターン)。高齢者は今後の収入は見込めない。財産を減らすと取り返せない。「虎の子」の資産をリスクに晒せと国が誘っている。しかも、高齢期には、一般に言って、情報収集力も判断力も鈍ってくる。リスクを負うには、情報収集力・明晰な判断力が絶対に必要だ。だまし討ちをしているように思う。
 
 この政策で得をするのは、金融業界と国である。低金利政策が続いて、金融業界の経営は厳しい。それを助け、経営が立ち直れば、税収も増える。それを、高齢者を犠牲にして(私にはそう思える)なしとげようとしている。
 そもそも、日本国民が金融商品を買わないのは、魅力がないからだと思う。金融商品の売買で、金融業界はノーリスクで利益を確定する。リスクは、全て購買者にある。そのリスクを冒すだけの魅力ある商品を、金融業界は提供していないのではないか。
 
===== 引用はじめ
 人生100年時代を迎えるに当たり、金融庁が高齢者などを対象に、老後の資金不足に備え投資を呼びかける手引書を作成することが9日、分かった。平均寿命が延びる一方で、日本人の現預金や株式などの金融資産はほとんど増えていないことが背景にある。充実した老後を迎えてもらうためには、これまでのような預貯金に偏った資産運用では不十分で、投資を奨励する思い切った手に打って出る。
===== 引用おわり
 
 
 もちろん、高齢者であっても、情報収集力・明晰な判断力の備わっている人もいるし、自ら投資をしようとする人もいて、彼らが投資するのは何ら問題がない。結構なことだと思う。資産を増やそうと、高齢になる前にチャレンジするのも結構だ。ただし、リスクは自分で負わなければならない。

 
 「投資手引書」は、なんら保証を与えてくれるものではない。
 

<関連>
(K0676)  政府税調、資産形成支援へ税制改正検討 <高齢期の家庭経済>
http://kagayakiken.blogspot.com/2019/03/k0676.html
 
<出典>
高齢者向け投資手引書 / 老後の資金不足防
産経新聞(2019/03/10)
 
老後の資金不足予防に投資呼び掛け 貯金偏重解消へ金融庁が手引書
https://www.sankei.com/economy/news/190310/ecn1903100002-n1.html

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